一般無料「腸内細菌と肥満の関係」健康基礎講座

・食べたものと腸内細菌

・太ると運動しないという悪循環

・ダイエット後にリバウンドする理由

 

和食が好き、洋食が好き、ジャンクフードばかり食べる・・・

何でも食べ物が手に入るようになった現代では、体に良いか悪いかに関わらず、
それぞれの好みで選び、食生活は人によって様々です。

自分の意思で食べていると思っているが、正確には腸内細菌によって決められています。

 

●ファーストフードに壊される腸内細菌

体に合う食事をしているかどうかで、腸内細菌の様子は全く変わってしまいます。

その状態が健康を左右しているのです。

イギリスの名門大学ロンドン・キングスカレッジで遺伝疫学を教える
ティム・スペクター教授の息子トムは、卒業論文を書くために自分の体を使った実験を行いました。

その実験とはファーストフードを食べ続けて、腸内細菌の変化を観察をするというものでした。

以下は実験の内容とその結果です。

トムは10日間、ハンバーガー、チキンナゲット、フライドポテト、コーラだけを摂り続け、
実験前から実験の後まで毎日便を採取して、それを複数の研究機関へ送りました。

実験の3日目を過ぎると次第に体調が悪化して、1週間後には友達から顔色が悪いと言われるようになりました。
10日の実験が終わると、トムはもう我慢出来なくなり、野菜と果物を買いに食料品店へ駆け込みました。

そして数か月後に研究機関から送られてきた便検査の結果は、腸内細菌叢の崩壊を告げるものでした。

実験後のトムの腸内細菌叢は実験前のものから大きく変化していました。

実験前はでんぷん、セルロース、ペクチンを分解するフィルミクテス属の菌が優占していました。

しかし、実験後は動物性の食事をする人に多く見られるバクテロイデス属の菌に置き換わっていたのです。

その上、ビフィズス菌が半減して、菌の書類は40%も少なくなってしまいました。

短期間でも腸内細菌は激変して、それは体調にも影響します。

 

●太ると運動しない悪循環

ファーストフード、コンビニ食品、インスタントラーメン、揚げ物などをつい食べ過ぎて
体に悪いと分かっても止められない現代人は多いです。

明らかに動物性脂肪を摂り過ぎている食生活です。

肉食はもっての外ですが、加工食品にも動物性脂肪はしっかり入っています。

40代にさしかかるとどんどんお腹が出てきて、これではいけないと思っても
大半の人は今までの食生活を変えていないと思います。

動物性脂肪には依存性があり、過剰に食べてしまう状態は
動物性脂肪依存症と呼ばれています。

揚げ物や脂っこい料理をもっともっとと、食べたくなった経験をした人は多いでしょう。

脂肪を摂り過ぎると、脂肪細胞として蓄積されます。

すると、脂肪細胞は仲間を集めるかのように脂肪細胞を増やそうと
主人に脂肪をもっと摂るように命令します。

すると、さらに脂肪の摂取量が増えていきます。

スナック菓子やチョコレートなど特定の食べ物ばかり過剰に食べるのも
動物性脂肪依存症の1つの症状です。

グルメブームでもてはやされるものや、食品メーカーが作ったいわゆるヒット商品にも
だいたい動物性脂肪が入っています。

油を使えばリピーターになってくれると、売る方は分かっているのです。

さらに運動をすると脂肪細胞が分解されるため、運動をしないように指令を出します。

始めは脂肪細胞が脳へ命令していますが、そのうち脳が「運動するな」と体へ命令します。
そうして運動しない習慣が出来上がってしまいます。

肥満になると運動しなくなるのは、単に重みで動きづらいだけでなく、
このように嗜好までコントロールされてしまうためです。

ここまで知ると、脂肪細胞の蓄積を何とかして止めたいと思うでしょう。

それには玄米食が心強い助けとなってくれます。

玄米にはビタミン。ミネラル、食物繊維など営養が豊富ですが、良質な脂質も含まれています。

体に玄米の脂質が俸給されれば、むやみに脂っこいものを食べたがらなくなります。

そして、野菜のように自然食材や発酵食品など
美味しいものは身近にたくさんあると氣づくと、毎日の食事は一層充実するでしょう。

 

●ダイエット後にリバウンドす理由

もし脂たっぷりの食事をしていたら、早いうちに改善した方が得策です。

玄米菜食に改善して、その食生活を根気よく続けることで食の嗜好も変化し、
時間はかかりますが、腸内細菌も玄米菜食をちゃんと分解出来るように
腸内細菌の多様度を取り戻していきます。

例えばダイエットをする場合も、減量期間だけ食事制限をして
減量したら元の食事に戻すというのでは意味がありません。

時間が経つほど改善しにくくなりますので、病氣になってから食事を変えようとしても
なかなか上手くいきません。

イスラエルのワイズマン研究所で行われたマウス実験について、ご紹介します。

マウスを次の3つのグループに分けて、体重や腸内細菌の変化について調べました。

・高脂肪の食事のみ摂る
・通常の食事のみ摂る
・高脂肪と通常の食事を一定期間ずつ交互に摂る

実験の結果は以下の通りです。

・高脂肪食のみのマウスは通常食のマウスと比べて体重が2倍になった。

・交互に食事を変えたマウスは、高脂肪食から通常食へ変えると、体重がゆっくり減少した。
 しかし、再び高脂肪食に変えると急激に体重が増え、高脂肪食のみのマウスの体重に追いついた。

・高脂肪食のみのマウスは、通常食のみのマウスよりも腸内細菌の多様度が低下した。
 交互に食事を変えたマウスは高脂肪食から通常食に変えても、腸内細菌の多様度は
 完全に元には戻っていなかった。

 

ダイエットしても、すぐリバウンドしてしまうのも、
腸内細菌叢はダイエットする前の食事(脂肪たっぷりの食事)の時の腸内の状態を
記憶しているためと言われています。

やっかいな事に腸内細菌叢は脂肪分の多い食事には短期間で対応するのに
一度変化すると、元に戻すのは大きな労力が必要なのです。

しかし、これは見方を変えれば生命として生きるために大切な働きです。

長い年月を自然と共に生き延びるには、飢えがつきものでした。

食べるものが少ない時期は、体重減少を最小限にとどめて
食べられる時は短期間のうちに体に脂肪を蓄えるという
生存のために重要なシステムが体に備わっています。

現代人は飽食にどっぷり浸かり、空腹を感じる間も無いまま食べ続ければ、
体重はどんどん増えていきます。

特に年齢を重ねると体重を落とすのが難しくなっていきます。

だから太っている人は早めに体重を減らして、太っていない人も玄米菜食をして
質の悪い油だらけの食生活とは縁を切りましょう。

 

食の改善はそれまでの自分の味覚を一旦疑い、しつけ直すような行為です。

本来の体に合っている食事を続けるうちに、玄米や発酵食品の美味しさに氣づくはずです。

ゆっくり血糖値を上げて消化・吸収していきますので、内臓への負担が少なく食後も比較的体が軽いです。

それが毎日の活動を活発にして、体が動きやすくなります。

是非、病氣が逃げていくような体を作りましょう。

山本和佳