・ネット依存のタイプ
・体と心に起きる問題
ネットを見ない日は無いほど、現代人は仕事でもプライベートでも
様々な形でインターネットで繋がる生活を送っています。
いつでもどこでも使えて便利と喜ばれる反面、
時間の隙間、心の隙間にすっと入り込んで来る怖さもあります。
●依存のタイプ
ネットが普及して、様々な媒体で使えるようになった今、ネット依存も増えています。
大きく分類すると、引きこもってネットを利用するタイプと
モバイルを持ち歩いて、どこでもネット利用をしたくて仕方ないタイプに分かれます。
<引きこもりタイプ>
パソコンやゲーム機を使い、自宅に引きこもって
常にオンラインでゲームなどしているタイプです。
不登校や未就労といった社会から孤立していて、中にはそうした状況で
家庭内病力が生じることもあります。
<モバイルを持ち歩くタイプ>
スマホやタブレット、モバイル型ゲームなどでネットを利用し、
いつでもどこでもオンライン状態でないと落ち着かないタイプです。
モバイルタイプは学校に通っていたり、仕事に就いている人もいて、
何かしら社会に参加しているので周囲から見ても、または本人さえも
依存に氣づきにくい特徴があります。
スマホやタブレットの普及によって、急増したモバイルの依存。
知らず知らずのうちに、作業効率や学力低下になっています。
子どものネット依存は、スマホの普及によって急増しました。
それより前はネットでのコミュニケーションといえば
パソコンんが主流だったので、利用者は大人に多かったのです。
スマホはどこにでも持ち歩けるし、いつでも利用できます。
その利便性の反面、依存しやすいリスクも抱えているのです。
親のいない所でネットやゲームを長時間利用する子どももいて、
氣づいたらネット依存になってしたというケースも多いスマホへの依存。
止めたいと思っても、止められない。
そうするうちに、様々な問題が表面化してきます。
●心が病んでいく
ネット依存になると、食事やトイレなど生理的欲求を満たす以外は
ずっとネットに関心が向いている状態です。
ネット依存は精神のバランスを崩してしまいます。
現実逃避する、氣分転換が上手にできない、言語能力が低いなど
1日に10時間以上もゲームに夢中な依存の人は、朝起きてから夜に眠るまで、
または眠る時間を削ってゲームをやり続けます。
すると意味も無くふさぎ込んだり、逆に笑ったり、
怒りっぽくなる、暴力的になるなど精神が不安定になり、家族関係も悪くなります。
2008年から2009年にかけて、18000人の中高生を対象に行われた調査では、
深夜まで携帯電話を使う人ほど、自殺したいと思ったことのある人、
自傷行為をしたことのある人の数が多かったそうです。
今はスマホが主流になっているので、依存している人数や依存度合いも
深刻になっている可能性が高いです。
●報酬の我慢ができなくなる
将来、大きなご褒美をもらうためには、目先のご褒美を我慢することも大切です。
・志望校に受かるために、友達の誘いを断って勉強する。
・食べ過ぎないよう食欲をコントロールして、肥満防止に努める。
目先の欲に心を奪われてばかりでは、将来の目標に到達できなくなります。
アメリカのオクスフォード大学が4歳児を対象に行った
自制心を確かめる実験があります。
4歳児を1人ずつ部屋に入れて、目の前にマシュマロを置きます。
「今、これを食べてもいいよ。でも、15分待ったらもう1つあげるよ。」と言って
実験者は部屋を出て、子どもを一人部屋に残します。
15分待ちきれずにマシュマロを食べた子ども、
15分間我慢して、もう1つマシュマロをもらった子ども。
さらにその十数年後に追跡調査を行われ、彼らの様子を
家族や学校の先生などから聞き取り調査をしました。
すると、15分間待つことが出来た子ども達の多くは、次のような特徴がありました。
人間会計の能力が高い、事項主張ができる、学習能力が高い、
困難な課題に挑戦する、積極性がある。ストレスに強くてくじけない
この結果から、マシュマロを2個もらった子ども達は
将来の目標のために目の前のご褒美を我慢したり、努力することが出来ていると言えます。
人生の早い段階で自制心があるかどうかが、将来の姿に影響しているのです。
もちろん、報酬を先延ばしにする力をつける事も可能です。
一方でスマホなどデジタル機器は、自制心とどのような関係があるのでしょうか。
スマホを頻繁に使う人の方は衝動的になりやすく、自制心が低い傾向があります。
また、ある実験では、スマホを使用していなかった人が使用を始めると、
3ヶ月後には、報酬を先延ばしにする力が以前と比べて
下手になっている事も明らかになりました。
自制心が無くなると、上達に時間がかかる事に取り組めなくなります。
しかし、時間をかけなければ上達できないことは、世の中にたくさんあります。
子どもの学力を伸ばす、運動能力を向上させる、
仕事の場面でも、報酬を先延ばしにする力はどうしても必要になります。
即座にもらえるご褒美に慣れてしまうと、時間をかけてじっくり上達していく面白さが
理解できず、ちょっとした事ですぐに投げ出してしまう。
すると、またネットの世界に依存して、負のスパイラルにハマっていってしまいます。
●体への問題
ネットに夢中になっていると健康上の問題も深刻になっていきます。
長時間画面を見続けているうちに、視力が低下していきます。
文部科学省が発表した2022年度の「学校保健統計調査」では、
子どもの裸眼視力1.0未満の割合が増え続け、幼稚園児は約25%、
小学生は38%、中学生が61%、高校生は72%と調査開始以来、最多となっています。
さらに動体視力が落ちている可能性もあると指摘されていて、
スマホなどの平らな画面を長時間見ている事が影響しているとも言われています。
そして睡眠不足の問題も見逃せません。
深夜までスマホに夢中になって、さあ眠ろうと布団に入っても
脳が興奮状態で、なかなか寝付けません。
オンラインゲームは、自分が寝ている間もゲームが進んでしまうので、
起きていられる限りゲームを続けてしまう。
夜通しやり続けて、明け方に疲れて眠るというように昼夜逆転してしまう人もいます。
睡眠のリズムが狂いだすと、引きこもりになる人も出てきます。
ネットの利用時間が過剰になると、必ずといっていいほど睡眠不足になります。
さらに不規則も重なると、いつ眠っていつ起きるのか分からない体になります。
すると、あらゆるところに弊害が表れます。
日中の活動が低下しますので、学校の成績が下がったり
それが酷くなると留年や退学となるケースもあります。
大人なら仕事が手につかず、会社から減給や解雇の処分を受けることにもなりかねません。
ネット依存は体や心の調子を崩すだけでなく、多大な時間も浪費してしまいます。
まだ人生経験が浅い年齢で、毎日のように深夜までネットを利用していたら
多くの時間を無駄にしてしまいます。
現実の世界に向き合う時間は必然的に減り、現実逃避に近い状態に陥ります。
スマホはとても便利なツールですが、使い方を誤ると大切なものが奪われていきます。
子どものうちは大人ほど時間に制約されない分、空いている時間に
ネットが容易に入り込みやすい落とし穴もあります。
次回も、さらに詳しくお話し致します。
山本和佳