おすすめ映画「未来の食卓」

未来の食卓
原題: Nos Enfants Nous Accuseront
監督: ジャン=ポール・ジョー
プロデューサー: ベアトリス・カムラ・ジョー
撮影: ジョエル・ピエロン、アマル・アラブ
音楽: ガブリエル・ヤレド
製作国: 2008年フランス映画
上映時間: 112分
配給: アップリンク

あらすじ:
結腸癌を克服したフランスの映像作家が、南仏の小さな村の試みを通じ、食物汚染や環境汚染を訴えるドキュメンタリーです。
フランス南部に位置するバルジャックでは学校給食を全てオーガニック化するという前例のない試みをスタートしました。
この村を一年に渡り密着したドキュメンタリーを中心としつつ、一方では農薬や科学肥料がもたらす身体や土壌への悪影響を暴いていきます。
国民の健康よりも生産者や企業の利益を優先する現代の食産業の実態に警鐘を鳴らす意欲作です。

映画はフランスのユネスコ・パリ本部で、「ガンと環境汚染」のシンポジウムが行われているシーンからはじまります。
そこでは、農薬がいかに人体を侵しているかが語られていきます。
フランスは欧州随一の農業大国であり、最大の農薬消費国でもあるのです。
ここでは農薬の成分とその影響をきちんと解説しています。
BGMはちょっと大げさに聴こえますが恐ろしさは充分伝わります。
一方、南仏のパルジャック村では、小学校の給食を全てオーガニックにするという画期的な試みが始まります。
この村でも有機農家は極わずかですが、村長の熱意もあってオーガニック化は賛同を得ます。
ここで面白く感じたのは、日本とは違い給食といっても食べるかどうかは個人の自由です。
毎回、係りの生徒が給食を食べるかどうか尋ねてまわり、結果を給食センターの係りに報告にいくのです。
さて、オーガニックに対して村人達が真剣に話し合う姿も映像には納められています。
一般の農家と有機農家の対話の様子はとても興味深いと思います。
このなかで一般農家の一人が言います。
「有機農業は生産性が低いから、とても全ての需要をまかなえないだろう。」
これはオーガニックに対するよくある疑問(批判?)ですが、この映画はきちんと答えています。
また、この映画のテーマはオーガニックであってベジタリアンではないので、肉やチーズを食べるシーンもあります。
しかし地球温暖化と畜産の問題に触れることも忘れてはいません。
個人的にはもっと主張してほしいと思いましたが、やりすぎるとテーマがぶれてしまいますから仕方ないかもしれません。
こうして村にオーガニックの考えが徐々に浸透していく様を、南仏の美しい自然の風景と共に1年をかけて描いていきます。
オーガニック食材のすばらしさを知った人々、とくに子どもたちの変わりようは明白で、驚きさえ感じられます。
この自然と調和する村の様子と対比して描かれるのが、農薬の大量散布のシーンとそれがもたらす健康被害などの証言映像です。
その内容の恐ろしさに背筋が寒くなると同時に、「こんなことをいつまで続けるのか?」と憤りを感じざるをえません。
すでに農薬の恐ろしさをよく知る人や、オーガニックな生活を実践している人には物足りないと感じるかもしれませんが、「入門編」としては充分見応えのある作品だと感じました。

(小田切聖之介)


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