・食品メーカーが白砂糖を大量に使いたがる訳
・白砂糖の持つ性質
・赤ちゃんの発育にも問題が・・・
食品メーカーが販売している商品を見れば、白砂糖を避けることは難しいと分かるでしょう。
甘いものは好きじゃないという人もインスタント食品や冷凍食品、お惣菜を食べているならば、知らず知らずのうちに白砂糖を口にしています。
白砂糖があらゆる食品に使われるのは、メーカーにとって大変都合が良いからです。
加工食品はただ甘くするだけではなく、白砂糖の持つ性質を巧みに利用して商品化されています。
メーカーの思惑を知ると、白砂糖は以前のように食べられなくなります。
白砂糖が多用される理由は実に様々です。
まず1つめは「良く溶ける」ということ。
白砂糖は水分に大変溶けやすい性質を持っています。
温かいコーヒーにスプーン一杯程度の白砂糖を入れれば、一瞬で溶けてしまいますね。
白砂糖がどれくらい溶けやすいかというと、0℃の水100mlに対して179gも溶けます。
さらに温度が上がるにつれてその量は増え、20℃で204g、100℃では487gにも達します。
そのため、加工食品を口にしていると氣づかないうちに大量の白砂糖を消費してしまいます。
例えばスポーツドリンク。コマーシャルでは爽やかなイメージを与えていますが、実際はかなりの量の白砂糖が入っています。
また、キャラメルやキャンディーのように白砂糖を加熱した後で成形して固めるお菓子もあります。
他の材料と混ぜ合わせるのも自由自在なため、今や数えきれないほど多種類のお菓子が売られています。
そのため、さまざまな加工食品に使いやすいのです。
そして2つめは「水分を保持する力」です。
「しっとり」という売り文句につられて食パンを買い求める人もいますが、実はこれにも驚くほど白砂糖が入っています。原材料表示を見ると、だいたい小麦粉に次いで白砂糖が多く使われているため、食事というよりお菓子といった方が良いかもしれません。
これほど白砂糖が使われるには、単に味を甘くする以外にも理由があります。
白砂糖には周囲から水分を奪って、その水分を抱え込む性質があります。
デンプンに溶け込んでいる白砂糖が水分を保持することで、デンプンの劣化を遅らせているのです。
いつまでもしっとり食感が続くので、メーカーにとって好都合というわけです。
また、水分を保つ事でツヤや照りが出るため、美味しそうに見せる効果もあります。
ふわふわのスポンジケーキ、お菓子類、お惣菜などはその好例です。
白砂糖の使用を極力抑えている(または不使用)天然酵母パンは中の水分が徐々に蒸発し、翌日にはパサついています。
これが本来の食パンの姿ですが、食品メーカーとしてはすぐに腐ると困るため、白砂糖を入れていかにも鮮度が良さそうに見せます。
3つめは「防腐効果」です。
ご存知の通りようかんには白砂糖が大量に使われているため長期保存が可能で、手土産としても重宝されます。
ようかんは主に小豆と寒天から作られています。
ゆでた小豆と寒天が混ざるとそこに微生物が住みつき、そのまま放っておけば微生物がどんどん繁殖して、やがて食材を腐らせます。
しかし、白砂糖を大量に使うと微生物が住みついたとしても白砂糖の浸透圧作用によって、微生物の細胞膜を破って中の水分が吸い出され、微生物を死滅させて腐敗を止めてしまいます。
ただ、白砂糖の量が中途半端だと微生物がそれを餌にして繁殖するため、大量の白砂糖が使われます。
家庭で小豆あんを作る場合でも、小豆の重量の半分以上もの白砂糖を使います。
これでもかなり多いですが、市販の小豆あんにはもっと大量の白砂糖が使われていて、小豆の重量よりも白砂糖の方が多い事も珍しくありません。
また、ようかんにツヤがあるのは、細胞から吸い出した水分を砂糖が抱え込むためであり、それが美味しく見えるように引き立てています。
