【一般無料】内臓の力を鍛える~Part2~(健康基礎講座)

・呼吸を軽視されるようになった理由

・それ以外にもある呼吸の効果

 

日本には呼吸を大事にする文化がありました。


日本舞踊、能、長唄、武道なども呼吸が重要視され、息が長くなくては出来ません。

また、日常の動作も息の力が強さに支えられていました。


これほどまでに重きをおかれた呼吸は、心身を強く鍛えるために欠かせなかったのです。




●循環器系にも表れる効能


呼吸が深いと、血流がアップしますので循環器系にも良い影響を与えます。


・血圧の正常化

イライラ・ムカムカした時に血圧が上がるのは、副腎からアドレナリンが大量に分泌されるためです。

深い呼吸によってアドレナリンの分泌が抑えられ、血圧を下げます。



・狭心症(心臓の痛みの改善)

息を吐く時は大量の二酸化炭素が外に出され、ただちに吸氣と一緒に酸素が取り込まれ、血中に入ります。

これが動脈血となって心臓の左心室から出されます。そして、冠動脈にまずこの動脈血が流れ込みます。

呼吸によって横隔膜が強く収縮して、その度に酸素が豊富な大量の動脈血が冠動脈に送り込まれます。
すると酸素によって収縮が活性化して機能が上がり、心臓の痛みが改善されます。





●自分の体に向き合う


深い呼吸は筋肉にもアプローチして内臓の力を高めてくれます。


一方、体の栄養となる食事も内臓機能を高める、または負担をかけない和食でした。


洋食が日本に入ってきて肉や動物性脂肪を食べるようになり、体内の循環が滞りはじめました。


これは日本人が呼吸から意識が離れていった時期と重なっています。


食べる物によって細胞を元氣にして、内臓の周りの筋肉を呼吸によって動かして
体の機能を活性させていた日本人。

健康な体を維持するため、というのはもちろんのこと、
それ以外にも内臓を重要視している理由が日本人にはありました。



もともと日本人は、内臓の働きをとても重要視する民族でした。

それは日常にも浸透して、日本人の精神を作り上げていました。


「腹」は医学的な面からお腹を意味するほかにも
心理的な側面、人間の精神力や社会性に関わる意味も持ち合わせています。

実際には、後者の意味では「肚」というのが正しいです。


世界的に見ても日本ほど内臓を表す言葉を日常の中で多用している国はありません。


英語ではstomach(胃)という単語を用いて、「strong stmach」という強い精神性を表す言葉はありますが、
日本のように頻繁には使われていないようです。

肚を決めるは「make up one’s mind」、肚を立てるは「get angry」というように
英語では内臓とは関係ない言葉が使われています。


他の国でも、肚をはじめ内臓を用いた表現はほとんどないようです。





●呼吸の大切なポイント


リラックスしたい時、氣持ちを落ち着けたい時や切り替えたい時、疲れた時に深呼吸をすると良いと言われるのは、実際に体にそうした生理作用をもたらすからです。


大事なポイントは丹田に意識をおく事と、まずしっかり息を吐いて、鼻から空氣を吸う事です。

しっかり吐き切れば、その分酸素が大量に入ってきます。

逆に吸う事に一生懸命になると、何かつかえるような感覚がして吐く量も少なく、長く続きません。



正しい呼吸は、吐く方に意識してしっかり吐き切り、体を解放させるイメージです。
すると今度は意識しなくても肺が空氣を取り込み、体内に酸素がたくさん入ってきます。

こうした呼吸は、血液の清浄化や細胞の生まれ変わりに大いに役立ちます。

捨てるべきものをしっかり捨て去れば、努力せずして大量の酸素が入ってきて体が活性するのです。






●呼吸が軽視されて失ったもの


日本人が内臓を多角的に捉えるようになったのはかなり古く、平安時代にはすでに
人間の内面を表す意味をもって使われていました。


昔は肚(はら)という言葉が使われ、下腹部の中心を指しています。

肚は魂が宿る場所として、世界的に類を見ない文化が発達しました。


腰や肚の構えがしっかりする事で、肉体に力強さがみなぎり、心も安定します。


和服は腰や肚の位置を定めるために最適な衣服でした。

男性の袴は腰を後ろから支えて、おへその下の丹田の位置で帯を結ぶ、
腰が安定して肚が据わり、体の中心を作っていたのです。



しかし、第二次世界大戦後にアメリカによって内臓を重要視する文化や思想が否定されました。


昭和30年代から内臓を使った言葉表現はだんだん使われなくなり、
昭和40年代に入ると、さらに衰退していきました。



今でも「腹が立つ」という言葉が残っていますが、実はこの表現は医学的にも当てはまっています。


怒りで交感神経が大変な興奮状態になると、胃が固くなって立つのです。

レントゲンが無い時代に大変繊細な身体感覚をもち、体に起きる変化を捉えていたと思われます。


昔は肚という言葉を「肚で決める」、「肚で動く」、「肚に落とす」など様々な表現で使っていたので、常に意識がおへその下の丹田の辺りに向いていました。



しかし、腹(肚)から意識が離れて頭にすり替わり、「頭にくる」という言葉が使われるようになりました。


さらに今では「キレる」が頻繁に使われるようになって、
体に向かう意識が失われていったのが言葉にも表れています。


肚から意識が離れていった昭和30年代は、日本人に肉食が広がっていた時代でもあります。

内臓を軽視されるようになって、食事も乱れていってしまいました。



「腹が立つ」→「頭にくる」→「キレる」と怒りの表現が体から離れていった事に象徴されるように、
日本人の体と精神の繋がりも薄くなり、心身の両面で病氣が増えていきました。





体のエネルギーは細胞内で作られますが、その主な動力源となるのが糖と酸素です。

食事から良質な糖を摂り入れ、呼吸によって酸素を体内に送り込む。


つまり、玄米を食べてしっかりと深い呼吸をする事によって、体内でエネルギーに変わります。


内臓機能が充実することによって、精神の土台も鍛えられていきます。



山本和佳

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