【一般無料】唾液の効用~Part2~(健康基礎講座)

・唾液がもたらす思わぬ恩恵

・体の生理機能に合わせる習慣を大切にする

・唾液を増やす以前に大切な事

 

前回もお話しましたように唾液には様々な働きがあり、体を守ってくれています。

殺菌作用、歯や粘膜の保護、口の中のpHを一定に保つ、消化を助けるなど
それらの働きによって健康が維持され、私達は毎日快適に活動する事が出来ています。


他にも唾液から多くの恩恵を受けていますので、ご紹介します。


●ダイエット効果

食事をする時に唾液が十分に出ていると消化吸収がすごく良くなります。

その為に大切な事は、正しい姿勢でしっかり噛んで食べる事です。

これを守って食べると満腹感を感じやすく、食べ過ぎを抑えられます。


肥満の人は食べる量そのものが多いだけでなく、短時間でたくさんお腹につめ込んでしまうので
脳が満腹感を感じるより前に食べる過ぎてしまう事も肥満の一因です。


唾液の働きを利用して痩せるのは、自分の体1つあればできる合理的かつ経済的なダイエットです。

栄養障害にもならず、ちゃんと取り組めば効果が表れます。



●天然の調味料

食べた物を口の中で噛んでいると味が変わります。

特に分かりやすいのがお米で、よく噛むと甘味が出てきます。

これは噛む事によって唾液が分泌され、唾液の中の分解酵素アミラーゼが
お米のデンプンをマルトースに分解するためです。

玄米は栄養が豊富な分、よく噛むと深い美味しさが口の中に広がります。

食べ物の本来の味が出るので、食事が美味しくなって消化吸収も促されます。



●胃酸から粘膜を守る

口の中で嚙み砕かれた食べ物は食道を通って胃へ移動し、胃酸で溶かされます。

胃酸はpH1~2の強酸性で強い殺菌作用を持っていて、ここでもバリア機能がしっかり働いています。


しかし、もし胃酸が逆流してそのままにすると、歯や口の中はボロボロになってしまいます。


実は胃酸の逆流を防ぐのも唾液の力です。

唾液は口の中だけでなく、食道の方にも流れて活躍しているのです。


酸を中和して粘膜を守ったり、逆流した胃酸を洗い流すほかにも
食べ物を飲み込みやすくするといったように、ここでも大切な働きをしています。

逆流性食道炎にかかっている人の中には歯の表面のエナメル質、その内側の象牙質も溶けて
歯が染みたり、歯の形状が崩れて困っている人もいます。

唾液が少ない事も考えられますので、唾液を増やすマッサージを是非実践してください。

耳の下あたりにある耳下腺、顎関節の下にある顎下腺を
親指でゆっくり10~20回押すと唾液が増えます。

舌の裏側にも舌下腺という唾液腺がありますので、顎の下を親指で押すと唾液の分泌が促されます。



●アンチエイジング効果

赤ちゃんは唾液が口から溢れるほどたくさん分泌されています。

高齢でいつまでも若々しい人達も、共通して唾液がしっかり分泌されています。


唾液は若さのバロメーターとも言えます。

唾液にはパロチンという成長ホルモンが含まれています。
「パロチン」は筋肉・内臓・骨・歯などの発育を育てたり、若さを保ちます。

さらにEGF(上皮成長因子)というホルモンやNGF(神経成長因子)というホルモンも
若々しさに深く関わっています。

EGFは体の内側にも外側にも働きかけて皮膚の傷を修復したり、新陳代謝を促します。

そしてNGFは脳を活性化して若返らせる作用を持っています。


前回もお話ししました通り、唾液は口の中だけでなく血液中にも放出されて
これらのホルモンが全身へ届くので、体全体のアンチエイジングに繋がっているのです。



●認知症予防効果

年々増加している認知症。

日本の患者数は65歳以上の6人に1人にも上り、今後も増加し続けると言われています。


認知症は脳の海馬や扁桃体の神経細胞が減ってくると起きる病です。

脳の記憶機能を司る海馬は使わなければ加齢とともに萎縮してしまいますが
