・血糖値との関係
・砂糖独自の性質
・「クセになる」しくみ
前回に続いて、白砂糖についてお話し致します。
また、食品メーカーは白砂糖の特性を利用して商品を製造しています。
白砂糖は人工的に作られた化学物質ですので、食べた後、
体が上手く処理出来ず、腸や血管を汚してしまうのです。
●血糖値との関係
甘いものが好きな人にはイライラすしやすかったり、
体が重くてあまり動きたくないという人が多いです。
これは血糖値の乱高下とも関係があります。
白砂糖が体に入るとと、血糖値が急上昇します。
すると上がり過ぎた血糖値を下げようと、膵臓からインスリンがたくさん分泌されます。
その結果、今度は血糖値が急降下してしまい、まるでジェットコースターのように激しく変動します。
白砂糖は分子量が小さいため素早く血管へ入るのですが、これが血糖値の急上昇を招く原因です。
血糖値の上昇と下降はセットで起きるため、砂糖を頻繁に口にしていると必ず低血糖症状が表れます。
低血糖は白砂糖以外にも未精製の食品(白米や小麦)でも同様に起きます。
さて、もう一度下がり過ぎた血糖値に話を戻します。
低血糖のままではまずいと、体は血糖値を上げるアドレナリンやコルチゾールを副腎から分泌します。
これらは交感神経の働きを活発にするため、緊張やイライラのように不安定な感情が表れます。
お腹が空くとイライラする人は、低血糖の可能性があります。
このように極端な上下動を繰り返すと、脳にも大きな負担をかけてしまいます。
低血糖になると脳もエネルギーが不足して、脱力感、頭が重く感じたり、
冷や汗、ふるえ、動悸、けいれんなどの症状が表れます。
先にも述べました血糖値を上げるアドレナリンは、別名攻撃ホルモンとも呼ばれ、
イライラしたり、キレやすくなります。
血糖値が不安定になると自律神経のバランスを崩し、感情も不安定になってしまいます。
また、低血糖は統合失調症のような精神疾患にも関係しています。
低血糖になると、大量のアドレナリンが分泌されます。
これが酸化するとアドレノクロムという物質に変化します。
統合失調症の特徴的な症状の1つに妄想がありますが、
それを引き起こすのがアドレノクロムと言われています。
アメリカの精神科医によると、統合失調症患者の20%に低血糖症が見られたと言います。
●砂糖が使われる理由
お菓子だけでなく、加工食品にも砂糖は大量に使われています。
コンビニ食品、インスタントラーメン、レトルト食品、冷凍食品、ドレッシングなど
家で手抜きした食事をしていると、砂糖の摂取量はさらに増えてしまいます。
これだけ至る所に砂糖が使われているのは、メーカーにとって都合が良い事情があり、
砂糖の持つ性質を巧みに利用しているからです。
1.保水性
朝に食パンを食べる人は多い。(あれば統計)
ふわふわ、もっちりした食感やしっとり、やわらかなパンも大人氣です。
本場のドイツパンはちぎるとボロボロと崩れるし、何日か置くと固くなります。
もともとパンはこういうものですが、日本でよく売れているパンとはかなり違います。
その差は保水力にあります。
実は、食パンには多量の砂糖が使われています。
ふわふわ、しっとりした食感を出せるのも、砂糖も持つ保水力のおかげです。
砂糖は周りから水分を奪って、一度抱え込んだ水分をなかなか離さない清津を持っています。
そのため、何日か経ってもパサつかず、ふわふわしています。
食パンは食事として食べられていますが、朝からお菓子を食べているようなものです。
それから、ジャムにも砂糖は多量に入れると固まるのも、砂糖の保水性が利用されているのです。
2.防腐作用
砂糖には食べ物が腐るのを防いで、保存性を高める働きもあります。
食べ物が腐るのは微生物の働きによるものですが、
それを抑えて腐敗させないようにする作用が砂糖にはあるのです。
