知る権利と伝える義務の重要性
信じられないことなのですが、社会全体で使用されている化学物質のほとんどは、人や動物、その生態系に対しての安全性は実際の所、誰も分かっていません。
EUの調査でも、生産量が大きい約2400の化学物質だけに限っても、安全性データが揃っているのは僅か3%だけ、
基本的なデータのみ揃っているものを加えても14%に過ぎないのです。
さらに日本ではそのような調査を行っているのかさえ不明なのです。
このような実際の現状すら知らされずに、次々出回る数十万種の化学物質。
その数に比例するかのように広がる奇病、難病。
世界を見ても人間のみならず動物達への汚染が深刻です。
盛んな工業化で汚染された北米五大湖周辺の水が流れ込むセントローレンス湾のシロクジラがガンにかかる率は異常なほど高いです。
その体内からは、PCB、DDT、PAH、これ以外にも重金属類の高濃度汚染が確認されています。
またホッキョクグマにも多くの化学物質汚染が確認されています。
この汚染は、哺乳類にとどまらず、鳥、魚、軟体動物以外にも広がっています。
私達が知る生態系への汚染率の情報は極めて少なく、真実が分かりません。
取り返しがつかない深刻な状況になっていても簡単に見逃されてしまいます。
そして、その化学物質に最も囲まれた生活をし、食物連鎖の頂点に立っている人間こそ、一番汚染される結果となります。
現代人の血液中の化学物質汚染調査では、やはり数多くの人工化学物質が高率に検出されます。その汚染は母乳にも広がっています。
1950年代の母乳にはDDTが発見されました。そして1970年代にはPCBが見つかり、今では少なくとも350種類以上の化学物質が検出されています。
母乳中の化学物質の増量の推移は、やはり化学物質の生産量・使用量の伸びと一致しています。
このような異常事態をただ黙って受け入れているのが、残念ながら今の現状です。
そして病気の子どもは増え続けています。
化学物質の影響は、少なくとも三代先にまで現れると言われています。
そして特に子どもは化学物質に対する感受性が高いのです。
国側が言っている化学物質の安全評価は、物質の有害性と暴露を掛け合わせ、リスクの大きさを判断するリスク評価を基本に行われてきました。
つまり、いくら毒性が強くとも、微量なら問題なし…と言う理屈です。
そこには現実的な安全性データはほとんど無く、暴露情報も限られています。
ごく一部の物質にだけ当てはまっても、多くの化学物質は危険極まりないことです。
ごく微量でも、それを習慣的に食べたり飲んだり、皮膚につけたりすれば、やがて病気になったり死んだりします。そのことは動物実験が証明しています。
現代では化学物質を含んだ商品が溢れかえっていますが、その種類、量、毒性などの詳しい情報は知りたくても情報を出さないので知れません。
私達は、知る権利をもっと主張すべきです。しり込みせずに、インターネットでの情報や図書館などで情報を集めましょう。
疑問なことはメーカーに電話したり、企業や行政とのコミュニケーションを積極的に取りましょう。それは自分の体を守ることへもつながります。
そして知ったら、知らない人へ伝えましょう。知る権利と伝える義務は表裏一体です。
興味の無い人へも一応は簡単にでも、そのような事実があることだけは伝えてあげるべきでしょう。健康・命にまつわる問題ですから。
環境に関わる情報公開、そのような情報が集まる場への参加、司法へのアクセス(裁判を起こす権利)などは持続可能な社会にとっての必須条件です。
そのためにも、隠蔽された情報を、市民の視点から公開したいと思います。