海馬の神経細胞は鍛える事によって増加するので、脳機能の低下を防ぐ事ができます。


脳の神経細胞を鍛えるにはよく噛んで食事をする、表情筋を鍛える、ストレスを溜め過ぎない、
人と直接コミュニケーションする事が大事です。

家族や友人と楽しく食事をすると、脳には相乗効果で良い刺激となります。


東北福祉大学によって行われた研究によると、70代の人を対象に行った知能テストの結果、
認知機能の正常なグループの歯の本数は平均14.9本だったのに対して、
認知症の疑いがあるグループの本数は平均9.4本でした。

認知機能と歯の本数に因果関係がある事がよく分かる研究結果ですね。

また、認知症の人の多くは歯がほとんど無く、噛まない事で脳への刺激が少なくなり、
また口の中の唾液も不足しやすくなり、脳機能の低下に繋がっていると考えられます。


このような唾液の素晴らしい恩恵をちゃんと受け取るには、唾液を十分に分泌させる事が大切です。

その方法をお伝えしていきます。


●呼吸

人間の体は生理機能から見ても鼻で呼吸をするように出来ています。

同じ空氣を吸うにも、鼻から入るのと口から入るのでは全く違うのです。


鼻から外氣が入る時は鼻がフィルターとなり、空氣に適度な温度と適度な湿度を与えて
その奥の扁桃体を通ります。

このフィルター機能は非常に重要で、例えば外氣がマイナス40℃の場所で鼻から空氣を吸うと
喉を通る時にはもう30℃になっているのです。

なんと一瞬で70℃も温度を上げて体内に負担をかけないよう取り込むという
高度な機能を鼻呼吸が担っているのです。

これが口から吸うと、マイナス40℃のまま喉を直撃してしまいます。

鼻フィルターはホコリや細菌、ウイルスも取り除きます。
特に大気汚染が進む現代において、鼻フィルターを使わない手はありません。


普段鼻呼吸をしている人も、会話をする時には多少の口呼吸をする事もあると思います。
その時は喉の扁桃体にある免疫細胞が守ってくれます。

しかし、いつも口呼吸をしている人は扁桃体にかかる負担が大きくなり、本来の免疫機能が上手く働かず
腎臓病、関節痛、肩こり、心臓病、アトピー性皮膚炎、糖尿病など様々な症状が表れます。



●よく噛む

先にも噛むことの重要性を書きましたが、現代人は噛む回数がとても少なく
戦前に比べて食事中に噛む回数が半分以下になっています。

これほど噛まなくなった原因は主に2つあります。


1つめはやわらかい食事が増えた事です。

パン、ラーメン、加工食品など噛まなくても食べられるものが増えました。
このような食品には食品添加物で強い味つけがされているので、ほとんど噛まずに食べてしまう。

また、白米も精製されてしまっている分、噛まずに食事をすませてしまう人も多いでしょう。


2つめは食事と一緒に水分を摂る事です。

水分と一緒に食べると楽に飲み込めてしまう。
つまり噛む事が疎かになってしまうのです。

忙しく生活している人の中には、水分と一緒に流し込むように食事をする人もいるのではないでしょうか。

しかし、これでは唾液が薄まって消化しづらくなる上に、唾液の分泌が進みません。


ちゃんと噛んで食べると食べ物と唾液が混ざって、スムーズに食道を通って胃に届きます。


唾液腺をマッサージしたり習慣に氣をつけて
唾液の分泌を増やす事は大事ですが、ただ唾液を増やすだけでは十分とは言えません。


前回の記事では唾液は血液から作られるという話に少し触れました。

大事な事は血液をきれいにする事です。
もし血液が汚れていたら、唾液の質も悪く免疫機能も十分に働きません。

毎日の食事が大切なのです。

玄米菜食は自然と噛む力がつくので唾液が増え、腸内環境を良くして体内の血液をきれいにします。
それがきれいな唾液を作り出すという良い循環が生まれます。

唾液の効果を味方につけて乾燥する冬に備え、自身の健康を守ってください。



山本 和佳

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