【一般無料】手は第二の脳(健康基礎講座)

・手が担ういくつもの役割

・子どもは遊びの中で育つ


「手は第二の脳」と言われるように、人間の脳と手は密接に関わっています。

脳が活発に働かせるために指を体操したり細かい作業が良いと言われるのもそのためです。


手の役割は実に多様で、生活に必要な家事や食事をする時や働く時など
頭で考えている事とスムーズに連携しながら重要な働きをたくさん担っています。


そのため、人間の手は巧みな動きができる構造になっています。


右手と左手は対象になっていて、それぞれ360°回転させる事が出来て長い腕の先に位置しています。

その腕をあらゆる方向へ伸ばすことで、高い場所にあるものを取ったり、
床に落ちたものを拾ったりと、手の可動域はさらに広がります。


手(手首より先の部分)は54個の骨から出来ていて、その数は全身の骨の数の4分の1以上を占めています。


手の骨には多くの筋肉がついていて神経が行き渡っているので、外からの刺激を敏感に感じ取ったり、
それに合わせて手の動きを細かく調整することが出来ます。


このような手のしくみは生まれた時にはまだ出来ておらず、成長の中で獲得していきます。


生まれたばかりの赤ちゃんの骨は軟らかいですが、それが年齢と共に骨の形成が進んでいきます。
幼いうちから手を使う遊びをしたり、様々なものに触れながら感覚器官として鋭くなり、
脳の発達にも良い影響をもたらします。


そして男性はおよそ18歳の頃に、女性は15歳半の頃に骨の成長が完了します。


人間が送る生活のあらゆる場面で、いつでも手は大活躍しています。

掃除をする、料理をする、ペンを持って文字を書く、ドアの開け閉めなど
意識せずとも手は1日のうちに数えきれないほどの仕事をしています。


手の働きと一言で言っても実に様々な役割があり、それを状況や目的に応じて使い分けているのです。
以下に手の役割を挙げました。


①労働

幼いうちは粘土を丸めて形を作ったり、折り紙を折る行動から
道具やものを使って、掃除をしたり食事をするというような生活するための技術へ変化していきます。


②探る、認識する

手は色んな物に触れて、それが何であるか認識する重要な感覚器官です。
特に子どもの頃は「これは何だろう?」と何でも触れてみる機会が多いですね。

これが経験として積み重なり、手の働きをより自在にしていきます。

大人になっても、かばんの中を見ずに手の感覚だけでハンカチを取り出すとか、
暗い部屋の中で電氣のスイッチを点ける、衣服に触れてその日の気温・湿度に適しているか
見極めるといった行動のように、探って認識する手を使っています。


③人とつながる

友達と手をつなぐことで連帯感が生まれます。友達を輪の中に誘う時、手を繋ぎます。
時には繋いだ手を引っ張って助けます。


④伝える

抱っこされた子どもが行きたい方向を指差してみたり、興味のあるものを指差して意思表示をします。

大きくなると、人を案内する時にも方向を指すようになります。


⑤防衛する、守る

危険から身を守ったり、障害物を取り除くなど安全を保つためにも手は働いています。

例えば転びそうになった時、とっさに手をついて身を守ります。
歩けるようになるまで何度も転びながら、手で防衛する力がついていきます。

また、お母さんは子どもが道に飛び出した時に袖などを掴んで、子どもの命を守ります。


⑥励ます、癒す

拍手をして誰かを応援したり、引っ込み思案の子どもの背中をスッと押してあげたりと、
人に対しても自分に対しても力になれる手は、心にも作用します。

怪我をした場所に手をあてて痛みを和らげる「手当て」は「治ってほしい」という氣持ちも伝わるので、
不安を取り除かれたり「よし、治そう」と意欲が沸いてきます。


手は情報を取り入れるための入り口として働く事もあれば、自分の意志を伝えるといった
外側に向けて発信したり、または仲間と交流する相互の関係のように行き来する事もあります。


内側へ、外側へ、双方向とそれぞれ異なる方向性を持った役割を
私達はその時に応じて瞬時に判断して、自由自在に操っています。



人間は左右の手で物や道具を使って何かを作り出し、それを実際の場で使うようになります。

幼い頃に遊ぶおままごと、ブロックの組み立て、工作などはその機能を養う大切な経験です。


やがて親がしている事に興味を持ち始め、料理や家事を手伝うようになります。


日々の生活に生きてくる「手の労働」は、遊びとともにとても大切です。

上手に出来る人の真似をしたり、何度も繰り返して工夫する中で頭も手もいっぱい使いますので、
それが生きるための技術を習得することに繋がっていきます。


野菜を切ったり靴を揃えるといった活動では、途中で放り出さずに最後まで責任を持って
やり抜く事が求められ、自立に向けて一歩ずつ進み出していきます。



意外に思われるかもしれませんが、手の働きは足によって支えられています。
しっかり手が発達するには、足腰を丈夫にすることも重要なのです。

それは歩きだす前から既に始まっています。


ハイハイは土台である足腰を鍛え、移動に必要な平衡感覚を養います。

その上、ハイハイは手と足の役割を分けて、それぞれが上手く連携出来るよう促します。


2本の足で歩く時、手は足の動きと交互になるよう前後に動きます。
ハイハイはバランスをとって歩けるようになるための大切な準備期間なのです。


歩く準備段階として大事な時期には、いっぱいハイハイする事が大切です。
手と足の役割が分かれていく時期でもありますので、足腰を丈夫にして
将来歩くための平衡感覚を身につけています。


手は姿勢や足腰と並行して発達していきます。

手が移動手段から手の働きに変わっていくのは、足が発達する事てはじめて可能になります。



何歳頃にはこの道具が使えるようになるとか言われることもありますが、
もしその年齢になって到達していなくても心配しなくて大丈夫です。

家族構成や環境の影響もあるので、習得の時期にばらつきが出るのはごく自然な事です。

成長していく過程で手を働かせる事を怠らなければ、生活に必要な技術は身についていきます。

年齢はあくまで目安なので、身近な家族はおおらかに見守ってほしいと思います。



手が育つと、想像力や思考力が働くので生きる力が育まれていきます。
手の働きが生きる力になっていくのです。


しかし、スマホやゲームを操作する時は思考力や想像力が働きにくくなります。

人間はボタンを押す動作をするだけで、その先の動きは全て機械が行います。

スマホのように便利なツールは、思い立ってから目的達成まで速いので時間短縮になりますが、
楽をした分手と脳の働きは疎かになってしまいます。

手を動かして色々と探索したり、手で考えたりするプロセスが省かれてしまうのです。


特に体が成長する時期は手を動かす事に時間を割き、家事をしながらコミュニケーションをするなど
手をいっぱい使ってほしいと思います。


大人も手を使う機会が減ると、脳の働きが鈍っていきます。

スマホやパソコンなど便利なものを活用しながら、大切な手や脳の機能を
どこに使うべきか考えて判断する必要があります。


また、それが現代人にとって充実した生活を送るための1つの手段だと思います。



山本 和佳

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