【一般無料】唾液の効用~Part1~(健康基礎講座)

・食べるためだけではない唾液の大切な役割

・口は第一の消化器官

・唾液の分泌が減少すると、生活習慣病のリスクが高くなる。

 

空氣が乾燥する日本の冬は、一年の中でも特にウイルスが繁殖しやすくなる季節です。


免疫力を高く保てば風邪などにかかりにくく、かかったとしても軽い症状で済みます。


その第一関門の1つが口であり、唾液は外から入ってくるウイルスや細菌などから
体を守るという非常に重要な役割を担っています。


しかし、知らないうちに唾液の分泌が不足していると、
風邪や様々な病氣を引き起こしやすくなってしまいます。


今回は唾液の持つ様々な役割や、唾液の力を十分に発揮するための方法についてお話いたします。



味も無く、いつも当たり前のように口の中に存在している唾液ですが
実は重要な働きをして私達の健康を守ってくれています。


①食べ物の消化を助ける

口は食べ物を美味しく味わう部分ですが、第一の消化器官でもあります。

唾液の中の分解酵素アミラーゼはお米などに含まれるでんぷんを分解します。


また、気管を通りやすく胃で消化しやすいように食べ物を細かく噛むのも唾液が助けとなっています。

もし口の中に唾液が無いとしたら、どうでしょうか。

食べ物が口の中の粘膜を傷つけ、飲み込む事も難しいでしょう。
食べるという行為1つをとってみても、唾液は絶対に欠かせないのです。



②食べ物を美味しく感じる

唾液には食べ物の成分を溶かして旨味を引き出す作用があります。

お米を噛むと甘くなりますが、これは唾液と合わさる事で
デンプンがマルトースに分解されて旨味が出てくるからです。

野菜や豆類なども嚙むほど美味しく感じるのは唾液のおかげであり、
自然の食材を美味しいと感じられる正しい味覚を支えています。


③洗浄作用

唾液の水分で食べた物や細菌を洗い流します。

昔の人は食物繊維を多く摂っていたので、唾液の力だけで口の中は清潔に保たれていました。


しかし今は油脂類、動物性食品、小麦製品を多く摂るようになったため、
歯磨きをしないとなかなか口の中を綺麗にする事はできません。

玄米菜食は口内を清潔に保つという意味でも理に叶っています。


④抗菌作用

唾液には傷を早く治す役割もあります。
口の中の粘膜を保護してウイルスや細菌などの侵入を防いでくれています。


⑤中和作用

口の中は通常pH7に保たれていますが、食べ物を食べると口の中は酸性に傾きます。

口の中がpH5.5以下になると歯からカルシウムやリン酸が溶け出し、
それが20分以上続くと元のpHに戻すのに1時間かかります。

唾液は口の中を再びpH7に戻して、唾液中のカルシウムやリン酸が歯を修復します。

間食が多かったり絶えず何かを食べている人は口の中の中和作用が追いつかず、
歯の修復が間に合わなくなり虫歯になってしまいます。


⑥歯や口の中の粘膜を守る

唾液は歯の表面に被膜を作って虫歯の原因になるミュータンス菌が入らないようにしています。
頬や舌も感染や損傷から守られています。

また、滑舌良く喋る事が出来るのも、口の中が唾液で潤っているおかげなのです。



それでは唾液の恩恵を十分に受け取るためにも
唾液の分泌が不足していないか以下の項目をチェックしてみましょう。


・歯肉が腫れている
・歯肉や舌がかゆい
・口内炎がよくできる
・滑舌が悪い
・水分量が少ない食べ物(パン、いも類など)を飲み込みにくい
・唇が乾燥している
・虫歯ができるようになった
・頬をよく噛んでしまうことがある


上記の項目に当てはまる人は唾液が不足している可能性が高いです。


歯肉は唾液によって守られていますが、唾液の分泌が減ると傷つき、出血しやすくなります。

特に上の前歯の歯肉が腫れている場合は、口呼吸による乾燥が大きいと思われます。


口呼吸は口内を乾燥させ、それによって雑菌が増えるので炎症や痛みが出てきます。

口の中が乾燥する原因は他にもあるので追ってお話ししますが、
口呼吸をしている人は、まず鼻で呼吸をするよう呼吸方法を切り替えましょう。



唾液を口内に分泌する出口になる主な唾液腺は口の中に3箇所あります。

1つは耳下腺で、口の中の奥の方にあります。
全ての唾液の25%はここから出ていて、サラサラしているのが特徴です。


2つめは顎下腺です。
唾液が一番多く出るところで、約75%を分泌しています。
レモンなど酸っぱいものを想像すると唾液がたくさん出ますが、この顎下腺から分泌されます。

