・氣候風土が生み出す豊富な食材
・粘る食べ物が好きな日本人
・独自の進化を遂げた和食
世界には様々な食文化があります。
その中でも日本は島国ということもあり、独特の食文化が発展しました。
味わい深さはもちろんのこと、人間の体を養う点でも大変優れていて、
2013年にユネスコ無形文化遺産に登録され、
それまで以上に和食の素晴らしさが海外から注目されるようになりました。
●地形が生み出す食材
日本には四季があり、野菜や果物、魚介類が季節ごとに採れる
自然の恵みが豊富な土地です。
国土の約70%が山林で占められている日本。
周囲を海に囲まれ、山が多い地形を擁する国は世界から見ても大変珍しいです。
日本の国土面積は世界で61位ながら、海岸線の長さは世界第6位を誇ります。
国土は小さくても、海岸線の総距離は中国やアメリカよりも長いのです。
日本列島の周りの海には大陸棚が広がり、魚や海藻が豊富に育ち、
海水をくみ上げて塩を作っていました。
日本は内陸でも数日も歩けば海に辿り着きますので、
海で採れた魚を塩漬けにしたり、干物にして保存性を高くすると
内陸の山奥まで持って行くことも出来ました。
日本列島は海と山が接している地形が多いという特徴もあります。
日本の川は全長距離が短くて標高差が高いため、急流が生まれます。
降雨量が多い日本には、河川が至る所にあります。
雨や雪が降り、土壌の成分も取り込んで海へ運ばれていきます。
日本列島の周りの大陸棚では、豊富な魚や海藻、貝などが生息しています。
海へ流れてきた土壌の養分や有機物が餌となり、
海の中で豊かな生態系が作られていきました。
日本は海の幸も山の幸も豊富で、平地面積が少ないこともあり、
牧畜や広大な畑は発達しませんでした。(必要なかった)
●粘り氣のある食べ物
日本にはネバネバした食材がたくさんあり、日本人は好んで食べています。
海外の人にとっては驚くこともあるかもしれません。
粘りのある食べ物の代表格は納豆でしょう。
よくかき混ぜて糸を伸ばして、ご飯と一緒に食べると最高です。
納豆の糸にはアミノ酸や糖質が含まれるほか、
血栓を溶かして血流を促すナットウキナーゼも含まれています。
納豆には骨を丈夫にする効果もあります。
実際に納豆を多く食べる地域とそうでない地域を比較すると、
納豆を多く食べる地域の方が骨折が少ないことが分かっています。
それはカルシウムやイソフラボンの働きによるところもありますが、
注目したいのが納豆に特に豊富なビタミンK2です。
ビタミンK2は骨を丈夫にする他、骨からカルシウムが流出するのを抑える働きもあります。
●枝豆の効用
暑くなってくると、日本人の食卓に頻繁に登場する枝豆。
奈良時代には既に茹でた枝豆を酒の肴にしていたそうです。
大豆になる前の子どもの状態であり、たんぱく質が豊富な上に
大豆にほとんど含まれていないビタミンCやβカロテンも枝豆には豊富に含まれています。
ビタミンCは免疫力を上げて風邪を引きにくくしたり、
ストレスへの抵抗力をつけたり、美肌成分としてもよく知られています。
さらに発がん物質の生成を抑える働きもしています。
βカロテンは強力な抗酸化作用をもち、活性酸素を抑えて
様々な病氣の予防につながります。
他にも、枝豆にはビタミンB1も多く含まれています。
玄米など炭水化物から分解されたブドウ糖は脳や体のエネルギー源になります。
ビタミンB1はブドウ糖が完全燃焼する際に関わっています。
また、疲労回復効果もあり、昔は脚氣の予防にも役立っていました。
ビールに枝豆といえば定番の組み合わせですが、営養面からみても相性の良い組み合わせです。
ビタミンB1やビタミンCがアルコールの分解を促し、肝機能を助けます。
そして、ビールの麦芽と枝豆の両方に脳の力を高めるレシチンが含まれています。
さらに子どものおやつにも枝豆は最適です。
茹でた枝豆に塩をふって食べれば、ミネラルも一緒に摂れます。
夏の疲れを回復させ、暑い夏を乗り切る体力をつけることが出来ます。
●日本の氣候風土
その国の食文化は氣候風土の影響を大きく受けています。
もちろん日本も例外ではありません。
日本は湿度が高いため雲が発生しやすく、それが雨となって大地を潤します。
日本の降雨量は大変多く、年平均約1800ミリ。
世界平均は970ミリですので、その2倍近くも降っています。
日本に牧畜や肉食文化が生まれなかったのは、平野が国土の15%しかなく、
それに加えてカビが発生しやすいこともあった。
(微生物と共存する知恵や文化が育ったので必要なかった)
日本人はカビ(微生物)と上手に共存していました。
住居空間を清潔に快適に保つために、障子で風通しを良くして、
床面は畳や板間にすることで湿氣がこもりにくく、カビが生えにくい空間を作りました、
一方で微生物を上手に活かして、大変優れた発酵文化を作り上げました。
多様な美味しさを作り出す調味料やだし、漬物、お酒など
日本各地でたくさんの発酵食品が作られてきました。
戦後になると日本に入ってきた洋食と比べると
発酵に関する点でも大きな違いがあります。
洋食のメニューはパン、卵焼き、ウインナー、サラダなど
和食はご飯、味噌汁、納豆、焼き魚、漬け物など
和食の食卓には、必ず発酵食品が何品も出てきます。
他にも梅干し、塩辛、かつお節などご飯と一緒に食べられる
数々の発酵食品は、日本の食卓に自然と馴染んでいます。
これが微生物が活性しやすい風土が生み出した世界一の食文化です。
「身土不二」という有名な言葉があります。
その土地で採れた食べ物を食べるという自然の原則を表した言葉です。
今は輸入された野菜や果物を口にする機会もあるかと思います。
しかし、それでも主食は玄米にして発酵食品を食べる。
この点はしっかり守る事が大切です。
グルメのブームが次から次へと変わっても
玄米と味噌汁を中心とした食事が、日本人に一番合っているのです。
もっと言えば和食は人間に最も適している食事です。
ユネスコの無形文化遺産に登録されたのも、そうした点が高く評価されたためです。
恵まれた土地に住んでいるご縁に感謝して、和食を大切にしていきましょう。
和食の素晴らしさはたくさんありますので、またの機会にお伝えします。
山本和佳