【一般無料】タバコの害~Part1~(健康基礎講座)

・分煙では解決できない理由

・世界基準よりも相当低い日本の対策

・たばこの被害にあう子ども達

 

日本の喫煙率は、2019年の時点で16.7%。

約2100万人いると推計されています。


30年前と比べると約半数になりましたが、タバコは百害あって一利なしなので
喫煙行為そのものが自分の健康を害し、周りの人の迷惑になっている事に変わりはありません。


吸っていない時も、喫煙者の呼氣には有害物質が含まれているため、
分煙しているからといって、それで解決する訳ではありません。


21世紀はタバコのために世界で10億人の命が失われるだろうと予測されています。


海外では国民の健康を守るためタバコの害を警告したり、禁煙するよう呼びかけたり、
購買に高いハードルを設けるなど対策が行われています。


それに対して、日本はタバコの対策において後進国ですので、
吸わない人もタバコの害を把握して、身を守る必要があります。




たばこには約4000種類もの有害物質が含まれており、
それが体内に入る事で全身が蝕まれていき、様々な病氣の原因を作ります。


呼吸器系では肺気腫、慢性気管支炎などを引き起こすリスクが高くなります。


循環器系は心筋梗塞、心疾患、大動脈瘤、動脈硬化、脳血栓、くも膜下出血など。


また、様々ながんの原因にもなります。

肺がん、咽頭がん、口腔がん、喉頭がん、食道がん、胃がん、肝臓がん、
膵臓がん、腎盂がん、尿管がん、膀胱がんなど。


その他にも、喫煙は胃潰瘍、十二指腸潰瘍、肝硬変、クローン病、歯周病の原因にもなります。



また、日本人の死因の第10位(2015年)の肺気腫の患者のうち、90%は喫煙者です。


肺気腫とは肺の弾力が無くなり、空気を吸い込めなくなる病氣です。

タバコの煙に含まれるシアン化水素など有害な化学物質によって、肺胞が破壊されるために起こります。


原因が喫煙にある事がはっきりしている肺気腫は増加傾向にあり、
2030年には世界の死亡原因の第3位になると予想されています。


「タバコ=肺がん」というイメージがありますが、それだけにとどまらず、
タバコは全身の様々な病氣を引き起こす原因を作り出しているのです。



たばこを吸う人の中には「自分の体はどうなってもいい」「勝手にさせてほしい」と開き直る人もいます。

喫煙行為そのものが周りの人の迷惑になっているのに、自分の事しか考えられなくなっているのです。


また、灰皿を持ち歩いていたり、喫煙所に行って吸っているので「自分は周りの人に配慮している」と言う人も
何が正しい配慮なのかという事を考えてほしいと思います。

それは結局、自分が吸いたい欲求を優先しているだけですから。




世界中の喫煙による深刻な被害を受けて、
2003年には「たばこの規制に関する世界保健機関枠組条約(FCTC)」がWHOによって採択されました。


FCTCはタバコの消費削減を目指して、広告・販売を世界的に規制する法案で
日本もこの条約に批准していますが、他の国と比べると取り組み内容は非常に甘く、大きな遅れをとっています。


この国際条約では、たばこ産業の広告や販売促進活動の禁止要請が出されていますが、
日本ではタバコの害の事は伏せておいて、イメージCMをどんどん流しています。

つまり、国民の健康よりも利益を優先しているのです。




また、FCTCではタバコのパッケージに警告表示を載せるよう義務づけられていますが、
ここでも日本の基準は世界と比べて遅れています。


海外では、タバコを吸うとどのような害が被るのかという事がパッケージに記載されています。


<アメリカ>

・煙はがん、心臓病、肺気腫、妊娠障害などの原因になる。

・今禁煙すれば、あなたの健康の重大なリスクは大幅に削減できる。

・妊婦の喫煙は胎児障害、未熟児、低体重児出産を引き起こす惧れがある。

・たばこの煙には一酸化炭素が含まれている。

・禁煙すれば、健康被害の危険性が減少する。



<カナダ>

・喫煙はがんや歯周病を引き起こす。

・毎年タバコによって小都市の人口に匹敵する人が死亡する。

・あなたは一人でタバコを吸っているのではない。(受動喫煙を強制している)

・僕達に毒を盛らないで!(パッケージに子どもの写真を掲載)



