【一般無料】減塩するから病気になる(健康基礎講座)

・塩を食べるから元気になる

・和食は塩が無いと成立しない

・減塩すると血圧が上がる!?

 

 

前回の記事では減塩が低体温を招く一因だと触れました。
今回は減塩の問題や塩の持つ効果についてお話しいたします。

数十年前より「塩を摂り過ぎると高血圧になる。だから減塩しましょう。」と言われるようになりました。。

しかし、高血圧の人は減るどころか増え続け、2017年時点では高血圧の患者数は約994万人、高血圧性疾患の年間医療費は1兆7,707億円にも上ります。

塩を摂る事と高血圧は因果関係が無く、減塩はむしろ体にとって悪影響を及ぼします。

専門家の研究で「塩の摂取を減らすと病氣になる」という事が1998年に発表されています。

アメリカの国民栄養調査で25歳から75歳までの20万7729人を対象にして、
食塩の1日の平均摂取量が少ない方から多い方まで4つのグループにわけ分け、あらゆる病氣の死亡率を比較する調査が行われました。

その結果によると、塩の摂取量が一番多いグループの死亡率が一番低く、逆に摂取量が少ないほど死亡率が高い事が分かりました。

さらに高血圧や脳卒中、心筋梗塞の死亡率も塩の摂取が少ないグループほど多かったのです。

この調査報告では「先進国で一番塩の摂取量が多い日本人が世界最長寿である」とも述べられました。

塩には体を温める作用があるため血管が拡張されて血流が良くなります。

逆に塩の摂取量が減ると体温が低下し、血管が収縮して血圧が上がります。
現代人に多い低体温は免疫力を下げて様々な病氣の元となるため、体に必要な塩はちゃんと摂る事が重要です。

現代では悪者のようにされている塩ですが、古来より貴重なものとして世界各地で大切にされてきました。

昔の中国では、戦いに行く兵士に塩を食べさせて士氣を上げました。塩の力で兵士達は元氣になって勇敢に戦ったそうです。
そして戦いが終わると、今度は食事から塩を減らしました。すると、兵士達はおとなしくなったというのです。

日本でも「敵に塩を送る」という言葉が残されていますが、これは戦国時代に武田信玄が塩留めにあった際に、塩が足りないと力が出ないので、正々堂々と戦うために上杉謙信が敵の武田信玄に塩を送ったという話から来ています。

人間の活力は塩無くしては与えられないことを昔の人はよく知っていて、その効果を大いに発揮していました。

これを現代に置き換えれば、しっかり塩を摂って生命力を上げることが仕事や勉強など日々の活動のやる氣に繋がっていきます。

必要な量の塩を摂らないと、人は無氣力になってしまいます。
やる氣が出ない、キレやすくなるなど心理面で不安定な人が明らかに増えています。

現代では農薬や化学物質などの影響もありますが、塩不足の問題もある事は間違いありません。

塩をしっかり摂ってミネラルバランスを整えることで、新陳代謝が促進され血流が良くなります。
玄米や野菜にもミネラルは含まれていますが、体液により近い組成の塩は必ず摂らなくてはなりません。

体温が36.5℃以上になると酵素が活発に働きます。この酵素の働きにミネラルは欠かせません。
つまり、体温を正常値に戻して体内のミネラルバランスを整えると、酵素が活発に働くのです。

塩が不足すると体の冷え、立ちくらみ、無力感、手足のしびれ、ひどい物忘れ、熱中症など様々な不調が表れます。

しかし、それらの症状が塩不足が原因である事実に多くの人が氣づいていません。

また、単に塩を食べる量が不足しているという問題の他にも、塩の効果を相殺してしまう食品を食べることで結果的に塩不足になるケースも多いのです。

塩の効果を相殺してしまう食品は、水や甘い食べ物、加工品などです。

塩を含まない水分を必要以上に摂ると、体内の塩分濃度が薄まります。
そうすると、体は塩分濃度を保とうとして余分な水分を外に出そうとしますが、汗や尿と一緒に塩分も失われてしまうのです。

また、砂糖を含むお菓子やジャンクフードやスーパーに並ぶ加工食品も塩の効果を打ち消してしまいます。
これらの食品にはミネラルが無く、分解や消化する際に酵素が働くのですが、それと同時に体内のミネラルが失われます。

結果的に体内のミネラルバランスが崩れるので、免疫力や代謝など体の機能が低下してしまいます。

上記に挙げました食品は出来るだけ避け、水分は体に必要な量を摂りましょう。

かつて世界一塩を食べて長寿だと言われた日本人が今は減塩に励み、病氣になってしまうのは何とも皮肉な話です。

日本は優れた発酵食品に恵まれていて、和食には欠かせない食材です。
その代表ともいえる味噌や醤油にも塩が使われています。

味噌汁は日本の国民食とも言えるほど親しまれています。
栄養面でも味の面でも玄米との相性が大変良いので、実に和食は合理的だと思います。

また、味噌汁を飲む量と高血圧には因果関係が無いという事も明らかになっています。

国立がんセンターの調査でも「味噌汁をよく飲む人には胃がん、皮膚がん、乳がん、狭心症、胃潰瘍、肝臓病が少ない」と発表されています。

和食がユネスコ無形文化遺産に登録されて世界に認められた今、海外でも「味噌スープ」として親しまれています。

日本では昔より民間療法を用いて、不調を治したり体調を整えていました。

熱い番茶に醤油を加えて作る梅醤番茶は、風邪の予防や冷えの改善に用いられてきました。

醤油は抗酸化作用に大変優れており、ビタミンCの約150倍も抗酸化力があり、老化や病氣を防ぎます。
さらに、醤油を料理に使った場合、使っていない時と比べて約50%も血流が良くなります。

日本人は塩をあらゆる料理、治療にも用いて体を整えていたことが伺えます。

また、塩は神事にも用いられ、塩でお清めをする作法は今も受け継がれています。

日本人は昔より日本近海で採れた海水から塩を作ってきました。
海水の組成は人間の体液と非常によく似ています。

生命はもともと海で誕生し、その後一部の生物が陸地へ上がってきたと言われています。

陸地で生きている人間も実は海水と深い縁があります。
人間の体の約70%を占める水分ですから、私達は今も海水に浸かっているような状態なのです。

昔の人は海水を点滴したと言われています。
「血潮」という言葉があることからも、血液は海水に等しいことを知っていたのですね。

塩をしっかり摂ることで体液の量や水分を調整して、体内のpHも調整します。

減塩は体内のバランスを崩してしまい、様々な体調不良が出てきてしまうのです。

本来、食べるとは体にとって薬のような作用をもたらすものです。
体に必要な栄養を摂り、体のあらゆる機能を維持することが本来の目的です。

しかし、今では毎日病気になるものを食べているという全く逆のことを日々繰り返しています。
化学塩の摂り過ぎ、または減塩もその1つです。

塩をしっかり摂れば、やる氣がでる、免疫力が上がる、代謝が上がるなど、体にとって良いこと良いばかりです。

多くの人が日常で感じている体調不良が実は塩不足とも関係が深いので、体が必要とする量はちゃんと摂りましょう。

塩の力で毎日の活動量が増える、または質が上がるので、さらにやる氣が増して心理的にも前向きになるなど良い影響をもたらします。

塩をしっかり摂って体の生命力を上げましょう。

山本 和佳