・人間らしい生活が出来なくなる怖さ
・○○○の共通点は「甘いもの好き」
・若い人も油断はできない。
前回は低血糖症について書きました。
低血糖症は現代人特有の病氣に繋がっているので、今回ももう少し詳しくお話させていただきます。
まず、ここ数十年で急増している認知症。
記憶力や判断力が衰え、家族や親しい人達との関係性も分からなくなるなど社会生活が難しくなっていく症状が表れます。
2025年には高齢者の5人に1人が認知症にかかるだろうと予測されてます。
世界規模でも認知症は増えていて、WHO(世界保健機関)の発表では世界中で毎年1000万人が新たに認知症にかかっていると言われています。
これは3秒に1人が認知症になっている計算になります。
認知症の中でもアルツハイマー型認知症が患者数の半分以上を占めています。
アルツハイマー型認知症の患者には、甘いものを極めて大量に摂っているという共通点があります。
専門家が行った調査によれば、アルツハイマー型認知症のグループと認知症ではないグループにアンケートを行った結果、「若い時からよく甘いものを食べていた」と答えた人は認知症の人の中では83.7%、非認知症の人の中では32.0%でした。
さらに「普段から甘いものをたくさん食べていた」と答えた人は認知症患者では40.7%、非認知症の人では22.0%と2倍もの開きがありました。
「大量に糖を摂り込んでいるのに、なぜ低血糖になるの?」と思われるかもしれません。
甘いものを食べた後、体がだるくなった経験は誰にもあるかと思います。
さらに甘いものが大好きな人は一定時間食べないと、甘いものを食べたくて仕方なくなったり、イライラする事があります。
これが低血糖状態です。あまりに身近過ぎて自覚していない人がたくさんいます。
甘いものを食べた後、体内では一体何が起きているのでしょうか?
白砂糖のように精製された糖を多量に摂ると、玄米のような未精製の穀類とは違って、すぐに体内に吸収されてしまうので血糖値が急上昇します。
それに膵臓が過剰反応して血糖値を下げるホルモンであるインスリンを大量分泌するので、今度は血糖値が急激に下がり、低血糖状態に陥ってしまいます。
血糖値が上がり過ぎた後、今度は逆に下がり過ぎるといったジェットコースターのような状態になるのです。
こうして低血糖になるのを繰り返し、脳細胞にブドウ糖が補給されないと、その脳細胞は壊死してしまいます。
これがアルツハイマー型認知症になる原因の1つです。
食べた物は栄養吸収されると、血液に乗って全身に運ばれていきます。
脳は特に酸素やブドウ糖を必要とする部位ですので、これらが不足するとすぐに頭の働きが鈍くなったり眠くなったりと症状が表に出やすく、仕事や家事などの効率にも大きく影響します。
現代では、正しい知識を得てよほど食べるものに氣をつけていない限り、糖分の摂取過剰に陥ってしまいます。
それほど糖分を含む食品は身の周りに溢れています。
クッキー、チョコレート、ドーナツ、ケーキ、おまんじゅう、インスタント食品、加工食品、お惣菜、菓子パン、総菜パン、食パンなど
これらのうち、毎日どれか1つでも食べている人が世の中では大多数だと思います。
それどころか毎食のように食べている人も珍しくないのではないでしょうか。
慢性的な低血糖状態、または低血糖発作を繰り返すうちに人格の変化、記憶障害、精神の病等の症状を抱え、やがてアルツハイマー型認知症にかかるリスクが高くなります。
脳機能の低下は脳内の酸素不足も大きく影響しています。
高齢になると、血糖値が正常に戻っても回復が悪くなりがちです。
アルツハイマー型認知症の患者の特徴として、脳内の血液量、酸素消費量、ブドウ糖の消費量が正常の人よりも低いことが明らかにされています。
アルツハイマー型認知症は患者の食生活と関係があると指摘されており、特に精製した糖分の過剰摂取が目立っています。
具体的にどれくらい過剰かと言いますと、
・アメを一日中なめている
・大福やお饅頭を一度に5個くらいは平氣で食べる
・一杯のコーヒーに砂糖を3~4杯入れて飲む
・アイスクリームを1日に5~6本食べる
驚くほど大量に食べています。
多くのアルツハイマー型認知症の患者は若い頃から糖分を過剰に摂取し続け、発症した後はより酷くなるといった傾向が見られます。
長年のこうした食生活によって、インスリンを過剰に分泌させている事が分かります。
実際にアルツハイマー型認知症の高齢の方が、症状が進むにつれて甘いものをより欲しがるようになり、家族の分まで取り上げて食べるようになってしまったため、家の中にお菓子を置かないようにしたら、進行がストップしたという事例があります。
精製された糖分の摂り過ぎが、アルツハイマー型認知症にかかるリスクを高めている事がはっきりと分かりますね。
これほど甘いものを食べれば、一日中倦怠感を感じて何もやりたくなくなります。
そして、また甘いものを食べたがるの繰り返しの生活だっただろうと想像できます。
こうした生活を何十年も続けた後にアルツハイマー型認知症を発症した人が多くいますが、
発症するまでの間も体や心が辛い状態が長く続きます。
アルツハイマー型認知症を発症すると家族のことさえ分からなくなり、物事の判断力も落ちていきます。
人間として当たり前の生活が出来なくなる事は、当人にとっても家族にとっても大変辛い事です。
大事に至る前にまず食事を改善して、リスクを減らす習慣化が必要です。
若い人も何十年も先の事だからと呑氣に構えていられません。
今若い人は、幼い頃から糖分漬けになっている人も少なくありません。
母乳を与えるのが面倒だと言ってスポーツドリンクを赤ちゃんに与えてしまう母親がいる時代です。
親が甘いものが大好きだと、家にいつもお菓子がたくさんあり、料理も甘い味付けをする傾向があるため、子どもも自然と甘いもの(精製された糖分)が大好きになってしまいます。
また、低血糖症は精神疾患にもつながります。
統合失調症の患者に低血糖症状が見られることが専門家の調査によって分かっています。
医療機関では症状だけを見て病名をつけ、症状を抑えるために薬を投与する方法をとります。
原因には触れないので、患者は糖分の摂り過ぎとの因果関係に氣づかないまま苦しむことになってしまいます。
低血糖症を改善させるには、食事の見直しが必要です。
糖分は未精製のものをメインで食べる事が重要で、玄米はまさに理想的な食材です。
胚芽にビタミン・ミネラルが含まれていますので、食後の血糖値の上昇が緩やかです。
また、体内のビタミン・ミネラルを過剰に奪うこともありません。
低血糖症の人は食物繊維も不足しているため、腸内環境の悪化に伴って代謝も悪くなります。
パンやお菓子、インスタント食品には食物繊維は入っていません。
野菜や果物、豆類をどんどん食べましょう。
食物繊維は血糖値の急上昇を抑え、腸内の老廃物を吸着して排泄します。
腸内環境が改善されるので、栄養吸収が良くなり、代謝が上がります。
玄米菜食は栄養バランスに優れ、体にとって薬となる理想的な食事です。
主食を玄米に変えると気持ちが穏やかになったり、イライラが抑えられたりと、心理面にも変化が表れます。
はつらつと生きる人と、いつもだるそうにしている人。
この差は生まれつきの体質よりも、食習慣によって左右されます。
特に今のような安全な食べ物が手に入りにくい時代においては
食生活の良し悪しが5年後、10年後の健康状態に直接影響しますので、
早いうちから美味しい玄米菜食を体に馴染ませることが重要です。
山本 和佳