歴史から見る放射線の害と、そこから学べる放射線被害を防ぐ予防法とは!?
1895年、ドイツの物理学者であるウィルヘルム・コンラッド・レントゲンにより初めて目に見えない放射線が見つけられました。
見つかった放射線は発見者の名前からレントゲン線と呼ばれますが、エックス線と呼ぶほうがなじみがあると思います。
1895年といえば19世紀の終わりごろです。
エックス線が発見されてからはそれを利用する研究が行われました。
そして、その研究が行われるにつれ、放射線が原因と思われる様々な症状が報告され始めます。
最初の人工放射線の被害報告といってもいいでしょう。
ドイツの学会誌に載った報告によると、エックス線が発見されてからおよそ2ヵ月後に放射線の実験をしていたアメリカの技術者から脱毛の症状が現れました。
さらに、皮膚の異常も起きています。
皮膚が赤くなる、水ぶくれができる、潰瘍を起こし、その部分が瘢痕(はんこん)化するといった症状の報告がありました。
他では、皮膚が壊死してしまい、切断を余儀なくされた研究者もいました。
放射線の研究で、ノーベル物理学賞、ノーベル化学賞を受賞したキュリー夫人も放射能障害による再生不良性貧血(現在で言う白血病)で亡くなっています。
また、ラジウムが含まれる鉱石が採掘される鉱山では、その一帯だけに起こるといわれる病があったそうです。
広く鉱山病と呼ばれていますが、症状は呼吸器系の障害で、後の調査から正体は肺ガンであったことがわかっています。
前回までにご紹介したとおり、人間にはある程度の放射線を浴びてダメージを受けてもそれを修復する機能(自己免疫力や自然治癒力)が備わっています。
ですが、放射線によりこういった症状が過去に起こっているということは、人体にとってこれ以上浴びたらダメージの修復が追いつかないという危険な度合いがあるということになります。
19世紀末に行われた放射線の実験中に被害にあった方々は、大量の放射線を短期間のうちに浴びたため、比較的早く症状が現れる「早発影響」が起こったと考えられます。
また、放射線を長期的に浴び続けた結果、十年以上たってから症状が現れることを「晩発影響」といい、こちらは忘れたころにやってくることがやっかいです。
上記した放射線の作業者たちも退職後に皮膚炎や皮膚ガン、白血病などに悩まされたといいます。
ただ、同じ作業者でも症状の出る人と出ない人とに分かれます。
「早発影響」は一度に大量に浴びてしまうことが問題なので予防することは困難かもしれませんが、「晩発影響」については皮膚炎で治まる人や、ガンにまで発展してしまうなど、症状に差が見られます。
これは、十数年という長い年月の間に放射線によるダメージを受け続けた状態からどれだけ自己免疫力等により修復できているかが考えられます。
放射線による障害は過去の歴史から見ても実際に起きていることは明らかです。
放射線による被害をできるだけ減らすためにも、日ごろからどれだけ免疫力を下げない生活を送れるかが大切な課題となります。
川野 ゆき