・油の大切な役割
・見える油と見えない油
・この季節にいただく油を控えた料理
お正月が過ぎると、年末年始の食べ過ぎや飲み過ぎた分を解消しようと減量やダイエットに励む人が増えるこの季節。
食べる量を抑えると共に、何を食べて何を食べないかの判断も大切になってきます。
油を摂ると太ると敬遠する人もいますが、本来油は体にとって大切な栄養素です。
人間も含めた生命は細胞が集まって出来ていますが、油はその細胞膜の材料となり肌や髪を健康に保ち、脳や神経の機能を正常に保つなど重要な役目があるのです。
脳の6割は油から出来ているため、摂り入れる油の質が脳の機能に影響しています。
また、ホルモンの材料でもあり、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助けます。
油が不足すると血管が弱くなり、脂溶性ビタミンの吸収も悪くなります。
肌や紙のツヤが失われ、脳や神経の機能も低下します。
例えば、動脈硬化を予防しようとして油そのものをカットしてしまうと血管が弱くなってしまいます。
現代人が多く摂りがちな油が動脈硬化の一因であるのは確かですが、大切なのは油の種類の選択や摂り方にあります。
体に必要な油を適切に摂れば弾力のある丈夫な血管になり、体全体の機能も上がります。
また、不要な油は出来るだけ摂らないように工夫することも重要です。
現代人が摂り過ぎで特に問題になっている油がトランス脂肪酸です。
スーパーやコンビニに並んでいる加工品やファーストフードには大体トランス脂肪酸が入っています。
そのほか、お菓子やお惣菜など幅広く使われています。
安価だからという理由以外にも、口当たりの良いサクサクとした食感を作るので、美味しく感じて喜んで食べている人も多いと思います。
トランス脂肪酸は液体の油に水素を添加して化学反応を利用し、人工的に固体にした油を指します。
マーガリンやショートニングはこの製法で作られているため、食品に使われている事が問題となっています。
これらの油は実に幅広く使われており、バターに比べて安価なマーガリンを直接パンに塗って食べる人も多いのではないでしょうか。
しかし、人体に入ったトランス脂肪酸はなかなか分解代謝されず、大量のビタミンやミネラル、消化酵素が使われ、体に負担をかけてしまいます。
また、老化やあらゆる病氣のもととなる活性酸素を大量発生させ、動脈硬化などによる心疾患リスクを高めます。
トランス脂肪酸は分子構造がプラスチックに似ている事から「食べるプラスチック」とも呼ばれています。上手く分解されず、体内の循環を滞らせる。体には馴染まない油なのです。
30代以降、メタボになる人が増えていきます。
運動をしないでこうした食品を食べていると、男性ホルモンの働きによって筋タンパク質を壊して内臓脂肪を増やしてしまうのです。
外食、コンビニ食品、ファーストフードに多く含まれているリノール酸やトランス脂肪酸は内臓脂肪として蓄積されやすい性質を持っています。
メタボに悩んでいる人、または予備軍の人の中には「そんなに油を摂っているとは思わない」という人がいるかもしれません。
口から入る油には、外食で揚げ物や炒め物を食べる時、または家庭で調理するときに使う油のように「見える油」と、加工食品に含まれる「見えない油」があります。
見えない油は加工食品の風味を良くしたり、見た目を美味しく見せる役割もあるので、氣づかないうちにたくさん食べている事も多いのです。
特にトランス脂肪酸は摂らないに越したことはありませんので、極力控えましょう。
そして、意識して摂りたい油もあります。
オメガ6に分類されるリノール酸とアラキドン酸、オメガ3のαーリノレン酸は体内で作ることができない必須脂肪酸のため、食べ物から摂る必要があります。
オメガ6は大豆油やごま油。そのほか、外食や加工食品に多く使われているコーン油やサラダ油もオメガ6です。体に必要なオメガ6ですが、摂り過ぎると健康上問題があるので注意しましょう。
そして積極的に摂りたいのがオメガ3です。
魚の脂に含まれるDHAは脳を活性させて記憶力を高めます。EPAは血流を良くしてコレステロールや中性脂肪を抑える働きがあり、DHAと共に摂る事で効果が上がります。
えごま油は植物油の中でαーリノレン酸が最も多く含まれ、体内で代謝されるとDHA・EPAに変化します。
オメガ3の油は、他にも亜麻仁油やインカインチ油などがあります。
オメガ3とオメガ6の油の摂取バランスは1:4が理想的と言われています。
しかし、現代人はこの比率がおよそ1:20になっていて、オメガ6が摂取過多になっているのです。
そうなると炎症や細胞のがん化を促進したり、がん細胞の増殖を促進してしまいます。
一方、オメガ3には炎症やアレルギーを抑え、血栓を防ぎ、がん細胞の増殖を抑える働きがあります。
オメガ3とオメガ6のバランスが取れると、体の調子が整います。
血管を強く柔軟にして血液をサラサラにするので代謝が上がり、ダイエットにつながります。
その上、動脈硬化や心疾患など生活習慣病を予防します。
オメガ3は神経伝達をスムーズにして脳を活性させるので、うつ病の改善や認知症を予防します。
もちろん、理想とされる1:4の比率を正確に測ることはできません。
外食を無駄に多くしない事や加工食品を極力控えながら、家庭ではオメガ3を摂るよう心がけることが大切です。
年末年始は休暇と行事が重なるため、ご馳走を食べる機会が増える場合もあるかと思います。
豪華な料理に目を奪われ、食欲が増してつい食べ過ぎてしまった・・・なんてこともあるかもしれません。
楽しんで食べることも人生には必要です。そして、それと共にメリハリが大切です。
1月7日の人日の節句には七草粥を食べる風習があります。
平安時代は、この日の朝に無病息災を願って若草を摘んで食べる風習があったと言われています。
野に咲く若菜から新しい生命力を取り入れようというものでした。
七草粥を食べると万病を払い、長生きすると言われています。
その種類と効果をご紹介いたします。
【せり】 ビタミンが豊富。風の予防、疲労回復。
【なずな】別名ぺんぺん草。薬用にも利用され、利尿・解熱効果がある。目の充血を軽減する。
【ごぎょう】利尿作用がある。咳や喉の痛みを緩和する。
【ハコベら】利尿作用。むくみを緩和する。
【ほとけのざ】鎮痛作用。高血圧の予防。
【すずな】カブ。ビタミンC、カロテン、カルシウム、食物繊維が豊富。
貧血予防。シミ・そばかすを防ぐ。
【すずしろ】大根。せきや喉の痛みを緩和。殺菌効果。二日酔いの予防。
それぞれに体を整える効果があり、お正月にご馳走をいただいて疲れた胃腸をいたわります。
七草には風の予防や風症状の緩和効果もあるため、お正月モードから日常モードへ移行していく時期にぴったりの食べ物です。
もともと日本人の暮らしはメリハリがありました。
物が少ないという事もありましたが、ハレの日にはご馳走がふるまわれ、普段(ケの日)には質素な食事をいただくというサイクルでした。
お金を払えば食べ物が手に入る現代では、ともすると年中暴飲暴食することも簡単に出来てしまいます。
自ら食事に氣をつけながら体を管理しましょう。
山本 和佳