●活性酸素が作られる外的要因
●骨粗鬆症と活性酸素の関係
今回も活性酸素についてお話し致します。
前回は体内でエネルギーを作る時、免疫細胞が外敵を攻撃する時、代謝する時に
活性酸素がしていると述べました。
このように体が健康であるために必要な働きをする時に発生する活性酸素に関しては、
体の方も抗酸化作用を働かせ、バランスをとっています。
しかし、それ以外の理由で発生する活性酸素がたくさんあり、
今日の病氣を作っていると言っても過言ではありません。
病氣を予防する上で、活性酸素を出来るだけ作らない事はとても重要です。
●虚血による活性酸素の発生
虚血とは、事故や動脈硬化などによって脳や組織への血流がストップして、
細胞へ酸素や営養が届かなくなった状態を指します。
虚血によって脳の細胞が死んでしまうのが脳梗塞、
心筋細胞が死んでしまうのが心筋梗塞です。
酸素や営養が届かないと、なぜ脳細胞や心筋細胞が早く死んでしまうのかと言いますと、
活性酸素が大量発生するためです。
虚血になると、体内にあるATPが化学反応を繰り返して
最終的に活性酸素を作り出します。
激しい運動が体に良くないと言われるのも、虚血が理由の1つです。
運動時は心筋組織への血流がとても多くなる一方で、
消化器、肝臓、腎臓など内臓への血流は低下してしまいます。
すると活性酸素が発生して、骨格筋や内臓組織を傷つけ、炎症を起こしてしまいます。
そして、これらには好中球やマクロファージが集まってきます。
細胞の表面にある酸化酵素が活性して、さらに活性酸素を増やしてしまうのです。
また、運動不足も虚血を引き起こしますので、活性酸素が発生しやすくなります。
さらに体の外から入って来る異物によって、体内では活性酸素が多く発生します。
医薬品は異物ですので、服用すると活性酸素が大量に発生します。
薬の副作用の1つに活性酸素が挙げられます。
食品添加物、農薬、化学物質も活性酸素を増やしてしまいます。
口に入るものだけではなく、パソコンやスマホ、電化製品、車などから出ている電磁波も
活性酸素を増やし、細胞を傷つけます。
その他、排気ガスやタバコなども活性酸素を引き起こします。
●骨粗鬆症と活性酸素の関係について
日本人の10人に1人、約1300万人が骨粗鬆症と言われています。
特に女性は閉経後に女性ホルモンが急激に減少する影響で
男性よりも3倍以上多く骨粗鬆症になっています。
活性酸素は骨粗鬆症とも関係があるのですが、
まずは骨と女性ホルモンについて少し触れます。
骨は、骨を作る骨芽細胞と骨を壊す破骨細胞がバランスと摂りながら
骨の新陳代謝が行われています。
そして約3年で、全ての骨が入れ替わります。
女性ホルモンは、骨芽細胞と破骨細胞のバランス調節に関わっていて、
骨粗鬆症は両方の細胞のバランスが崩れる事によって起きています。
女性ホルモンであるエストロゲンは、骨芽細胞の表面にあるエストロゲン受容体に
結合して、破骨細胞の働きを抑えます。
そのため閉経後にエストロゲンが減少すると、破骨細胞の作用が進み、
骨量が低下してしまうのです。
エストロゲンは破骨細胞が過剰に作用するのを抑えて、骨からカルシウムが
過剰に流れ出すのを防いでいます。
さらに活性型ビタミン(ビタミンD3)を作るのを助け、
小腸で骨の材料となるカルシウムとリン酸の吸収を促進する働きもあります。
エストロゲンは骨粗鬆症の予防にとても重要です。
エストロゲンは、とても強い抗酸化力を持っています。
女性の若々しさを作り、一般的に女性の方が長生きするのも
その理由の1つとしてエストロゲンがあるためと言われています。
閉経してエストロゲンが減少すると、酸化反応が増えて
様々な病氣にかかりやすくなります。
活性酸素は破骨細胞を増やし、骨芽細胞を減らします。
体内で活性酸素が過剰に発生すると、骨も弱くなります。
また、骨量が減ると動脈硬化が起こりやすくなります。
それはなぜでしょうか?
まず加齢によって、小腸からカルシウムを吸収する活性型ビタミンの分泌が減少します。
すると血中のカルシウムが不足し、それを補おうとして骨からカルシウムが溶け出します。
この時に骨から血中へカルシウムを移動させる副甲状腺ホルモンが過剰に働き、
血中のカルシウムが過剰になってしまいます。
増えすぎたカルシウムが血管壁に付着して血管が狭くなり、
さらに血管を硬くしてしまい、動脈硬化につながるのです。
また、若い人も他人事ではありません。
特に女性は甘いものが大好きな人が多いですが、砂糖を食べ過ぎると骨を弱くします。
砂糖を消化する時に骨からカルシウムを出してしまうためです。
砂糖の害は骨以外にも体の至る所で起こりますが、
体の土台ともいえる骨にダメージを与える点だけでも深刻です。
妊娠して子どもを産み育てる大事な仕事がありますので、
若いうちから骨を大事にしてください。
ほとんどの病氣の原因となる活性酸素。
現代の生活は、体内で活性酸素が大量発生しやすく、
老化を早めたり、免疫力を下げて病氣を作っています。
そのため、活性酸素を増やす要因を極力避ける事は
健康な体つくりの必須条件になります。
合わせて、抗酸化成分を食事から摂る事も大切です。
食品添加物が入った加工食品をなるべく避け、玄米菜食にしましょう。
大豆イソフラボンが女性ホルモンに似た働きをしますので、
納豆や味噌といった大豆製品も食べましょう。
適度な運動をして骨密度を増やし、活性酸素を抑える事も大事です。
大氣汚染や電磁波など、避けるのが難しいものもありますので
食事や生活習慣の中で氣をつけて、若々しく健康な体を作りましょう。
山本和佳