【一般無料】腸内細菌と脳の関わり(健康基礎講座)

・母親から腸内細菌をもらう

・脳の働きは腸内環境次第

 

毎日食べている物は、腸内細菌によって分解・吸収されています。


生きている限り、私達は常に腸内細菌にお世話になっていますが
母親の胎内で育っている時は、赤ちゃんの腸内にはまだ細菌がいない無菌状態です。

産道を通って生まれてくる時に産道辺りにいる菌を飲み込み、それが腸内細菌になっていきます。
その後、24時間以内に1000億個に増えると言われています。


そして成長していく中で様々な菌をもらって、腸内にたくさんの菌を持つようになります。


腸内細菌叢の組成は一人一人異なり、たとえ同じ環境で育っても、一卵性双生児だとしても
全く同じという事はありません。


その組成を決める重要な要素が、母親の腸内細菌です。

90組の母子を対象にして行われた大便の調査によると、75%の母子は共通のビフィズス菌を持っていたそうです。

それは子どもの健康状態や体質にも深く関わるので、母親は責任重大です。
将来子どもを産む女性は、早いうちに腸内細菌を整えておきましょう。


腸内細菌が乱れると精神にも悪影響を及ぼし、様々な精神疾患を引き起こすリスクが高くなります。

その一部を以下にご紹介します。




●不安症

不安症には具体的に全般性不安障害、パニック障害、社会不安症などがあります。

原因や発症のしかたは様々で、パニックや身動きができなくなるような恐怖に襲われて
満足のいく生活が送れなくなってしまいます。


精神に負担がかかり過ぎると「胃が痛む」ような感覚になる事からも伺えますが
不安な氣持ちは胃腸とつながっています。


腸内細菌が悪玉菌優勢になると、脳で一番影響を受けるのが扁桃体です。

腸内細菌が正常でないと、扁桃体が活発になり過ぎて、感情コントロールが効かなくなったり、
不安に感じた出来事が感情と一緒に何度も思い出されて、不安が増幅していきます。


これは、本来なら緊急事態に鳴らす警報が、ずっと鳴り続けているような状態です。


前回の記事で扁桃体の過剰な働きを抑えるには呼吸法が有効とお伝えしましたが、
あわせて腸内細菌を整える事も重要です。




●心的外傷後ストレス障害(PTSD)

過去に心に傷を負った体験を何度も思い出して、脳の一部が過剰に働くことから発症するケースが多い疾患です。

怖い夢にうなされたり、騒音に恐怖を感じるなど症状は人によって様々です。


トラウマ体験の繰り返しによって組織が消耗し、胃潰瘍や過敏性腸症候群を発症する事もあります。




●強迫性障害(OCD)

家を出てから、ガスの元栓を占めたかどうか、玄関の鍵をかけたかどうか氣になって
家に戻って確かめた、という経験は多くの人がされた事があると思います。

しかし、外出先でそのような心配が全く消えず、頭の中をずっと支配しているというのが
強迫性障害(OCD)の症状です。


OCDは不安障害と同じと見なされていましたが、現在は別の病氣として分類されています。

これらの病氣は関連性があり、OCDの患者が不安障害を発症する事もあります。

また、OCD患者には摂食障害を併発する人も多いです。


ストレスホルモンであるコルチゾールは、通常なら緊急時のみ体内濃度が高くなります。

しかし、OCDの人は普段からコルチゾール濃度が高く、緊急事態に直面しても
あまり濃度が上昇せず、むしろ下がる事もあります。
つまり、体が上手くストレスに対応できていないのです。


この病氣も腸と脳が互いに関連していて、腸内細菌のバランスの乱れが脳にも影響し、
さらにホルモン分泌や免疫系に連鎖反応して発症します。




また、抗生物質によって腸内細菌が混乱して、強迫性の症状が始まると指摘している専門家もいます。





こうした精神疾患には腸内環境の乱れも密接に関連していて、それは食事の誤りに起因しています。

腸内環境を乱すものは色々ありますが、特に先に挙げたような精神疾患に
共通して関係あるものを以下に挙げます。



①脂肪や炭水化物の多い食事

洋食や中華のように肉類や動物性脂肪の多い食事、またはコンビニやスーパーで売られている加工食品を食べていると、脳内の化学物質に作用して、幸せホルモンのセロトニン量が減少して、不安を引き起こすことがあります。

