フェライト電波吸収体

電磁波が吸収されるものが存在していた!!
すでに実用化されているその物の正体は…

有害な電磁波をもし吸収・減衰してくれるものがあったとしたら、それは心強い存在ですね。そんな、電磁波の脅威から身を守れるものなんて本当にあるの?と疑問に思うかもしれませんが、実はそれは1960 年代には開発されていました。

TV放送や各種無線、各種レーダーなどの通信分野が発達してくると、その空間中に電波が飛びかう現象が起きました。
例えば、固定電話で話をしているときに、自分達が利用している電波とは違う電波とぶつかると、受話器の向こうから自分達とは違う、全く赤の他人の会話が聞こえてしまうこともあります。
電波の混線状態が起きてしまうのです。

他にも、電気電子機器のノイズといった不具合や、TVゴースト防止、もっと大がかりなものですと、列車や船や飛行機等で利用するレーダーや、無線といったものも電波混線の防止を行うことは、とても重要な課題のひとつでした。

こうした電波による障害をどうにかするために、電波吸収体は1940年代の初期には研究開発され、実用化されていたと考えられます。
その後も開発や研究が進み、1960年後半に、東京工業大学の末武国弘教授、内藤喜之教授、清水康敬教授により、フェライトの高周波領域における磁気緩和現象(磁界の急激な変化に対する磁化の遅れによって生じる損失)に着目した新しい磁性電波吸収体である、フェライト電波吸収体が研究開発されました。

その後、フェライト電波吸収体は、TV放送、各種無線および各種レーダーなどの通信分野、電気電子機器のノイズ対策やノイズ評価のEMC 試験分野で実用化され発展してきています。

フェライト電波吸収体で実用化されている例として、東京湾横断道路アクアライン換気塔により発生する航空レーダーの偽像障害対策や、東京都庁舎のような超高層ビルによるTV放送波の反射障害(TVゴースト障害)対策などに実用化されています。

電波社会において、なくてはならない電磁波対策ですが、市民の健康云々よりもまず先に、社会や販売されている製品の電磁波対策として研究され、そして実用化されたようです。

けれど、こうした技術の研究が進められたおかげで、現代で問題とされている人体に有害な電磁波対策の糸口も見えてきています。
これからますます電磁波が問題視され、電磁波過敏症患者などの電磁波による被害者が増え続けていくと、対企業の電磁波対策だけでなく、個人に対しての電磁波対策としての研究も、世界的にもっと本格的に進められていくことでしょう。

次回は、フェライト電波吸収体について、もう少し詳しくお話したいと思います。

川野 ゆき