・全身を巡る神経
・○○の流れが悪い神経も滞る
・神経を滞らせてしまうもの
わたし達は毎日の生活の中で手足を使い、足を動かし、頭を働かせています。
これらの働きには神経が関わっていて、例えば歩くという動作1つをとっても
脳から左右の足を交互に前へ出すよう指示が送られています。
「左右の足を動かす」とい指令は電気信号に換えられて、神経を通って足の筋肉に届きます。
体を巡る神経は主に次の3つに分類されます。
<感覚神経>
熱い、冷たい、痛み、温度変化など手足や皮膚といった感覚器官から脳へ情報を伝達する神経
<運動神経>
手足や筋肉を動かす、運動する時に脳から各部へ指令を送る。
<自律神経>
全身の内臓や血液などの働きを統制している。
生命維持に必要な体の機能を維持する(ホメオスタシス)。
いずれの神経もニューロンという神経細胞が集まって構成されています。
●神経に関わる病氣
神経伝達物質は体の活動や精神状態にも深く関わっています。
それぞれがバランス良く分泌される事が大切なのですが、
過剰や不足など分泌異常が起きると、不調や病氣の原因ともなります。
主な神経伝達物質と過不足が起きた時のリスク
<ドーパミン>
やる氣の元になる神経伝達物質
分泌過剰・・・統合失調症や不安障害
不足・・・パーキンソン病、うつ病
<ノルアドレナリン>
攻撃ホルモンと呼ばれる。逃げるか戦うかという状況に分泌される。
過剰・・・不安障害
不足・・・うつ病
<セロトニン>
幸せホルモンとも呼ばれる。副交感神経が優位になると分泌される。
現代人は不足しがちなホルモン。
過剰・・・不安障害
不足・・・うつ病、偏頭痛
<アセチルコリン>
脳内では神経伝達を促す働きをする。
過剰・・・パーキンソン病
不足・・・アルツハイマー病
神経伝達物質は健全な体
と精神を作る重要な要素です。
神経に異常が出ると肩こりや腰痛などの症状に始まり、
重症化すると社会参加が難しくなったり、
自分で自分の事を出来なくなるほど深刻な病氣を引き起こします。
●神経の滞り
もし神経伝達が上手く働かないと体調を崩したり、心が不安定になったりします。
重篤な病氣にかかることもありますので、軽視はできません。
神経の流れが悪くなる主な原因は次の通りです。
1.姿勢の悪さ
パソコンやスマホの使用時間が長いと、姿勢が崩れやすいので注意。
背中が丸くなったり、顎が前に出ていたらすぐに直しましょう。
顎を引いて胸を張って、呼吸をすると頭がスッキリしてくるのが分かると思います。
2.食生活の乱れ
食生活が乱れると、体内で活性酸素が大量発生します。
それが神経にも問題を引き起こしてしまいます。
全身の細胞内でエネルギー生産に関わっているミトコンドリアが
神経細胞の中にも存在しています。
動物性脂肪の摂取は、ミトコンドリアを弱らせてしまいます。
細胞の再生(酸素や営養の吸収、エネルギー生産、老廃物の排泄)が滞って
神経細胞が汚れてしまうため、神経の流れも悪くなります。
3.運動不足
筋肉を使う機会が少なくなると運動に関係する神経も使わなくなるため、
神経の衰えが早くなります。
3.酸素や営養が行き渡らない
営養不足の食事や姿勢の悪さ、呼吸が浅いなどの日常習慣が原因で
細胞内に取り込まれる酸素や営養が不足してしまいます。
すると細胞の代謝が滞り、炎症の原因にもなります。
4.睡眠不足
睡眠中は細胞を修復する大切な時間です。
睡眠時間が足りなかったり、眠りが浅いと細胞の修復が追いつかなくなります。
●油の摂取について
食生活の乱れの中で、切っても切り離せないのが油です。
ほとんどの現代人は油を摂り過ぎています。
特にリノール酸の摂り過ぎについてお話しします。
リノール酸は体に必要な必須脂肪酸です。
野菜などにも含まれ、生の状態で摂取するのは良いですが、
加熱して食べると問題
リノール酸を加熱すると、神経細胞を攻撃するヒドロキシノネナールという
毒性の強い物質が発生します。