こうした食事は肥満になるリスクも高く、腸内の悪玉菌が増殖するので
そこから不安になりやすい面もあります。


肥満の人は、そうでない人と比べて氣分障害や不安症になる可能性が25%高いという
研究結果も発表されています。

脂肪の多い食事ばかりしていると、脳の海馬が萎縮するため、学習や記憶力にも支障が出ます。


また、海馬は食べる量の調節にも関わっています。

健康な人であれば、適量を食べたところで脳から食事を止める指令が出るため
体重が増え過ぎる事はありません。

しかし、海馬が委縮していると制御が効かなくなって食べ過ぎてしまうのです。




②グルテン

小麦に含まれるグルテンに反応して消化不良、胃もたれや腹痛を引き起こす事があります。


さらに不安、イライラ、落ち込みなど心の状態にも影響する場合もありますが
小麦は多くの加工品に使われているため、因果関係に氣づかないで症状に苦しむ人も多くいると思います。

不安症の人の中には、グルテンを控えたら症状が改善したという事例もあります。




③白砂糖・人工甘味料

腸内で悪玉菌が増え、うつ病とも関連しています。

人工甘味料のアスパルテームは、脳内の神経伝達物質であるドーパミンやノルアドレナリン、
幸せを感じさせるセロトニンの合成と分泌を阻害する事も明らかになっています。

その結果、無氣力、落ち込みなど精神が不安定になるため、極力控えるのが賢明です。




悪玉菌を増やしてしまう食べ物を控えるのと並行して
腸内環境を良くする食べ物を積極的に摂り入れれば、心身の不快症状の改善が進みます。


是非、毎日食べてほしいものを以下に挙げました。



①食物繊維

食物繊維は一緒に食べた物の血糖値の上昇を和らげ、ゆっくり消化するよう促します。

また、善玉菌のエサになるので腸内の善玉菌が増え、
それによって脳の経路や伝達物質が活性するので、不安を和らいで氣分が向上する効果もあります。

食物繊維には脳や体の炎症を抑える働きもありますので、老化を遅らせて、病氣の予防にもなります。


玄米、豆類、バナナ、さつまいも、ブロッコリー、そばなどに豊富に含まれます。



②オメガ3

悪い脂肪は体に害を及ぼしますが、良質の油は脳や体の機能を高めます。

人間にとって大事な脂質であるオメガ3はシソ油、亜麻仁油、魚の油に多く含まれています。


オメガ3細胞膜の主要材料として使われたり、弾力性ある血管を作るのにも欠かせない油ですが
体内で作られないため、食事から取り入れる必要があります。

ほかにも脳機能を活性する効果もありますが、現代の食事をしていると脂質のバランスはどうしても崩れてしまいます。


体の機能を維持するためには、オメガ3とオメガ6の脂質バランスが重要で、
理想は1:4ですが、実際はほとんどの人は1:15、またはそれ以上にオメガ6に傾いています。

オメガ6の脂質は、ごま油、コーン油、サラダ油、大豆油など。

家庭で使われる機会が多く、外食や加工品にも含まれるため、氣づかないうちに口にしている事もあります。


オメガ6を多く摂っている人は、オメガ3を多く摂る人と比べて
うつ病になるリスクが4倍以上高い事が明らかになっています。

オメガ6の摂取を極力控えてオメガ3を積極的に摂る事で、理想の脂質バランスに近づき
心身の働きも正常に戻されていきます。



他にも、ビタミン・ミネラルも脳の機能に深く関わっていて、
これらが欠乏すると、うつ病など精神にダメージを与えてしまいます。


脂肪や炭水化物の多い食事をしている人は、たいていビタミン・ミネラルが不足しています。

主な理由として野菜や果物の摂取量が少ないことと、消化に負担がかかるため
体内のビタミン・ミネラルが使われてしまうことが挙げられます。




肉食はせず、その他にも腸内の悪玉菌を増やしてしまうものをなるべく避け、
血糖値の上昇が緩やかな食材、腸内の善玉菌を増やす食材を中心とした食事をする。


それをふまえると、やはり玄米菜食をメインにした食生活がベストです。

栄養を効率良く摂取できるので食べ過ぎを防げますし、消化器への負担も少なく、
体の機能の邪魔をしないので、結果的に病氣の予防にもなります。




腸内環境によって精神活動が大きく左右されるほど、腸と脳は常に連携しています。


精神疾患の診断がされている人以外にも
なぜか不安になる、悲しくなる、など精神状態が不安定な人は現代では多くいます。


腸内環境が良くないと、休息したり氣分転換をはかっても根本的な改善は難しいため、
あわせて食事の改善を実行していく事も重要です。



山本和佳

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