一般無料「滞りが病氣をつくる」健康基礎講座

・内臓脂肪の良い作用と悪い作用

・運動すると回復する力が高くなる

肥満は病氣の温床と言われるように
肥満であるというだけで体の活動に支障が出ます。

それは体が重くて動きにくいという表面的な問題だけではなく、
体内の活動も妨げられてしまいます。

活動が妨げられるとは、具体的にどういう事なのでしょうか?

まずは食べたものがエネルギーに変わるプロセスについて、少し触れます。

体のあらゆる活動にはATPエネルギーを必要とします。

通常、血中のブドウ糖はインスリンによって全身の細胞へ取り込まれ、
分解されたものからATPが作られます。

骨格筋、心筋、内臓、脳などの組織はATPを使い、活動を盛んに行っています。

食後に血中の糖が増えると、膵臓からインスリンが分泌され、
細胞の表面にあるインスリン受容体に結合します。

インスリンとインスリン受容体は、鍵と鍵穴のような関係です。
この組み合わせは他のホルモンで代用する事はできません。

つまりインスリンが無いと、ブドウ糖は細胞内へ吸収されないのです。
もちろんATPを作る事もできません。

ブドウ糖がある程度細胞へ吸収されて血糖値が下がると、
インスリン受容体の結合が外れて、ブドウ糖の細胞への取り込みも止まります。

ATPは脳、内臓、筋肉などの組織で使われ、それらの機能を活発にしていますが、
特に脳にとってブドウ糖は必要不可欠です。

内臓など他の組織は、脂肪やアミノ酸からもATPを作れますが、
脳はブドウ糖からしかATPを作れないからです。

そのため血中のブドウ糖濃度が下がると、まず脳の働きが鈍くなります。

逆に血中のブドウ糖濃度が高すぎると、尿と一緒に排泄されます。
糖尿病患者の尿に糖がたくさん含まれるのは、このためです。

炭水化物が分解され、ブドウ糖になって血中に入り全身の細胞へ運ばれます。
そして細胞へ取り込まれる時には、インスリンが不可欠です。

しかし中性脂肪が溜まると、インスリン受容体が結合しなかったり、
結合したとしても細胞内へ情報が伝達されず、ブドウ糖の受け渡しが
上手くいかない事態が起き始めます。

この状態をインスリン抵抗性と言われていて、主な原因は肥満や運動不足です。

しかし、インスリンが上手く働かない場合でも、運動を十分にすると
ブドウ糖が細胞の内部へ取り込まれる働きが促進されます。

血糖値を下げて、細胞内でATPの生成が促進されるのです。

体には、このような素晴らしいバックアップシステムも備わっていますので、
諦めないで体を動かすことが大切です。

また、糖尿病の治療に歩行が用いられるのも、このためです。

肥満も運動不足もATPの生産を下げ、内臓の機能も低下させてしまいます。

放っておくと病氣になってしまいますので、習慣的に有酸素運動をしましょう。

●皮下脂肪と内臓脂肪

食事から摂取したカロリーが、消費するカロリーを上回ると
中性脂肪として蓄積されます。

余ったエネルギーは皮下や内臓の周りに蓄えられます。

皮下脂肪はわりと女性につきやすく、体の熱を奪われないよう守ったり
クッションの役割も果たしています。

内臓脂肪は腹部の消化器の周りにつく脂肪で、男性の方がつきやすい傾向があります。

なぜなら男性の方が筋肉量が多く、筋肉のエネルギー源として
使われやすい位置により多く脂肪を蓄えるためです。

また、男性ホルモンには筋肉を増やすと同時に内臓脂肪も増やす作用があります。

筋肉に使われるよう内臓の近くへ脂肪が蓄積されますが、
その反面、怠けてしまうと内臓脂肪の蓄積が過剰になりやすいのです。

内臓脂肪が体に悪い作用をする主な理由が2つあります。

1つは脂肪がつく場所の問題です。

内臓脂肪が過少になると、消化器の機能にも悪影響を及ぼします。

食べたものは小腸から吸収され、肝臓へ送られます。
内臓脂肪が溜まると、小腸から肝臓へつなぐ血管や肝臓内にもべったりとついてしまうのです。

もう1つの理由は、脂肪から体の機能を妨げる物質が出てくる点です。

内臓脂肪が溜まると、脂肪からインスリンの働きを阻害する物質がたくさん分泌されます。

そのため、インスリンがあるのに効かないというインスリン抵抗性が出て、
血糖値が下がりにくくなり、糖尿病のリスクが高くなります。

内臓脂肪と聞くと、一括りに悪者にされがちですが、
もともと筋肉を作るために必要なものであり、過剰に溜まるから問題が起きてしまうのです。

●体も脳も活性する

食べ過ぎて肥満になってしまうのは問題ですが、
体の活動に必要なエネルギー源はしっかり摂る必要があります。

食事によって取り込まれたブドウ糖を材料として、肝臓や筋肉でグリコーゲンが合成されます。

グリコーゲンは体に貯蔵されて、必要な時にすぐエネルギーに変わりますので
体内のグリコーゲンが多いほど、スタミナがある体ということになります。「

グリコーゲンの合成能力は、体を動かすことで高まっていきます。

つまり、食事で玄米を中心とした炭水化物をしっかり摂って運動をすると
グリコーゲンが合成され、体に貯蔵されます。

これを繰り返すと合成能力が上がり、貯蔵量も増えて
スタミナのある体に変わり、脳の活性にもつながります。

運動する習慣が大切と言われるのは、貯蔵が過剰になると
インスリンの働きが悪くなってしまうからというのも理由の1つです。

また、糖分を白米、ジュース、お菓子など精製した糖分から摂っていると
糖分の吸収が早すぎて、インスリンを過剰に分泌しますので、膵臓に負担がかかります。

吸収が早い分、糖の欠乏を招きますので、
これを繰り返していると衝動的に糖分を欲するようになってしまいます。

精製した当分を摂り過ぎると、夏バテや熱中症のリスクも高くなりますので
できる限り控えましょう。

●ロコモティブシンドローム

肥満だけでなく、運動不足もインスリン抵抗性を引き起こします。

筋肉や関節、軟骨などの運動器が衰えて、運動機能が低下した状態を
ロコモティブシンドロームと言います。

通称ロコモと呼ばれており、聞いたことがある方もいるかと思います。

ロコモになるきっかけは、老化や骨折、骨粗しょう症、関節リウマチなど様々です。

運動機能が低下していないか下記の項目で確認してみましょう。

【チェック項目】

・階段の上り下りをする時に手すりが必要

・片脚立ちで靴下を履けない

・家の中でよくつまづいたり、滑る

・15分程度続けて歩けない

・横断歩道を青信号の間に渡りきれない

・2kg程度の買い物をして、持ち帰るのが困難

・やや負荷がかかる家事ができない(掃除機をかける、布団の上げ下ろしなど)

いかがでしょうか。

1つでも当てはまるとロコモティブシンドロームの可能性がありますので、
早いうちに運動機能を回復させる必要があります。

現代生活は油断するとエネルギーの過剰摂取になりやすく、
血糖値を急上昇させるものがたくさんあります。

食事の度に血糖値の乱高下を繰り返している人も多いと思います。

冒頭で肥満は病氣の温床とお伝えしましたが、肥満でなくても
糖尿病や生活習慣病にかかるリスクはあります。

血糖値の急上昇と急降下はセットで起こりますので、
体がだるくなり、体を動かすのが億劫になります。

さらに怖いことに、意欲までだんだん無くなっていきます。

思うように動かない体は、肥満や運動不足になりやすいので注意しましょう。

山本和佳