・世界中で認められてきた効果
・薬効が高い2大成分
・○○が明暗を分ける
東洋では自然の力を借りて自然治癒力を高め、体の不調を治す知恵や技術が発達しました。
一方、西洋では体に表れた症状に対処する方法が主流となり、戦後になると日本に西洋医学が入ってきました。
風邪を引いたら病院に行って薬をもらう事が当たり前という人は、西洋医学に洗脳されてしまっています。
現代人は薬と聞くと、後者の薬を思い浮かべる人が圧倒的多数です。
食べ物を薬として用いないから病氣になっているのに、それを治そうと不自然な化学物質を体内に入れても良くなりません。
日本では昔より身近な食材が民間療法に用いられ、風邪や痛みなどの症状を和らげる知恵を多く持っています。
薬効が高い食材の1つに挙げられるのがしょうがです。
しょうがはもともとインド原産で、2000年以上前に世界中に広まり、その優れた薬効から様々に重用されていました。
古代ギリシャでは、哲学者ピタゴラスがしょうがを消化の薬として使用していたと記録されています。
中世ヨーロッパでペストが大流行した時、しょうがを食べていた人達が感染しなかったことからジンジャーブレッドが生まれました。
中国では紀元前500年頃に活躍した孔子が、毎日しょうがを食べていたと言われています。
また、漢方薬の約70%にしょうがが基本成分として用いられています。
こうしたエピソードからも、しょうがには病氣を予防・改善する効果が高いことが伺えます。
最近でもしょうがは体を温める効果が高いと話題になりましたが、しょうがは寒い季節だけのものではありません。
蕎麦の薬味や和え物、漬け物などの料理に使われ、一年を通して食べられています。
昔から重宝されてきたしょうがは、現代人が持つ不調の改善にも大いに役立ちます。
今回は、しょうがの持つ様々な効果をご紹介致します。
まず、しょうがの高い薬効をもたらす代表的な成分がジンゲロールとショウガオールです。
ジンゲロールは血行促進、殺菌作用、免疫力アップ、抗がん作用などの効果があります。
一方ショウガオールにも抗酸化、殺菌、解毒、免疫力アップ、コレステロール値を下げるなど様々な効果があります。
生のしょうがはジンゲロールが豊富ですが、ショウガオールはほとんど含まれていません。
しかし加熱することでショウガオールが何十倍にも増えて両方の栄養効果を得られるのです。
漢方薬には乾姜といって、蒸した後で乾燥させた生姜が使われています。
薬として役立てられてきたしょうがの主な効果をご紹介します。
●体を温める
しょうがを食べると体がポカポカしてきますね。
ジンゲロールは血行を良くして体温を上げます。一方、ショウガオールは体の発熱作用を促して体温を上げます。
生で食べても体が温まりますが、加熱することでその効果が倍増します。
体温を適切(36.5℃以上)に保つことは、健康を維持する上で必須条件となります。
体温の高い人は免疫力が高いので風邪を引きにくく、かかったとしても早く回復します。
低体温の人は例外なく免疫力が低く、病原菌やウイルスなどが免疫をすり抜けてしまい、それが体内で増殖します。
体温が1℃下がると免疫力は30%ダウンしますので、日頃から風邪を引きやすいなど体調を崩しがちです。
また、がん細胞は体温が35℃前後の時に最も活発になります。
低体温を改善すればがん細胞の働きを抑え、がんの予防効果も上がります。
●血糖値を下げる
体温が上がると体が活発に働くようになり、代謝がスムーズになります。
代謝とは、体内の糖分や脂肪を燃焼させてエネルギーを作り出す事であり、その働きが活発になると体内の糖が使われます。つまり血液中の糖濃度が下がるのです。
高血糖状態は精製食品の食べ過ぎや代謝の悪さが原因で、長期間続くと肥満や糖尿病など深刻な病氣へと進行していきます。
血糖値の上昇を抑えることは糖尿病や肥満の予防・改善につながります。
●余分な水分を排泄する
代謝の悪い状態で水分を多く摂ると、水分が上手く排泄されず体内に溜まって体の冷えを招きます。
しょうがは体内の余分な水分を排泄する働きがあります。
つまりデトックス作用があるため手足のむくみ、冷え、生理痛、膀胱炎を改善してくれます。
さらに体がスリムになるので、ダイエット効果もあります。
花粉症などのアレルギー症状も体内に余分な水分が溜まることで引き起こされます。
代謝を上げれば、アレルギー症状の改善も期待できます。
また、しょうがは殺菌作用が非常に強いことでも良く知られています。
ピリッとする辛みとツーンとする匂いがあり、しょうがには虫が寄りつかない事からも殺菌効果の高さが分かります。。
胃を健康に保つ効果もあり、食中毒の予防にもなります。
●氣分が良くなる
しょうがを食べると全身の血流が良くなり、脳の血流も改善されて氣分が良くなります。
漢方では氣の流れを良くするものを「氣剤」と呼びますが、しょうがは氣の巡りを良くする代表の食材です。
また、体が温まることによってリラックスするので、寝つきが悪いとかぐっすり眠れないといった睡眠の問題も改善してくれます。
体温と心の状態は関係が深く、低体温の人はうつになりやすい傾向があります。
体温が低いと血管が収縮して、常にストレスがかかっている状態のため、同じ物事に直面しても体温が高い人と比べるとストレスのダメージを受けやすいのです。
低体温の人は、体温を正常値に戻す事が健康への第一歩です。
●血栓を溶かす
脳血管障害の約70%は脳の血管に出来た血栓が原因で起きています。
血栓で血管が詰まるのは食生活の乱れが大きく影響していますが、低体温とも関係しています。
人間の体は血栓が出来るとそれを溶かそうとしますが、その際に働く酵素は体内が37℃前後になると活発に働く性質を持っています。
つまり、体を温めることで脳梗塞や心筋梗塞のリスクを減らすことが出来ます。
体が温まって酵素が活発になると代謝や栄養吸収、内臓の働き、血液の循環、考えることなどあらゆる機能が上がります。
逆に低体温だと血栓を溶かすことが出来ず、血流が滞るので動脈硬化や糖尿病、がんなど重篤な病氣にかかるリスクが非常に高くなります。
体温が高い人と低い人とでは、健康面で雲泥の差が出てしまいます。
しょうがの持つ薬効は素晴らしいですね。
体温を上げる事で体の様々な機能がアップして、それらが連動して良いサイクルが回っていきます。
しょうがは手頃な値段で一年中手に入りますので、是非活用してください。
ただ注意していただきたいのは、しょうがさえあれば良いという訳ではないという事。
いくらしょうがを食べても、肉食をしたりインスタント食品ばかりの食生活をしていては意味がありません。
「暴飲暴食をしても、しょうがを食べれば何とかなるだろう」は西洋医学から来ている誤った発想です。
例えば、しょうがには体を温めたり免疫力を上げる効果があります。
しかし腸が免疫機能を司り、血液の状態も腸内環境と繋がっているので、腸内で悪玉菌が増えるような食事をしていたら、せっかくのしょうがの効果も発揮されないのです。
食材をなるべく無駄無く食べることが大切です。
お米はまるごとの状態の玄米を食べれば無駄がありません。
味噌や醤油は大豆の栄養価を上げた発酵食品ですし、野菜や果物もほとんど無駄無く食べられます。
食べたものが体の薬となる。
そのような食事をメインにすると体温が上がり、体の不調も改善されていきます。
山本 和佳