1986年に旧ソビエト連邦で起きたチェルノブイリ原子力発電所事故がもたらした悲劇を描く人間ドラマ。
『十七歳』の今関あきよし監督が入念な現地取材を行い『少女カリーナに捧ぐ』として2004年に完成するも、諸事情により公開が見送られた作品を再編集。
同原発事故により翻弄される人々の姿が、福島第一原発事故で生活のすべて壊された人々の苦悩に重なります。
予告編がご覧になれます。

監督・脚本:今関あきよし
脚本:いしかわ彰
撮影・編集:三本木久城
音楽:遠藤浩二
日本語ナレーション:大林宣彦
日本公開:2011年11月19日(シネマート新宿 ほか)
上映時間:1時間49分
配給: カリーナプロジェクト
カラー/ビスタサイズ/ドルビーステレオ
チェルノブイリ原発事故のあったウクライナの隣国、ベラルーシに住む少女カリーナ。
夏休みの最後を大好きなおばあちゃんの住む田舎の家で過ごしていた。
カリーナの一家はかつてこの家に住んでいたが、ママの発病、入院で家族はバラバラになっていた。
パパはママの入院費を稼ぐために遠いロシア、モスクワで働いている。
カリーナはベラルーシの首都ミンスクの親戚の家に預けられた。
今、田舎の家に住んでいるのはおばあちゃんだけだ。
居住禁止区域のすぐ隣の村にあり、放射能汚染の危険がある家。
カリーナにはまるで信じられないことだった。空も川も森も庭のリンゴもいつもと変わらずきれいに見えるからだ。
ある日、カリーナは入院中のママからこんな話を聞かされる。
「チェルノブイリという街には悪魔のお城があって悪魔が毒を撒き散らしているのよ」
このことをカリーナはおばあちゃんに聞いてみた。
するとおばあちゃんは「悪魔なんて神様がやっつけてくれるさ」と笑った。
神様がいてくださる・・・カリーナは心強く思った。
しかし、冬になるとおばあちゃんは病気になった。
ママの病気も悪化した。
カリーナはいつもより強く神様にお祈りした。
だが、ついにカリーナ自身も病に倒れてしまうのだった。
カリーナは神様を疑い始める。
「神様はどうして悪魔をやっつけてくれないの?」
入院先の友達が次々亡くなっていく・・・。カリーナは死を目の当たりにして決意する。
「神様が何もしてくださらないのならわたしが悪魔に頼んで毒をまくのをやめてもらおう」
こうしてカリーナは病院を抜け出し、悪魔のお城があるチェルノブイリを目指して旅立った・・・。
この映画は2003年、今関あきよし監督が、いまだチェルノブイリ原発事故の爪痕が残るベラルーシで現地ロケを行い、撮影した劇映画です。
劇映画というスタイルをとりながらも、原発事故の恐怖を生々しく描いたセミドキュメント作品ともなっており、2004年、『少女カリーナに捧ぐ』というタイトルで一度完成しました。
しかし日本での関心の低さゆえ公開にこぎ着けられず、以後現在までずっとお蔵入りとなっていたそうです。
今関あきよし監督が最初にこの映画を撮ろうと思ったきっかけは、車の中で何気なく 聞いていたラジオだったそうです。
チェルノブイリ原発事故のことを語る内容で、今もまだその被害が続いていることに驚くと同時に、10年以上前に訪れたロシアの田舎町の美しい風景を思い出したそうです。
「あの地でチェルノブイリ原発事故のその後の悲劇をテーマとした作品を撮りたい」それが出発点だと語っています。
2010年、監督は、ふたたびこの映画の劇場公開を目指して動き出しました。
再度、現地チェルノブイリを訪れて追加撮影を行い、タイトルも『カリーナの林檎 -チェルノブイリの森-』と改めました。
そこに3月11日、東日本大震災が起こりました。
監督はすぐに福島へ向い、そこでチェルノブイリを超える惨状を目の当たりにしたのです。
チェルノブイリを思わせる無人の街福島で、激しい警告音を発する放射線計の音を聞きながら、監督は公開を迷ったに違いないでしょう。
しかし、その後も原発事故の影響がジワジワと日本中へ広がり続けてゆく中で、むしろ今こそ公開すべきだという思いを強めていったのだそうです。
今、観客である私は、公開を喜ぶとともに早くこの映画を見てみたいと思ってます。
11月19日シネマート六本木より全国にて順次公開予定です。
公開スケジュールなどはこちらをご覧ください。
公式ホームページ
(小田切 聖之介)