【一般無料】シリーズ酵素4「酵素の研究」が大きく遅れた理由(ニュース・市民の視点)

「体内酵素」、すなわち私たちの体の中でつねに作られている「代謝酵素」や「消化酵素」のことを、ハウエル博士は前述したように「潜在酵素」と呼びました。

生き物は生まれてから死に至るまで、「代謝」という細胞分裂を何度も繰り返し、古い細胞から新しい細胞へと変化していきます。
そして最後には、その分裂がもうできなくなり、人間は人生の幕を引くことになります。

日常生活の中でさほど意識していなかった体の中で起こっているドラマは、酵素という主役たちによって成り立っています。
では、これらの主役が、今まではなぜ、それほど注目されていなかつたのでしょうか。

最近では、ビタミン・ミネラルなどの重要性の認識は、幅広く一般化されてはいますが、
合わせて酵素の重要性を指摘する専門家は、アメリカに比べると、国内では数えるほどの少なさです。
そもそもビタミン・ミネラルは「補酵素」と呼ばれ、酵素を補佐する役目なのです。
酵素が活躍するときに、その潤滑油的な存在になる栄養素が、ビタミン・ミネラルの類です。
無論、ビタミン・ミネラルもきわめて重要な物質ではありますが、必ず酵素とともに働く相棒のような存在です。

酵素の評価が栄養学として遅れた理由の一つに、ビタミン・ミネラルなどの栄養素は、体の中で作ることができないために、当初から食物として補うべき存在でした。
したがって、栄養療法や栄養学の先駆者たちも、数多い治験データの集積や実験を繰り返し、ビタミン・ミネラルの重要性を説いてきたのです。
その反面、酵素は私たちの体の中で日夜作られている物質であります。さらにやっかいなことに、酵素の「生物学的エネルギー」または「生命エネルギー」というものが、
測定や合成が化学的にできにくいという難点がありました。

そして何の根拠もない、「体内の酵素は死を迎えるまで、永遠に作り続けられる」という誤った認識の広がりが酵素の研究を遅らせたのです。
栄養学者や化学者にとって「酵素の研究」というのは、生命という大海原に船を漕ぎ出すようなものであり、おそらく「酵素より栄養素という素材を研究するほうが、
成果が上がる」と思っていたのかもしれません。
1900年代の初めに、カシマー・フアンクによつてビタミンの重要性が発表されてから、100年が経過した今日、ハウエル博士の一生をかけた研究により、
栄養学の重要課題としての酵素が明らかになったことは、医療関係者(栄養療法家)や化学者の研究のためだけでなく、一般の人々の健康管理に大いに役立つことになるでしょう。
ハウエル博士は、「栄養療法という食養生によって、病氣の人を治す」という医師としての立場だからこそ、酵素の研究という大海原に船を漕ぎ出すことができたのかもしれませ
ん。
今やアメリカでは、ハウエル博士の発表した「酵素栄養学」は、栄養学を学ぶ学生の必須科目にもなり、栄養療法を重要視する医療関係者のバイブル的な存在となりました。

つづく

グスコー出版 スーパー酵素医療 より抜粋

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