主にサラサラした唾液を分泌していますが、ネバネバした唾液も若干分泌します。


3つめは舌下腺といって、舌の裏側の付け根辺りに位置しています。
ここから出る唾液はネバネバしています。

大きく分けるとこの3箇所になりますが、他にも口の中には小さな唾液腺があります。

サラサラした唾液とネバネバした唾液はそれぞれ役割がありますが、詳しくは次回お伝えします。



唾液はウイルスや細菌の力を抑える力を持っていますが、
不足するとバリア機能が崩れて様々な病氣にかかりやすくなります。

たかが唾液と侮ってはいけません。


①歯周病

唾液が不足すると口の中に食べ物の残りがつきやすくなり、それが歯垢や歯石の原因になります。

歯垢や歯石は歯周病菌の住処となり、また口の中が酸性に傾きやすくなる事も合わさって歯周病菌が増加します。


②糖尿病

実は糖尿病も口の中の乾燥と関係があります。

歯周病菌は炎症を起こした歯肉から血液へ入り込み、インスリンの働きを阻害します。

そのため血糖値が下がりにくくなり、糖尿病にかかりやすくなります。
血糖値が高い状態が続くと、唾液の中も糖が過剰になり、その糖をエサとして口の中の細菌が繁殖します。

つまり、せっかく唾液が持っている抗菌作用をダメにしてしまうのです。


③がん

唾液にはがん抑制作用があり、発がん物質を唾液に20秒以上浸けると発がん作用が低下します。


④動脈硬化

唾液が不足すると歯周病菌が血液内に入りやすくなり、動脈硬化を促す物質を出します。
それが血管の壁に付着して血管を狭くして血流を悪化させてしまいます。

歯周病の人はそうでない人と比べて脳腫瘍にかかる確率が2.8倍も高いと言われています。


⑤肺炎

日本人の死亡原因第5位の肺炎も唾液の影響を受けています。
唾液が不足すると病原性細菌が増殖するのは先にも述べましたが、気管がそれに感染すると肺炎にかかります。

高齢者の死因の上位に入る誤嚥性肺炎は十分に唾液が出ていれば予防する事も可能です。


免疫力が低下するため、他にもインフルエンザや食中毒にもかかりやすくなります。


また、唾液の分泌量が減ると味覚を感じにくくなり、濃い味を好むようになります。

微生物の力で発酵した味噌や醤油を少し多めに摂るくらいなら問題ではありませんが、
うま味調味料や食品添加物の人工的な鋭い味を求めるようになると心配です。


唾液で口内が潤えば、素材の美味しさがよく分かるので、
食事を楽しい時間にするためにも唾液をちゃんと出す事は大切ですね。



体の健康を守り、言葉を話す助けにもなっている唾液ですが、
現代人で唾液の効果を十分に発揮している人は少ないように思います。


動物性食品や小麦のように粘り氣のあるものは口の中に残りやすく
pHバランスを崩すので雑菌も増えやすいのです。


また、食品添加物がたっぷり入った加工品も味が濃いものが多く
ほとんど噛まずに飲み込めるものばかりなので、どうしても唾液の分泌量が減ってしまいます。


一方で玄米菜食は口内環境を良好に保つ観点からも優れた食事だと言えます。


玄米や野菜などに豊富に含まれる食物繊維が天然の歯磨きとなり、食べた後は口のなかがさっぱりとします。
また、噛み応えのある食材を食べる事で、唾液の分泌が促されます。


唾液は血液から出来るとお話しましたが、良い唾液は良い血液から作られます。
そしてその血液は腸で作られるので、腸内環境が良いと口の中を唾液で潤すことが出来ます。

口の中を汚しやすい食べ物は腸も汚しています。


食べ物を例に挙げましたが、実は日常の生活習慣も唾液と深く関わっています。

次回は唾液をしっかり分泌する方法や効果などについて、更に詳しくお話いたします。



山本 和佳

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