【一般無料】病氣のドミノ倒し~Part2~(健康基礎講座)

・肥満を予防する食事

・動物性脂肪を止められない人が実行すべき事

・運動・食事と糖尿病発症率の関係

肥満は万病の元で、全身の様々な病氣をドミノ倒しのように引き起こす要因になっていると前回お話ししました。

肥満にならない、または改善するには
動物性脂肪を控えることと、正しい形で糖質を摂ることが重要です。

そして、これらの条件を叶えているのが玄米です。

●玄米の生活習慣病の予防効果

玄米は完全営養食品と言われ、生活習慣病の改善効果があることも明らかにされています。

メタボリックシンドロームの男性患者を対象として、
1日3食の食事で、白米を同じカロリー分の玄米に置き換えた食事に変えて8週間続けた結果、
体重減少、食後の高血糖・高インスリン血症の改善、血管機能や脂肪肝の改善、
高脂肪食に対する嗜好性の軽減の効果が現れました。

高脂肪食に対する嗜好性の軽減とは、脂たっぷりの食べ物を以前ほど食べようと思わなくなるといった
食に対する嗜好の改善効果を意味します。

肉料理、揚げ物、ラーメンなど脂肪が多い食事には依存性があり、
実はタバコや麻薬よりも依存性が高いのです。

高脂肪食は安価でも食べられて、年齢制限など法律の規制もありません。

テレビやSNSなどで話題に上がってブームになっている食べ物は、
脂肪たっぷりの食事がほとんどです。

人間の身体は、もともとそれほど多くの油を必要としていませんので
脂っこい食べ物をたくさん食べていると、脂肪の代謝が追いつかなくなり、脂肪が蓄積されていきます。

それが年月をかけて積み重なると、糖尿病の引き金になってしまいます。

「焼肉や揚げ物が大好きで、いつも食べ過ぎてしまう」

「脂っこい食べ物を控えようと思っていても、出来ない」

こういう人は世の中に実にたくさんいると思います。

特に40代以降は代謝が下がっていくのに伴って、脂肪がつきやすくなり
メタボリックシンドロームになる人が増えて、より深刻になってきます。

動物性脂肪は依存性が高いため、止めようと思ってもなかなか難しいのです。

玄米はそうした脂肪の依存性問題にも効果を発揮します。

玄米の有効成分には高脂肪食に対する嗜好性を軽減させる働きがあります。
(脂っこいものを食べたくて仕方ない衝動を抑える、ということです)

この時、脳内では次のような反応が起きています。

脳内の視床下部という部位は多くの重要な機能を持っており、その中で食欲を制御する働きも担っています。

高脂肪食の食事をしていると、視床下部でストレス反応が高くなり、
食欲を抑えようとする機能が低下して、依存が強くなります。

つまり、食べたらもっと食べたくなるという繰り返しに陥ってしまうのです。
ここでいう「食べたくなる」とは、脳が暴走してしまって、体の声が聞こえていませんので
止めようと思っても止められないのです。

しかし、玄米の有効成分γオリザノールには、視床下部で起きるストレス反応を軽減して
依存を断ち切る効果があります。

実際に玄米菜食に変えると、脂っこいものをそれほど食べたいとは感じなくなって
味噌汁やきんぴらごぼう、煮物など和食の味の美味しさに敏感になりますので
玄米は毎日の食事の要となっています。

●良い脂質と悪い脂質

脂質には摂って良い脂質と、極力摂避けるべき脂質があります。

肉、ラード、乳製品、パーム油はを飽和脂肪酸に分類され、冷めると固まる性質を持っています。

この油を摂り続けていると細胞質が固くなり、動脈硬化や全身の老化を促進させます。
肉は止めることと、その他の油についても、なるべく口にしないよう氣をつけましょう。

一方、積極的に摂りたい油は不飽和脂肪酸の中のオメガ3です。
飽和脂肪酸とは反対に細胞や血管をしなやかにしてくれますので、若々しさを保ちます。

オメガ3は亜麻仁油、インカインチ油、えごま油、青魚に豊富に含まれています。

●食や運動の習慣と糖尿病発症率との関係

食事制限と運動を組み合わせると、糖尿病発症との因果関係はどうなるでしょうか。

虎ノ門病院にて、糖尿病予備軍の中年男性を2つのグループに分けて、
食事制限(低脂肪で食物繊維を多く含む食べ物を積極的に摂る)と運動を行って、その効果を検証しました。

