定山渓熊牧場は、札幌市南区の定山渓温泉の観光名所の一つで、来園者の低迷に加え、施設の老朽化も進み、飼育環境の改善が見込めないと管理会社が判断し、2004年に閉鎖している。
ここでも人間のエゴにより動物が犠牲になっている。
2004年に閉館したこの牧場だが現在でも熊は悲惨な環境で過ごしている。。。
以下ALIVEが札幌市に提出した要望書だ。
1.約1年間で飼養個体の半数が死亡した件について
最新の調査によると、約1年の間に13頭のヒグマのうち5頭が死亡した事実が明らかになっています。
短期間に5頭も死亡するということについては、専門家 も疑問を呈しており、死因の究明については、市の指導の下に行われるべきであったと考えます。
実際の映像等の分析により、全ての個体(死亡個体を含む)が老齢であることはなく、死亡したクマの死因を老衰で片づけることはできません。
同施設のように、複数頭の同種の動物を限定されたスペースで飼養している場合、感染症等の疑いも否めません。
このようなケースにおいては、剖検等で死因や病原体を明らかにすることが必要です。
また、死亡に至るまでの経緯や症状等を、飼養管理者が把握していないことは不自然です。
前回の要望書への回答のなかで、個体識別情報に関する台帳等の整備・保管を指導するとありますが、台帳の中に、体調の変化等が目視確認された個体についての日常記録も残すよう指導することを求めます。
2.雌雄混合飼養の改善について
平成23年10月3日付のご回答によると、市は繁殖を制限するための措置を講じるよう指導、それに対し飼養者側は「基本的には雌雄別の飼養を計画」と回答 しているとあります。
しかし、依然として、同施設では雌雄混合での飼養が行われています。
以前の調査においても交尾行動が確認されており、繁殖の可能性があること、出産しても子どもが殺されることがあること等を踏まえ、早急に雌雄を離して飼養するよう強く指導することを求めます。
3.個体識別措置の実施について
定山渓クマ牧場の付近には、野生のヒグマが生息しており、万が一同施設の飼養個体が逸走した場合、野生個体との識別が困難であることからも、極力マイクロチップ等の個体識別措置を行うべきと考えます。
(秋田県の阿仁クマ牧場では、多数のツキノワグマを飼養展示していますが、同牧場の周辺が野生のツキノワグマの生息地でもあることから、北海道大学の協力を得て、マイクロチップによる個体識別を実施しています。)
また、マイクロチップの埋め込みの可否については、クマの専門家の意見を参考にするべきです。
同施設のクマについて、マイクロチップの埋め込みができないのは「老齢のため」という理由が挙げられていますが、前述したとおり、全頭が老齢であるわけではありません。
特定動物の個体識別措置は、地域住民の不安をできる限り取り除くためにも実施されるべきです。
4.同施設の情報共有・公開について
同施設がある定山渓温泉は、年間240万人が訪れる歴史的な温泉街であり観光地です。
このような中で、同施設のような劣悪な動物飼養施設の存在は、一帯の観光業者にとってもはや放置することができない問題にまでなってきていると考えられます。
観光客や各施設の従業員、周辺住民等の安全を確保する意味からも、災害時やクマの逸走時に対応するマニュアル等について、市や観光協会等が率先して作成・共有・公開することを求めます。
また、日頃より、同施設のクマの飼養頭数や状況についても、地域住民等が知ることができるように、積極的に情報を公開するよう努めることを求めます。
5.他の動物園や専門家等への協力要請等について
先 般、改正された「動物の愛護及び管理に関する法律」第27条第1項第1号では、新たに「特定動物の飼養又は保管が困難になった場合における措置」を環境省 令で定めるとし、その方法として今年の9月からは、特定動物の譲渡先名又は譲渡先を探すための体制、又は殺処分(イの措置を行うことが困難な場合であっ て、自らの責任においてこれを行う場合に限る)のいずれかを許可申請時に明確にすることが求められます。
同クマ牧場では1年間で半数近い個体が死亡するという、ネグレクトを疑われてもおかしくはない状態であり、すでに飼育困難な状況であることが推察されます。
とはいえ、上記改正法の主旨に則り、殺処分を選択することは、秋田県八幡平クマ牧場の事例同様、観光地である当該地域においてイメージダウンにつながり、大きな損失をもたらすことが容易に想像できます。
そ のため、改正法施行前であっても、現時点から現在の飼育環境に対しての指導と並行しながら、動物福祉に適った飼育方法を実行できる道内の動物園に対し、今 後の同施設への助言や指導、協力等の要請を行うと共に、クマの譲渡についても視野に入れて検討していくことを求めます。
2012年4月、秋田県の八幡平クマ牧場では、施設を脱走したヒグマにより従業員2名が襲われて死亡し、クマ6頭が射殺されるという痛ましい事故が起きている。
動物園のあり方について、しっかりと一人一人が考えていかなければいけない。