おすすめ映画「トゥルー・グリット」

新作DVDからおすすめをご紹介します。
監督にコーエン兄弟、製作総指揮にスティーヴン・スピルバーグという豪華コラボレーションの西部劇。
本年度アカデミー賞に作品賞、主演男優賞ほか10部門でノミネートされました。

上映時間:110分
製作国:アメリカ
初公開年月: 2011/03/18
監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ他
原作:チャールズ・ポーティス『トゥルー・グリット』
(『勇気ある追跡』改題/早川書房刊)

マティ・ロスは責任感の強い14歳の少女。ある寒い雪の夜、父親が雇人のチェイニーに撃ち殺されてしまう。
父の形見の銃を譲り受けたマティは、真の勇気を持つといわれる保安官コグバーンにチェイニー追跡を依頼。
別の容疑でチェイニーを追っていたテキサスレンジャーのラビーフも加わり、犯人追跡の過酷な旅が始まった。
一方、逃亡者となったチェイニーは…。

ジョン・ウェインがオスカーを受賞した「勇気ある追跡」のオリジナル原作を、「ノーカントリー」のコーエン兄弟がリメイクしました。
主演の保安官コグバーンは「クレイジー・ハート」で第82回アカデミー賞主演男優賞のジェフ・ブリッジス。
共演はマット・デイモン(テキサスレンジャー)、ジョシュ・ブローリン(チェイニー)ほか少女マティ・ロス役には本作が長編映画デビューとなるヘイリー・スタインフェルドなど。

「トゥルー・グリット」のグリットとは(困難にあってもくじけない)勇気、気概、闘志のこと。
つまり”本物の勇者”を意味します。
この勇者とは誰かが、この映画の見所のひとつです。
オープニングは少女マティ・ロスのナレーションではじまります。
父親の事件もナレーションで説明、自宅から遠く離れた場所で殺されたことがわかります。
この町へ少女がたった一人で父の遺体を引き取りにやってくるところまでテンポよく進みます。
ナレーションの口調からも彼女が意思の強いしっかりした女性であることが伺われますが、登場するや周りのおとな達に一歩も引けを取らないその理路整然とした台詞や態度には驚かされます。
しかし、彼女が強い態度でおとな達をやりこめるたびに、彼女の父の仇を討つという決意の裏で必死に悲しみをこらえていることが伝わってきます。
このあたりはデビュー作の必死さを上手く演出に活かしたコーエン兄弟の作戦勝ちでしょうか。
もちろんそれに応えた彼女の演技も見事で、助演女優賞のノミネートもうなづけます。

主演のジェフ・ブリッジス演じる保安官は実は元泥棒で大酒飲みの自堕落な男です。「クレイジー・ハート」のカントリーシンガーでもそうでしたが、飲んだくれの役が板についてきたようです。
ただし「クレイジー・ハート」であれだけ見事なノドを披露したと言うのに、本作で酔っ払って歌う(というよりガナる)ジェフ・ブリッジスはひどいものです。
しかしこれが演技というものでしょう。

テキサスレンジャー役のマット・デイモンは一言でいえば「熱血バカ」タイプです。
しかし、この役はマット・デイモンではもったいないような気がしました。
もっと若手の俳優でもよかったのではないでしょうか。
もちろん見事に演じていました。

前述の通り、とてもテンポの良い作品でだれた様なシーンはひとつもありません。
かといっていわゆるジェットコースタームービーではないので気持ちよく作品世界に浸れ、よくできた古典的西部劇を見ているような気になります。
しかし美しい映像とドラマチックな展開はやはりコーエン兄弟特有のものです。
また映画ファンのなかには「狩人の夜」からの引用に気がつく方もいるでしょう。

犯人追跡は少女マティにとって人生初めての過酷な旅です。
幾つかの試練を乗り越えてあと一歩というところで手がかりを失ってしまいます。
しかし犯人を捕らえ、罪を償わせることだけしか彼女は考えることができません。
彼女はなぜそこまで執着するのでしょうか。
そして遂に、3人にとってそれぞれの“真の勇気”が試される時が訪れます。
果たして”本物の勇者”は誰なのか、ぜひご覧になってお確かめください。

(小田切 聖之介)

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