1つめのグループは356人を対象にして、BMI24以下を目指して
食事制限や運動を行い、目標数値を達成した後もそれを維持してもらいました。

もう一方のグループは102人を対象にして、BMI22以下にするという
厳しい目標を設定して、その数値を達成した後も維持するようにしてもらいました。

つまり、食事制限と運動によって体重を減らしたということを意味します。

その後、両グループを4年間追跡調査した結果、
体重が1グループは約0.4kg減、もう一方は約2.2kg減。
糖尿病の発症率は1グループが9.3%、もう一方は2.9%でした。

脂質を抑えた食事と運動によって、糖尿病の発症率をある程度抑えることは可能です。

しかし、糖尿病の予備軍になるよりもっと前から食事の改善と運動をしていれば
予防効果はさらに高くなりますし、高いQOL(生活の質)を保てます。

脂質は必須栄養素の1つですが、脂質の種類を摂り間違えたり、食べ過ぎてしまうと

お菓子、クッキー、ケーキ、パン、ドーナツ、チョコレート、
ファーストフード(ハンバーガー、フライドポテト、シェイクなど)、ラーメン、レトルト食品・・・

大手食品メーカの宣伝を信じて消費している限り、健康でいることは難しく、必ず病氣になってしまいます。

日本人は戦後の時期よりも動物性脂肪の摂取量が4倍以上増加しています。

そのほとんどを乳製品や肉から摂っているため、メタボ、インスリン抵抗性、高血圧となり、さらに高脂血症、動脈硬化へと進行します。

いずれも戦後には見られなかった症状です。

昔は、がんは老人病と呼ばれていましたが、今では発症する年齢が下がり、
その主な原因は食事や運動、睡眠、ストレスなど生活習慣によるため、生活習慣病と名づけられました。

また、主食の観点から見れば、白米を食べていることと脂肪の摂り過ぎは決して無関係ではありません。

白米には胚芽や糠がない分、玄米よりも営養価がかなり低いため、
体に営養を供給するにはとても不利なのです。

胚芽や糠には以下の営養が豊富に含まれています。

脂質、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、
マンガン、ビタミン、ナイアシン、葉酸、パントテン酸、食物繊維など

そのため、白米を食べている時点で営養が不足してしまいます。

では、不足した営養をどうやって補おうとするでしょうか?

おかずの品数を増やしたり、食べ応えのあるものを欲しがるのですが、油で調理したものを好む傾向があります。

しかも、たいていは質の悪い油を摂るため、体内で有効に使われず、活性酸素を発生させて体の酸化を促進します。

脂肪には依存性があるため、食べ過ぎて内臓脂肪として蓄積されてしまいます。

玄米に含まれる良質な営養を取り除き、他の食べ物から営養(営養にならないものも)を取り入れています。

白米を食べていると、営養摂取の効率が非常に悪いのです。
無駄なものまで食べてしまい、どうしても食事量が増えてしまうため、胃腸に負担がかかっています。

ここで玄米に話を戻します。

玄米には味噌汁、納豆、漬物、梅干し、季節の野菜を使った料理(煮物、おひたしなど)や
魚料理(焼き魚、煮魚、刺身)などが和食の味がよく合います。

洋食が大好きな人にとっては、「量が少ない」「油の量が少なくて食べた氣がしなさそう」と感じるかもしれません。

しかし、玄米菜食をしている方が免疫力が高くなり、老化を遅らせるのは、営養効率が高いためです。

「生きている間はなるべく自分のことは自分で」と多くの人が望みます。
実際に、いくつになってもシャキシャキ動けることは最高に幸せだろうと思います。

病氣の予防、不調の改善にも玄米は効果を発揮します。

一番の理想は日々健康を維持しながら病氣を予防することですので、
毎日玄米を食べて、元氣に過ごしましょう。

山本和佳