長年音信不通だった兄に会うため、トラクターに乗ってひとり旅に出る老人の姿を描くロードムービー。監督は「ロスト・ハイウェイ」のデイヴィッド・リンチ。1994年にNYタイムズに載っていたアルヴィン・ストレイトの記事を読んだデイヴィッド・リンチ監督がパートナー、メアリー・スウィーニーや友人ジョン・ローチとともに脚本を書き上げました。登場人物は全員が心やさしく、決して悪人は出てこないというデイヴィッド・リンチ監督には珍しい作品。
予告編をご覧になれます。

監督: デヴィッド・リンチ
脚本: ジョン・ローチ / メアリー・スウィーニー
音楽: アンジェロ・バダラメンティ
出演: リチャード・ファーンズワース / シシー・スペイセク / ハリー・ディーン・スタントン / ジェームズ・カダー / ウィリー・ハーカー / エヴェレット・マッギル
上映時間 111分
製作国 アメリカ
初公開年月 2000/03
主人公はアメリカ・アイオワ州ローレンスに住む73歳のガンコな老人アルヴィン・ストレイト。ある日、彼のもとに、76歳の兄が心臓発作で倒れたという知らせが入ります。10年来仲違いをしていた兄に会うため、アルヴィンは周囲の反対を押し切り、たったひとりで時速8kmのトラクターに乗って旅に出ることを決意します。
「ストレイト・ストーリー」の「ストレイト」とは、アルヴィン・ストレイトの姓のこと。ストレイトさんの物語です。弟のアルヴィンが兄に会いに行くまでを描いたストーリーなので、そのままですね。
もちろんストレイトとは「まっすぐ」の意味です。それは兄の家まで伸びている一直線の道、そしてそれをアルヴィンがまっすぐに進んでいくことを指してもいるのでしょう。
さらには誠実な・正直な、真面目な、という意味もあります。これはそのまま主人公アルヴィンの性格です。誰に何を言われようと、自力で会いに行くことにこだわるアルヴィン。しかし、まっすぐで、頑固なまでの性格は出会う人々の心に不思議に響くのでした。
例えば、最初に出会うヒッチハイカーの少女は、妊娠して家出したのでした。少女は家族に妊娠を告げられず、責められるのが嫌で家出したわけですが、アルヴィンは、親というものは妊娠したことよりも、わが子が家出したことの方が心配になるものだといって少女を諭します。
この6週間の旅を見ている私たちが気づくのは、彼の正直で包み隠さない性格であり、それは彼の人生そのものだということです。彼の生きて来た人生がどんなものであったのか、何となく想像できてしまう楽しさがあります。
彼のちょっと頑固だけど、実直で正直な生き方は観る者に優しさと強さを与えてくれるます。ついつい何度でも観てしまう、「ストレイト・ストーリー」はそんな作品です。
(小田切 聖之介)