・第3の体液は縁の下の力持ち
・塩不足の問題
人間の体は体内循環が円滑に営まれることで健康状態を維持しています。
血液、リンパ液と並んで「第3の体液」と言われる脳脊髄液についてお話し致します。
●脳脊髄液とは
脳脊髄液は、脳と脊髄の周りを保護するように循環している体液です。
脳と脊髄をクッションのように守り、神経伝達を行い、営養を運び、老廃物を排出します。
血液、リンパ液と同様に脳脊髄液も滞りなく循環することで
心身のコンディションが整って、若々しくいられます。
また、「脳脊髄液は体の薬箱」とも呼ばれます。
セロトニン、エンドルフィン、ドーパミンなど神聖効果がある物質を
作り出すことが出来るからです。
<セロトニン>
セロトニンは幸せな氣持ちをもたらすため、幸せホルモンとも呼ばれます。
心身をリラックスさせる効果がありますが、
一方で不足すると氣持ちが不安定になり、自律神経のバランスが崩れたり、
頭痛など体調不良にもつながります。
さらに、うつ病を引き起こすこともあります。
セロトニンはウォーキングやスクワットなどの運動や
日光を浴びたり、誰かとコミュニケーションをとる事で増やせます。
<エンドルフィン>
幸福を感じるホルモンです。
ドーパミンが分泌された後でエンドルフィンが分泌されます。
例えば、受験に合格した時、嬉しくて大喜びします。
その後でゆっくりと幸せを実感するような時です。
ドーパミンが意欲や興奮の物質なのに対し、エンドルフィンはリラックス系の物質です。
マラソンをしていてランナーズハイになる時にも分泌されるホルモンで、
モルヒネの6.5倍の鎮静作用があると言われています。
出産する時にも分泌されて、痛みを和らげる作用があります。
<ドーパミン>
「やる氣」を作り出すホルモン。
美味しいものを食べた時や、氣の合う人や好きな人と過ごしている時は幸せな氣分になります。
また、勉強や仕事を頑張って目標を達成した時も、大きな喜びを感じます。
脳には「報酬系」という回路があり、ドーパミンの神経伝達回路になっています。
何らかの行動を起こして欲求が満たされるとドーパミンが分泌され、
快感や幸福感をもたらします。
その快感が報酬となり、「また挑戦しよう」「もっと頑張ろう」とやる氣を起こします。
このように行動の結果得られた快感が、次の行動を強化します。
努力を重ねて目標を目指す中で、ドーパミンの効果は大変重要です。
しかし報酬系回路がマイナスへ働くと、人間の社会活動の妨げとなり、
最悪の場合はアルコール、薬物、ギャンブル、ゲームなどの依存症になってしまいます。
セロトニン、エンドルフィン、ドーパミンはいずれも現代人には不足しがちな物質です。
慢性的に不足すると、緊張状態がなかなか抜けずに
イライラや落ち込みなど精神不安定になってしまうのです。
脳脊髄液の循環が悪くなると、脳の老廃物の排泄も滞り、脳の活動に支障が出てきます。
脳炎や脳浮腫のリスクが高くなり、アルツハイマー型認知症の原因物質と言われる
アミロイドβやプラークが溜まりやすくなります。
脳脊髄液が十分にあると、神経伝達がスムーズになりますので
脳と内分泌腺との連携も良くなってホルモンが正常に分泌されます。
●塩不足の問題
体液は海水とほとんど同じ構成成分で出来ています。
ところが、現代はほとんどの人が体内のミネラルバランスを崩しています。
その原因は、塩の摂取不足です。
それと食生活の乱れにより、体内のミネラルが不足している点です。
それは脳脊髄液にも支障が出てきます。
脳脊髄液が減少したり塩が不足すると、以下のように様々な不調が表れます。
代謝の低下、免疫力の低下、肩こり、腰痛、手足のしびれ、関節炎、
骨盤の歪み、首の痛み、頭痛、顔の歪み、眼精疲労、視力低下、
発声障害、めまい、吐き氣、耳鳴り、高血圧、糖尿病、うつ病、
不眠、感染症、認知症など
体液のミネラルバランスが崩れると、代謝が低下しますので、
老廃物が溜まりやすくなります。
それが体の各部の痛みを生み出し、次第に病氣を引き起こします。
体は体液の塩分濃度を一定に保とうとします。
水ばかり飲むと、体内の塩分濃度は薄くなるため、また水分が汗や尿として排泄されます。
特に夏場は脱水症状をおこしやすく、熱中症になることもありますので注意しましょう。
それから、塩には血圧を調整する作用もあります。
例えば、低血圧で朝起きられない人は女性に多いですが、
これは血圧を上げようとしても上げられない状態のため、氣合いではどうにもなりません。
本来の体のしくみは、朝起きたら血圧を上げて、血液をしっかり循環させて
元氣に活動を始めるように出来ています。
動物の血液は海水とよく似ています。
しかし、わたし達は海水をそのまま飲むことは出来ません。
体の中を海水成分で満たそうとするなら、塩を摂取することです。
海のミネラルが凝縮された結晶である塩を水に溶かして飲むと、体によくなじみます。
人間の体の約60%は水分で出来ていて、
体液がしっかり循環することにより、体を健康に保とうとしています。
ミネラルバランスがとれた状態のもとで、体は上手く働きます。
また、繰り返しになりますが、食品添加物やジャンクフードなどの食べ過ぎによる
ミネラルの無駄遣いを抑える事も、塩を摂取することと同じくらい大切です。
不要なものを体内に入れると営養が摂れない上に
化学物質が大量に入って来るため、代謝の低下を招きます。
そればかりか、消化吸収する時に体内のミネラルやビタミンを奪われますので、
体にとってはダブルでダメージを受けることになります。
ミネラルが豊富な塩を水と一緒に摂取して、体の循環を促していきましょう。
山本和佳