例えば、羊羹が長期間保存できるのも砂糖の力を利用しています。
砂糖の浸透圧作用により、微生物の細胞の水分が吸い出されて死滅するため、
腐敗しないで長持ちするというわけです。
もし砂糖の量が足りないと防腐作用が上手く働きません。
使う材料によっても異なりますが、ジャムの場合は全重量の70%に砂糖を使います。
それ以外のもの(小豆など)でも全重量の半分以上を砂糖にすることで防腐効果を発揮します。
しかし、いくら保存ができるとはいえ、砂糖が体へ及ぼす害はこれまでにも述べたとおりです。
砂糖を使った食品は嗜好品であり、営養源として食べるものではありません。
3.食品の味をごまかす
また、砂糖はただ甘い味をつけるだけでなく、他の味を和らげるという独特な働きもあります。
砂糖を苦味の強いコーヒーに入れたり、酸味の強いグレープフルーツにかけると
口当たりが良くなるのは、こうした作用によるものです。
お菓子以外の加工食品にもたくさん使われています。
隠し味としても砂糖が使われているのは、粗悪な材料の味をごまかせるからです。
まさに、メーカーにとっては魔法の杖のようなものです。
以上のように砂糖の性質を利用して、メーカーはお菓子や加工食品を製造しています。
安価で美味しく誤魔化すために砂糖は持って来いなのです。
しかし、消費者の健康は全く考慮されず、メーカーの利益が優先されている事実をお忘れなく。
●依存性のしくみ
砂糖には一度食べるとまた食べたくなるといったように、依存性があります。
「甘いものを食べたいという衝動を抑えられない」
「甘いものが無いとイライラしたり、落ち着かない」
「お腹が減っていないのに食べたくなる」
日常の中でこう感じている現代人は多いのではないでしょうか。
甘いものを食べると「幸せ~!」と高揚感がもたらされます。
このとき脳内の報酬系(ドーパミン回路)を刺激して、ドーパミンが分泌されています。
日常的に甘いものを食べていると、脳は甘いものを食べる行動を「快」と覚えます。
すると空腹時に甘いものに対する欠乏感が強くなり、より食べたい衝動が強くなってしまうのです。
もともと脳内の報酬系は人間が社会活動する中で、大切な働きを担っています。
例えば子どもが勉強を頑張って、テストで良い点をとったとします。
テスト用紙を家に帰って家族に見せたら、たくさん褒めてもらえた。
それが嬉しくて、ますますやる気になって勉強に取り組んだ。
自分が起こした行動が、報酬となって返ってくる。
ここでいう報酬は物やお金だけでなく、褒めてもらえることや承認、尊敬されるなど
様々な形でやって来ます。
また、良い習慣を身につける過程でもドーパミン回路が働いています。
報酬をもらうことで、さらに意欲を掻き立てられて次の行動へつながっていく・・・
という人間の健全な活動を支えています。
しかし、この報酬系は白砂糖にも反応します。
甘いものを食べると脳が喜ぶのは、報酬系が刺激されているためです。
つまり、楽をしてご褒美だけ受け取っている状態です。
これを繰り返すうちに、脳は楽してご褒美をもらいたがるようになります。
甘いものを食べた後、しばらくすると欠乏感からまた食べたくなる。
依存の罠にはまっている状態です。
安価で美味しい商品が作られ、その上繰り返し食べたくなる。
メーカーは利益を得る一方、消費者は健康を犠牲にしています。
消費者にとって、食べた瞬間の高揚感以外は
体内の代謝を乱したり、大切な営養素が奪われていったりと良い事は何もありません。
特に子どものうちに甘い味に慣れてしまうと、骨が丈夫に形成されなかったり
カルシウム不足でイライラしたり学力低下を招いたり、
やる氣の無い無氣力な子どもになってしまいますので、甘いものは極力食べさせないようにしてください。
白砂糖の害の影響範囲は広いため、また折に触れてお伝えしていきます。
山本和佳