リノール酸の中でも特に流通量が多いサラダ油は
製造過程で何度も加熱処理されています。
さらに調理する時も加熱するので、ヒドロキシノネナールはどんどん増えてしまいます。
大量のヒドロキシノネナールが体内に入って来ると、神経細胞に取り込まれて
物忘れ、認知症、うつ病、引きこもりなど様々な脳の機能障害を起こします。
たとえ肥満でなくても、油の摂り過ぎは体に弊害が出てしまうのです。
リノール酸とは反対に不足しがちな油がオメガ3です。
●ミトコンドリア
人間の体内は臓器、血管、筋肉、神経など様々な組織や器官があり、
それぞれの細胞の中にミトコンドリアがいます。
食事や呼吸によって取り込まれた営養や酸素は、血液に入って全身の細胞へ運ばれていきます。
ミトコンドリアは細胞の中で酸素を材料としてエネルギーを作り出しています。
神経で神経伝達物質が放出されたり、消化器官で消化液が分泌されるように
臓器や組織によって異なる特徴的な物質の産生にも関わっています。
ただ、細胞の中のエネルギー産生のサイクルに問題が出てくると、ミトコンドリアが弱ってしまいます。
ミトコンドリアが元氣かどうかが健康のバロメータでもあります。
ミトコンドリアが活性するかどうかは、その人の生活習慣に大きく関係しています。
食事の乱れ、飲みすぎ、喫煙などはミトコンドリアの質を悪くしてしまいます。
質の悪いミトコンドリアは活性酸素を大量発生して、
それによって、またミトコンドリアが傷つけられてしまいます。
ミトコンドリアが活性するのが健康の鍵とも言えます。
ミトコンドリアは全身の細胞に存在していますが、
中でも脳と全身をつなぐ神経細胞にとても多くいます。
筋肉の細胞にもミトコンドリアは多いですが、脳もまた体と連携するために
たくさんのエネルギーを必要としているためです。
ミトコンドリアの減少は、認知症の原因の1つになっている事も明らかにされています。
認知症の患者の中には甘いものが好きな人が多いですが、体内で活性酸素が大量に発生し、
血液が酸性に傾くため、ミトコンドリアが弱ってしまいます。
活性酸素は様々な病氣の原因となり、ミトコンドリアを傷つけます。
甘いもの以外にも活性酸素の発生させる要因は化学物質、農薬、タバコ、
肉食、お菓子類、低体温、細菌やウイルス、ストレスなどたくさんあります。
ミトコンドリアは40代以降、減少していきます。
年齢を重ねると共に運動量や活動量が低下しやすいですが、
放っておくと脳への刺激が少なくなり、ミトコンドリアが減少します。
いつまでも若々しい人は、はつらつとしていますが
細胞の中のミトコンドリアが元氣な証拠です。
●神経を巡らせる
神経の滞りを改善または予防すると、アンチエイジングにもなります。
食事面では、神経細胞を汚すものを極力控えることが重要です。
そして玄米菜食を続けて、バランス良く営養を摂りましょう。
オメガ3の油(インカインチ油、亜麻仁油、シソ油など)を積極的に摂ることも大切です。
細胞を柔軟にするので動脈硬化や血栓の予防効果があります。
また、脳を活性化してイライラの改善、認知症やうつ病の予防にもなります。
さらに運動することで神経がほどよく刺激を受けて、神経伝達が良くなります。
逆に運動不足だと筋肉の神経への刺激も少なくなります。
筋肉を鍛えると脳も活性しますが、運動不足になると脳への刺激も少なくなります。
また、顔や手足などマッサージすると皮膚感覚の衰えも防げます。
使わないと衰えていくのは、やはり神経も同じですね。
神経は日常の動作や体の活動と密接に関わっています。
そのため神経に何らかの異常が出ると、体調や精神面に症状となって表れます。
しかし、その原因の多くは食生活や生活習慣にあります。
加齢とともに神経も衰えていきますが、自分の習慣次第で老化を遅らせることは十分可能です。
神経の伝達を担っている神経細胞も文字通り細胞ですので
血液が汚れれば、細胞も汚れてしまいます。
血液も神経もよく流れる体にしていきましょう。
山本和佳