シリーズ酵素22~酵素栄養学の二つのポイント

適応分泌の法則――食べ物によって体内の消化酵素分泌量は異なる。
食べ物が体内に入ると最初に唾液と混じり合います。その後、内臓の諸器官を通過していく過程で、いろいろな消化酵素が分泌されます。
分泌される酵素の種類や量は、食べ物の種類や食べ方によって異なります。

比較的消化に良いものを食べたときと重い食事をしたときとでは、消化酵素の量が大きく違ってくるのです。
体が食べ物の種類に応じて、そのときにふさわしい消化酵素を適切な量だけ分泌させることを消化酵素の「適応分泌の法則」といいます。
ここが大切なところです。酵素栄養学が五〇年以上遅れたのは、一九〇四年にサンクトペテルブルグ(ロシア)のB ・P 。バブキン教授によって発表された「酵素の並行分泌理論」
が一般に受け入れられたことがそもそもの原因である、とハウエル博士は指摘しています。

この「並行分泌理論」とは、三つの主な消化酵素(アミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ)のうち消化に一つしか必要としない食べ物であっても、
その消化にあたって体は同時に三つとも分泌する、というものでした。

この考え方は、酵素の性質について間違った認識をしているどころか、それらの消化酵素が生命や健康、病氣といったものに及ぼす影響をまったく無視した最悪のものでした。
さらにバブキン教授は一九三五年に、で」れら三つの消化酵素は、人間やほかの動物も同様に膵臓にある分泌腺によって、同じ濃度で分泌される」と発表しています。
酵素はどれだけ消費しても、永久に体内で作られ続けるといった間違った考え方を植えつけたのはこの「並行分泌理論」であり、
「酵素栄養学」の研究が五〇年以上遅れてしまった元凶といえるでしょう。

実をいうと、「適応分泌の法則」は、専門家による実験で一〇〇年以上も前から確認されていたのです。
多くの科学者たちがさまざまな研究によって、この法則を証明してきました。ハウエル博士の「食物酵素概念」の結論は、この「適応分泌の法則」に従ったものです。
すなわち、「食物酵素をいっばい含んだ食べ物を食べたとき、消化作業に費やされるエネルギーの消耗は減少し、消化酵素を作り出そうとしている体の負担は少し軽減し、
体内酵素は温存される。そしてその温存された量だけ代謝酵素の活性を促す」というものです。

そのためには、食物酵素(=事前消化を補助する食べ物)や食物酵素サプリメントを日常の食事とともに摂取することによって、
体内で作られる消化酵素の量を減らしていくことが肝心です。
これによって、食べ物は理想的に消化されることになり、未消化の食べ物が原因となる老廃物の滞留や腸の中の腐敗を避けられます。

つづく

グスコー出版 スーパー酵素医療 より抜粋


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