餓死は殺人にほかならない…!?
世界最大の食品会社、最前線で働く漁師、農家、家畜業者に取材を行い、120億人の食料が生産され10億人が飢えに苦しむというゆがんだ食の仕組みに迫るドキュメンタリー。
食の社会見学シリーズ第2弾!予告編がご覧になれます。

英題: WE FEED THE WORLD
製作年: 2005年
製作国: オーストリア
日本公開: 2011年2月19日
上映時間: 1時間36分
地球上で起こっている飢餓の問題を「流通」に視点を当てて指摘するドキュメンタリー。今、地球上では、120億人を養うことが出来る経済活動が行われているといいます。しかし、一方では世界で毎年10万人もの人々が飢えで亡くなっています。
食料をこれまでよりも安く大量に生産することが可能になったにもかかわらず、飢えに苦しむ人の数は減るどころか増加しているのはなぜでしょう。その一方で、先進国では大量の食糧があまり、そのまま廃棄されているのです。本作は、こうした世界的な食糧の偏りが生まれる背景を、飢餓問題の専門家や世界的食品会社のCEO、あるは漁師や農家といった現場の生産者など様々な関係者へのインタビューにより飢餓が生まれるメカニズムを解明してゆきます。
特にネスレ・オーストラリアCEOのピーター・ブラベックのインタビューは圧巻です。彼の傲慢さに怒りを覚えない人はいないでしょう。しかし冷静になって考えると、彼もまた利潤追求という株主の命令に逆らえない哀れな人間だと気づきます。
折しも日本では現在、民主党内閣が「平成の開国」として、TPP(環太平洋経済協力パートナーシップ協定)への参加を検討すると表明しています。TPPへの参加で農作物の輸入が自由化すれば、私たちの食生活も「より安く、いつでも食べたいものを提供する」という、グローバルな食のシステムの激しい洗礼を浴 びることになります。
しかし徹底した利益追求とコスト削減主義から生まれた流通のグローバル化は、結局のところ食の分野における需要と供給のバランスを大きく崩す結果となり、貧富の差が拡大しているのが現実です。
日本政府はWFE(国連世界食糧計画)を通じて、182億円を供与したといいますが、今、求められているのは付け焼刃の援助ではなく、流通システムの再構築ではないかと監督は訴えます。フランスの大型漁業船による魚の乱獲の問題や、養鶏所の暖房費節約のために狭い鶏舎に大量のブロイラーが押し詰められている光景は、決して日本のメディアでは報じられません。
映画だからこそ出来えた食への問題提起を、ぜひご覧ください。
(小田切 聖之介)