【一般無料】牛乳の弊害~part2~(健康基礎講座)

・日本人の○%は牛乳を分解できない

・牛乳信仰が広まった理由

前回に引き続き、牛乳についてお話し致します。

まず、牛乳は飲んだ後に消化不良を起こすという問題があります。

前回は牛乳のタンパク質(カゼイン)が人間では分解されない点についてお伝えしましたが、
それ以外にも消化不良となる要因が牛乳にはあるのです、

●乳糖不耐症

牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、お腹が張るといったように
胃腸に不快感を感じる人がいます。

これは、胃腸の機能に問題があるわけではなく、
牛乳を飲むと、多くの人が消化不良を起こしてしまうためです。

その理由は次の通りです。

牛乳には乳糖と呼ばれる糖質が含まれています。

乳糖はブドウ糖とガラクトースから成る二糖類で、分解して営養吸収される時には
ラクターゼという酵素が働きます。

赤ちゃんの体内にはラクターゼが豊富にあるため、お母さんから授乳して
それをちゃんと分解して営養吸収するので、元氣に成長していきます。

その後、生後1年半から4歳頃までにラクターゼは徐々に減っていきます。

ちょうどこの頃に赤ちゃんは成長して歯が生えそろい、離乳して固形のものを食べ始めます。

ラクターゼが徐々に減り、乳を分解できなくなるのは生理的な変化です。

そして、人類の大多数は乳糖を分解することが出来ません(乳糖不耐)。

成人で乳糖不耐の割合は、アメリカ白人は8%、と欧米では比較的低いですが、
アフリカやアジアの人種では80~90%とかなり高く、日本人は85%が乳糖不耐です。

また、乳糖不耐でなければ牛乳を飲んでもよいという訳ではありません。
乳糖以外にも人体にダメージを与える要因がいくつもあるためです。

●スポック博士の育児書

「牛乳はカルシウムが豊富だから、積極的に飲むべき」
「丈夫な体に育てるために、子どもに牛乳を飲まるべき」

この間違った思い込みはどこから来たのでしょうか?

世界中に広まったのは戦後になってからです。

1946年、アメリカの小児科医ベンジャミン・スポック博士が書いた育児書が出版され、
6年間のうちにアメリカで600万部も売れました。

さらに世界43か国語に翻訳されて、総売上は5000万部という大ベストセラーになった本です。

アメリカで発売されてから20年後の昭和41年には、日本でも出版されました。

この育児書の中で「子どもには牛乳や乳製品を積極的に摂らせるべき」と書かれていて、
この内容が日本の栄養士に向けて教育され、母子手帳もこの本の内容をベースとして作られました。

日本で昭和40年代以降に生まれた子どもの多くが、この初版の育児法のもと、牛乳を与えられて育ちました。

その結果、日本人は丈夫になったでしょうか?
それどころか、代を追うごとに弱くなっているのが実態です。

牛乳のカルシウム含有量は多いですが、人体では有効利用できず、健康上の問題を引き起こします。

●食品中のカルシウムと吸収率について

ここで重要なポイントは、食品中のカルシウムの量と、それが骨や歯まで行き渡る吸収率の間には
相関関係が無いということです。

牛乳は1Lにつき1200mlのカルシウムが含まれます。

一方、人間の母乳は1L当たりのカルシウムが300mlと牛乳より少ないですが、
人間の赤ちゃんは母乳からより多くのカルシウムを吸収しているのです。

また、牛乳にはカルシウムの他にリンが多く含まれています。

牛乳のカルシウムに対するリンの比率は2;1より少し多めです。

リンは腸管内でカルシウムと結合して、カルシウムの吸収を妨げることがあるため、
体への吸収率は低くなるのです。

カルシウムの吸収を考慮するならば、2:1以下の食品を食べるようにと
多くの栄養学者が忠告しています。

●牛乳は動脈硬化を引き起こす

牛乳を飲んで体調異変などの自覚症状が無い人も油断はできません。

牛乳を飲み続けると、動脈硬化を引き起こすリスクがあるためです。

動脈の中にプラークが出来て血流が低下するため、臓器への酸素など供給量も減ってしまいます。

最悪のケースは、血管を塞いで血流が完全に止まり、
脳梗塞、心臓発作、心筋梗塞など重篤な症状となってしまいます。

動脈硬化に至る要因は、高コレステロール血症、高血圧、糖尿病、運動不足、喫煙など
誤った食習慣や生活習慣、またはそれによって悪化した病氣です。

これらに複数該当していたら、年齢に関係なくアテローム硬化になるリスクが高くなります。

また、血中の総コレステロール値とは関係なく、HDLの比率が高くなると心臓発作の危険は小さくなります。
(HDLは善玉コレステロールとも呼ばれ、体内の余分なコレステロールを回収する働きがあります)

体内のコレステロールは食事から摂取したものと、肝臓や腸で合成されたものに分けられます。

食事からはコレステロールと飽和脂肪酸の摂取量が血中コレステロール値に関連します。

飽和脂肪酸は常温で固形であることが多く、
肉、牛乳、乳製品、マーガリン、揚げ物、チョコレートなどに含まれます。

一方、不飽和脂肪酸は常温で液体で人体に馴染みやすく、
しそ油、アマニ油、インカインチ油など植物油に豊富です。

飽和脂肪酸はコレステロール値を上げ、不飽和脂肪酸はコレステロール値を下げます。

コレステロール値とアテローム硬化は肉、牛乳、乳製品の摂取と深く関係しています。

1977年にはアメリカの上院国民栄養問題特別委員会が「アメリカ人のための食事方針」を発表し、
その中には、全国民が牛乳・乳製品の摂取を控えるよう推奨する項目も入っていました。

しかし、日本では政府が牛乳等の摂取を控えるような呼びかけもなく、
国民はいまだに牛乳信仰を持っています。

牛乳は人間にとって完全栄養ではありません。
仮に1滴も飲まなかったとしても、健康上に問題は起きません。

牛乳は必須の営養とか、グルメでももてはやされる影ではたくさんの牛が犠牲になっています。

哺乳動物なので妊娠させられて牛乳を出しているのですが、その乳は我が子へ与えられず
人間のために搾り取られて出荷されていきます。

哺乳動物にとって母乳は完全営養ですが、子牛はそれを飲ませてもらえません。

そして、それを飲む人間はやがて病氣になってしまいます。

牛のためにも飲む人間のためにもなっていない。
メーカーが儲かるために両者が犠牲になっています。

他者が犠牲になることを続けていたら、いずれ自分も同じ目に合います。

肉食のように直接殺して食べている訳ではないですが、牛の赤ちゃんから横取りしている事を思えば、
牛乳の摂取量はかなり減らせるはずです。

牛を犠牲にして人間だけが幸せになるという事など、自然界では許されないのですから。

山本和佳