【一般無料】脳と腸の関係(健康基礎講座)

・糖分を欲しがる脳、嫌がる腸

・2種類のエネルギーエンジン

・「しつけは3歳まで」の理由

・食のしつけは、脳をしつけること


食べるものを選択する時の判断は、一般的には頭で行っていると思われています。

しかし、体にとって本当に必要なものは何かという判断は、腸が行っています。

人間の脳は考えたり想像したり、言語を覚えて話すなど独自の能力を持っていますが、
その使い方を誤ると、人類の発展どころか破滅に進んでしまいかねません。

誤った味覚、食欲を抑えられず食べ過ぎてしまう。

その他、心身の不調や病氣までに至るには、脳が腸と違う思考を持ち始めるのが発端となります。

●脳は糖分を欲しがるが、腸は糖分を嫌がる

「おいしい」という感覚を得ると、脳内の報酬系と呼ばれる部分が活性して脳が幸福感を感じます。

しかし、報酬系が満足しすぎる(強い刺激を受ける)と、
例え体の健康を害するとしても、お構いなしに食べ続けてしまいます。

いわば脳と体が分離した状態です。

体に不要なものがどんどん取り込まれれば、心も不安定になってしまいます。

脳は全体重の5%程度でありながら、体中で使われる糖の約20%を脳が消費しています。

もちろん、脳は糖以外の営養も必要としているため、糖分だけ偏って摂ってもいけないのです。

特に精製された糖分を過剰摂取すると、血糖値の急激な乱高下の後で低血糖に陥ります。

キレやすい、イライラ、不安、無氣力など体や精神の活動を妨げてしまいます。

凶悪犯罪しかが増えたことの一因として低血糖が挙げられているのです。

●エネルギーを作り出す2種類のエンジン

体の活動するためのエネルギーは解糖エンジンとミトコンドリアエンジンによって作られます。

解糖エンジンは糖からエネルギーを作り出します。
血中のブドウ糖を利用して瞬時にエネルギーを作るため、瞬発力のある活動に使われています。

若い時は解糖エンジンのエネルギーを必要としています。

特に子どもの頃は成長段階ということもあり、多くの糖を必要としているため
おやつの時間を設けて、おにぎりやいも類を食べてエネルギーに変えているのです。

もう1つのミトコンドリアエンジンは、酸素を原料としてエネルギーを作り出します。
一度にたくさんのエネルギーが作られ、持久力が求められる活動に使われています。

年齢を重ねるにつれて素早い動きが少なくなるため、ミトコンドリアエンジンがメインになってきます。

この2つの仕組みが連携をとって体内のエネルギーが作られています。

ミトコンドリアは酸素を取り込んでエネルギーを作りますが、解糖エンジンからも原料をもらっているため
どちらか一方だけでは生きられません。

脳が糖分を必要としているのは、とっさの時の判断やストレス反応のような
瞬間的な活動に解糖エンジンのエネルギーを使うためです。

ストレスが過剰になると、脳は絶えず糖分を欲しがるようになります。
また、それは体が疲れた時も同様です。

しかし、糖を摂りすぎると、脳細胞が傷つけられてしまいます。
また、糖が過剰になると、ミトコンドリアエンジンの働きも弱まります。

腸ではミトコンドリアエンジンによってエネルギーが作られています。

大腸は短鎖脂肪酸をエネルギー源としていて、
短鎖脂肪酸は野菜や果物の食物繊維などの発酵によって生成されます。

効率良くエネルギーを作り出し、持続力を支えてくれるミトコンドリアエンジンですが、
実はエネルギーを作り出す時に活性酸素も出してしまうという弱点があります。

しかし、その弱点をカバーする方法があります。

抗酸化作用がある野菜や果物などを摂れば、活性酸素を消してくれます。
その上、腸内で善玉菌の餌となって腸内環境を改善させます。

玄米菜食をして、自然の食材を摂るということは大変理に叶っているのです。

●「しつけは3歳まで」と言われる理由

悪い習慣は直す。または子どものうちにしつけられれば、それに越したことはありません。

「しつけは3歳まで」と言われるのは生物学的にも合っているのです。

脳の発達は環境に大きく影響を受けています。

腸内細菌が、子どもを環境に順応するよう導いているので
やはり何を口にするかは大変重要です。

この時期は体と同じく、脳の発達も急激に進んでいきます。

脳の神経細胞であるシナプスの増加率が最も高いのが、生まれてからの3年間です。

この時期は環境の影響を最も受けやすいため、腸内環境を正常に保つことが大切です。

母乳で育てること、離乳食を作ってあげることが、赤ちゃんの脳の発育にも大変良いのです。

3歳までの間は、本当は大自然に任せて過ごすのが良いのですが、
周りに自然が少ない環境の場合も、思いっきり体を動かして遊ぶことが大事です。

しっかり体を動かすと疲れるのでよく眠れますし、
遊んでいる時は五感をたくさん使うので、脳の働きも活発になります。

お母さんと一緒に過ごしてスキンシップしながらのコミュニケーションをしっかりとるのが大事な時期です。

そこへ現代的な物質文明はなるべく持ち込まない事が望ましいです。

知識を詰め込むような英才教育はしない。
スマホを触らせない。
テレビの前に長時間座らせない。

3歳未満の子どもの遊びは原始的なものが良く、走り回ったり、自然の中で遊ぶことや
室内では積木で遊んだり、絵を描いたり、お母さんに歌を歌ってもらったり、絵本を読んでもらう。

そうして感性が豊かな子に育つと、様々なことに好奇心を持ったり、物事に取り組む意欲も増します。

それが学習しようという原動力にもなりますので、知識を覚える学習は4歳以降にすることが大切です。

現代社会に生きていると、脳が司令塔で体がその言う事を聞く主従関係であるかのように思いがちです。

しかし、腸は独自で判断してホルモンを分泌したり、消化吸収、免疫機能を司り、
重要な役割をたくさん担っています。

さらに腸は体が必要としているものが何なのかが、ちゃんと分かっています。

脳はお腹いっぱい食べてもまだ食べたいと思ったり、甘いお菓子やジャンクフードを
繰り返し食べたりと、ときに誤った判断をしてしまいます。

これは報酬系が働いてドーパミンが分泌され、
食べたことで快感が得られると、また食べたくなるという思考・行動を引き起こすためです。

脳が発達したおかげで文明が発展し、わたし達は便利な生活を送っています。

物で溢れていて、食べるものにも困らない生活。

しかし、脳が暴走していては精神が安定しません。イライラや不安。そして体も不調を訴えてきます。

腸と脳が連携しながらバランスをとるのが、理想的な健康体です。

そのためには、玄米菜食の食事をすることです。

玄米には胚芽があるため、食後は血糖値の上昇が緩やかです。

そして、野菜や果物などに含まれる営養素が消化を助けたり、体内の活性酸素を抑えてくれるため
食べた後も体が重くなるというような負担がかかりません。

つまり腸が求めているものを食べて、腸内環境を整える。
どうすれば腸が喜ぶのか、もっと耳を傾ける姿勢と行動が大切です。

山本和佳