<ヨーロッパ>

・喫煙はがんの原因となる。

・喫煙は心臓病の原因となる。

・喫煙は致命的な病気を引き起こす可能性がある。

・喫煙は吸う人を殺す。

・喫煙により死亡する可能性がある。

・妊娠中の喫煙は、あなたの子どもに有害である。

・喫煙は周囲の人々の健康を害する。

・喫煙はがん、慢性気管支炎やその他の胸部疾患の原因になる。

・毎年喫煙への依存による犠牲者は、交通事故による犠牲者よりも多い。

・喫煙者は早死にする。




海外では上記のように警告文と写真をパッケージに載せて、タバコの害を明記しています。

特にヨーロッパは具体的に病名を挙げて厳しく警告している事が伺えます。



これに対し、日本のタバコのパッケージには以下のような文が記載されています。


「20歳未満の者の喫煙は、法律で禁じられています。
喫煙は様々な病気になる危険性を高め、あなたの健康寿命を短くするおそれがあります。
ニコチンには依存性があります。」


2020年の法改正により、注意喚起する文を大きく表示するよう変更されましたが、
海外と比べると表現が曖昧で写真は載せていないので、これでは警告とは言えず、抑止力にもなりません。




喫煙している人の中には「高い税金を払っているのだから、別に吸うのは問題無い」と思う人もいるでしょう。


タバコの価格の60%以上は税金ですが、世界基準の80%と比べると、まだまだ低い税率です。



日本のタバコの税収は年間約2兆円。


一方、医療費や介護、火災などたばこによる経済損失は2兆500億円と推計されています(2015年度)

さらに喫煙が原因の疾患による労働力損失も合わせると、タバコの税収よりも損失が大きく上回ります。


吸わない人も吸っている人の治療費を払わなくてはいけないというのは、どう見ても理不尽です。



日本のタバコの価格は安いとは言えないものの、未成年や若い人も買えなくはない値段です。

子どものうちからタバコ漬けにさせたいという、タバコ会社の本音が見え隠れしています。



先進国の中では、日本のタバコの価格はかなり安い方で、海外では1箱1000円以上は当たり前。

ニュージーランドやオーストラリアでは、1箱3000円近くもします。


日本のタバコの安さは海外と比べると、やはり喫煙しやすい状況を作り出しているのです。




そして遠く離れたたばこの生産現場では、子どもが犠牲になっています。


たばこ農園では、貧困家庭の子どもが働かさせられているのです。

彼らの賃金はとても安く、中には1日に12時間も労働を強いられる子どももいます。


さらに問題なのは、労働中に深刻な健康被害を受けている事です。

子ども達は、葉たばこから皮膚を通して1日に54mgものニコチンを吸収しています。

その量は、平均的なタバコ50本分にも相当します。


ヘビースモーカー並みのニコチンが毎日体に入り続けているため、
重い頭痛、腹痛、筋肉の衰え、咳、息切れなどニコチン中毒の症状に苦しんでします。


また、栽培に使用されている農薬によってがんのリスクが増え、学習や認知機能の障害が出たり、
生殖機能に障害が出ています。


たばこの生産地のほとんどは発展途上国で、貧しい暮らしをしている人達が犠牲になっています。




タバコは若いうちから体に害を及ぼし、確実に寿命を縮めます。


中には喫煙しながら80歳以上生きる人もいますが、
それを見て「喫煙したら早死にするとは限らない」と解釈するのは大きな間違いです。


喫煙によって、老化速度が早くなる点については変わりません。

仮に吸っていなければ、同じ年齢でももっと体の自由が効いて、
はつらつと生きられる事は言うまでもありません。


また、自分は長生きしたとしても、家族や子ども、孫にまで健康被害を負わせるのは
やはり虐待だと言わざるを得ません。


喫煙習慣は「自分がよければ」精神になってしまう、生き方を大きく誤る悪習慣なのです。




喫煙をする最初のきっかけは「好奇心」や「勧められて何となく」から始まり、
いつの間にか止められなくなり、美味しくもないし吸いたくもないのに
毎日衝動的な行動を繰り返すようになります。


誰のためにもならない、無益で極めて有害な悪習慣。

吸う、吸わないの選択は人生の中で大きな分かれ道です。


喫煙は依存なので、禁煙している時は辛いと感じますが、ちゃんと止めれば
食事が美味しい、吐き氣など不調が激減するなど素晴らしい体感があり、必ず止めて良かったと思えます。


次回もタバコの弊害について、お伝えします。



山本和佳

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