小豆あんを炊く時に白砂糖を加えると、小豆の中の水分が一氣に外へ出てツヤツヤになります。
これも浸透圧作用を利用しているのです。
つまり白砂糖には腐敗を強制的に止めて、日持ちを良くさせている強い防腐作用があるのです。
市販の加工食品は何か月も日持ちがするように作られています。
本来なら腐るものを腐らせず、味も見た目もほとんど変わりません。
不自然な食品をいくら食べても、体に害を与えるばかりで栄養を補給する事は一切出来ない事を今一度知っておいてほしいと思います。
最後の4つめは「味を変える」という性質です。
ただ甘い味付けをするだけではなく、他の味を和らげるという白砂糖特有の働きがあるのです。
例えば苦味の強いコーヒーに白砂糖を入れると、苦味が和らいで口当たりが良くなります。
また、カクテルなど甘い味のお酒をついつい飲み過ぎてしまうのも、白砂糖の作用によるものです。
さらに鮮度が落ちて生臭い魚や肉に白砂糖を加えると、生臭さが消えます。
しかし鮮度が戻るわけではありません。ただ生臭さがしなくなるだけです。
もちろん食品メーカーもこの作用を存分に利用しています。
粗悪な材料でも白砂糖を大量に入れてしまえば、味をごまかせてしまうのです。
加工食品のほとんどに白砂糖が使われているのには、こうした理由もあるのです。
味が良くて安価で売れれば言う事なしという訳です。
その他にも白砂糖に塩を少量入れると、甘味が増す作用があります。
以前、塩キャラメルや塩大福がヒットしましたが、それは白砂糖だけを入れる場合より甘味が増す上に、味が少し複雑になり旨味効果も表れるからでしょう。
逆にどちらかと言えば塩味を感じる合成調味料、レトルト食品、冷凍食品、インスタント食品などにも白砂糖が入っています。
塩味の角が取れてまろやかになり、他の粗悪な材料の味は分からなくなります。
このように食品メーカーにとって白砂糖は万能選手で、まるで魔法の粉とも言えるような存在です。
男性よりも女性の方がお菓子を食べる機会が多いため、どうしても白砂糖の摂取量が多くなります。
生まれてくる子どもにも悪影響が及びますので、特に若い女性は白砂糖を出来るだけ摂らないよう配慮してほしいと思います。
白砂糖をたくさん食べていると妊娠しにくくなり、妊娠したとしても胎児の発育に問題が出てきます。
脳の発育を妨げ、視力の問題、女の子の出生率増加の傾向が表れます。
また、胎盤の形成や分娩が遅く、卵巣ホルモンが上手く働かないため早産や流産の確率が上がります。
それだけではありません。
ようやく生まれてきてもお母さんが白砂糖を食べる生活を続けていると、さらに支障が出てきます。
乳腺の発達が不十分なため、母乳の出が悪くなります。
そうなっても原因を確かめたりせず、安易に粉ミルクに変えてしまう場合がほとんどです。
一方、甘いものが大好きなお母さんから生まれた赤ちゃんは、骨や内臓の発達が不十分で体重も少ない傾向があります。
このような状態で粉ミルクを与えられ、お母さんから母乳をもらえないためスキンシップも減り、心も体も栄養不足になってしまいます。
離乳期を過ぎると、さらに白砂糖の害は表面化してきます。
骨がもろい、骨格そのものが細い、骨盤が小さい、偏平足が多いなど体のあちこちに発達の問題が出てきます。
すると必然的に運動能力や持久力も低くなり、それに伴い集中しにくい、免疫力が低いなど
まるで病氣の巣を作っているようなものです。
白砂糖だけを取り上げても、これほどの害があるのです。
赤ちゃんにとって取り返しがつかず、ハンデのある体で一生過ごさなければなりません。
お母さん方は皆、子どもが元氣に育ってほしいと願っているはずです。
白砂糖を止めるのは無理でも、量を極力減らすことは可能ですので、思いやりのある判断をしてほしいと思います。
次回はさらに詳しく白砂糖の体に及ぼす弊害についてお話いたします。
山本 和佳