監督:アーロン・ウルフ
制作・出演:イアン・チーニー、カート・エリス
2007年/アメリカ/90分/カラー
NAGAI pro情報マガジン「アズワン」Vol.3の映画コーナーでご紹介した「キング・コーン」がDVDで発売されています。
「アズワン」Vol.3はすでにバックナンバーが残っていないので、あらためてご紹介したいと思います。
大学を卒業した二人の若者が、アメリカの農作物生産とその利用に興味を持ち、畑を借りて、トウモロコシを栽培するところから映画は始まります。
ゴーグルをかけて肥料を注入し、18分で除草剤抵抗性組換えトウモロコシ(なんと品種改良で栄養価が低くなっている?!)3万粒余りの種を播いた後は、強力な除草剤を散布したら終りです。
もう他にはやる事がない彼らはトウモロコシがどこへ出荷されるのかを調べる旅に出かけます。
コロラド州では食用牛のエサとして大量に消費されるのを目撃します。
アメリカでもっとも多く使用されている甘味料(ありとあらゆるお菓子やジュースに含まれる)はコーンシロップであり、ファーストフードでポテトを揚げる油もコーン油であることを知ります。
もはやアメリカの食産業はトウモロコシに完全に依存してしまっているのです。
秋、トウモロコシの収穫量は5トンにもなりますが、収支は赤字です。
しかし、政府からの補助金で利益は出ます。
ハンバーガーが1ドルで食べられるというシステムには、こういう背景があることが理解されます。
アメリカはトウモロコシの消費拡大のために飼料や食品添加物への利用を促進し、より収穫量が多く、高デンプン含量と引き替えにアミノ酸などの栄養価が低いトウモロコシを育種し、効率的な農作業や家畜の肥育のための技術を開発してきました。
その結果はというと、肥満や糖尿病などの栄養過多に伴う疾患に苦しむ食公害の蔓延です。
主人公の二人が、自分たちが栽培したトウモロコシを食べて思わず「ぺっ」と吐き捨てるシーンや、あるトウモロコシ農場主の「俺たちはクズを作っている」という言葉が象徴的です。
この映画で描かれていることは決して対岸の火事ではありません。
日本の自給飼料はすでに壊滅しています。
アメリカから輸入した飼料で育てられた不健康で脂肪まみれの牛の肉を食べ、コーンシロップを使用した炭酸飲料ばかりを取り続けていると、お腹はふくれても病気になるどころか、やがて死に至るでしょう。
下のグラフをご覧ください。
世界のコーンの消費量を表すグラフですが、飼料用消費量(緑の線)が食用その他の消費量(赤い線)の常に1.5倍以上あるのがわかります。
しかし牛肉1Kgを生産するのに飼料11Kgが必要と言われていますから、単純に言えば食糧としての生産量は11分の1しかないことになります。
さらに食用その他消費量にはもちろん先のコーンシロップやコーン油も含まれていますから、実際に主食として消費される量はずっと少ないのです。
世界中では10億人近くの人々が飢えに苦しんでいると言うのにです。
この映画を観たら、あなたの食生活を見直すキッカケになることは間違いありません。
また11月27日に開催される国際有機農業映画祭2010で、この映画の続編が上映されるそうです。
新作では彼らの畑で使われた肥料、農薬がテーマになっているようです。
都合のつく方はご覧になってはいかがでしょうか。
スケジュールなどはこちら
国際有機農業映画祭2010公式ホームページ
(小田切聖之介)


