・体を動かすだけではない骨格筋の働き
・食事から効率的にエネルギーに変える
健康的な生活を送るためには、基礎的な体力も大切です。
今回は筋肉の角度からお話し致します。
●骨格筋の意外な役割
体の中で動く部分には筋肉があります。
大きく分けると、骨格筋、心筋、内臓筋に分かれます。
骨格筋は、関節をまたいで2つの骨にくっついている筋肉です。
その中の筋繊維が伸びたり縮んだりすることで、
関節が軸となって骨の曲げ伸ばしができます。
骨格筋のおかげで手を動かしたり、足を動かして歩いたり、走ることが可能です。
骨格筋は脳からの指令を受けて、動かす運動機能にも意外な働きがあります。
実は、骨格筋からマイオカインという物質が分泌され、
それによってがんや糖尿病を予防し、脳の認知機能を良くしています。
マイオカインは30種類以上のホルモンの総称で
1つ1つに固有の働きがあります。その一部を以下にご紹介します。
・ミオスタチン
骨格筋細胞の増殖を抑える。
積極的に筋肉を増やしたい人には迷惑がられるかもしれませんが、
異常発達によるエネルギー消費を抑えて
体全体のエネルギー供給のバランスをとろうと働いています。
・カテプシンβ
生物の細胞内に蓄えられるたんぱく質。記憶力を高める。
・インターロイキン6
感染や疾患から体を守る。免疫の暴走を抑える。
・スパーク
大腸がんの細胞の自然死を促す。
・アイリシン
脳の神経細胞の新生・再生に欠かせないたんぱく質濃度を高めて、脳の働きを促進する。
・アディポネクチン
動脈硬化の進行を遅らせる。
・IGF-1
アルツハイマー型認知症の原因となるアミロイドβを減らす。
骨格筋から分泌されたマイオカインは、血液の流れに乗って、
全身に運ばれて、それぞれの効果を発揮します。
マイオカインの分泌を促すには、骨格筋をコンスタントに動かすこと、
つまり運動する事が有効です。
運動不足の状態では、骨格筋の新陳代謝が十分に行われず、
マイオカインも分泌されにくくなってしまいます。
このように日常的に体を動かす習慣は、何重にもメリットがあります。
血流が良くなったり、筋肉量が増える(または一定量に維持)、
氣分がすっきりするといった比較的短期間で得られる効果。
さらに、その先に老化防止や生活習慣病の予防など、長期的な効果も得られます。
●筋肉に必要な営養
筋肉を作り、動かすために様々な営養が関わっています。
<筋肉を作るアミノ酸>
よく筋肉はたんぱく質から作られていると言われます。
たんぱく質は、アミノ酸が鎖状に連なって出来ていて、
その配列や長さによって、たんぱく質の種類が決まります。
たんぱく質は、筋肉や細胞を作るほかにも、
体内の活動や化学反応に関わっている酵素として、
また免疫機能に必要な抗体の成分としてなど、重要な働きをしています。
アミノ酸は野菜、豆類、発酵食品、魚、海藻などに含まれます。
20種類あるアミノ酸のうち、9種類は体内で作られない必須アミノ酸のため
食事から補う必要があります。
例えば、玄米と納豆、玄米と味噌汁といった組み合わせは、
必須アミノ酸をバランス良く摂ることが出来ます。
<筋肉を動かす糖質>
後にもう少し詳しく触れましたす、
筋肉を動かすために使われている主なエネルギー源は糖質です。
運動の他にも、脳が働くために欠かせないため、たくさん消費されます。
しかし、ダイエットなどで糖質の摂取を抑えると、
糖質不足によって、体のたんぱく質がエネルギーとして使われ、
筋力が衰えてしまい、骨密度低下のリスクもあります。
玄米を主食としてしっかり食べることで、
<軽めの運動のエネルギー源となる脂質>
持続性があり、それほどきつくない程度の運動をする時、
脂質もエネルギーとして使われます。
有酸素運動をしていると脂肪が落ちていくのも、そのためです。
その他、ビタミンやミネラルも筋肉の動きに関わっています。
●体を動かす食事
エネルギーの材料となる糖質は、食事で玄米やいも類から摂る事が大切です。
前回の記事で、グリコーゲンを筋肉に貯蔵して、必要な時にエネルギーに使われると
お伝えしました。筋肉量が増えれば、貯蔵量も増えますが、体を動かすとすぐに消費されます。
そのため、毎回の食事で摂取する必要があります。
体を気遣う食事といえば、おかずがたくさん並んでいて、
ご飯は添え物程度というイメージを持たれるかもしれません。
皆で集まって食事を楽しんだり、ハレの日はそうしたメニューも良いですが
普段の体を養うために食事においては、主食が大変重要です。
もともと和食には、ご飯のお供がたくさんあります。
梅干し、漬物、佃煮、海苔など。
他に地域で作られているものもあります。
これらは文字通り、おかずではありません。
量はごくわずかで味が濃く、旨味もぎっしり詰まっている共通点があり、
お米をしっかり食べるためのものです。
玄米やいも類など炭水化物は、食事全体量の約50%が目安です。
かなり多いと思われるかもしれませんが、
おかずメインの食事を普段から食べるというのは、欧米の食事が入って来てからの概念です。
ご飯が足りないと、途中でエネルギー切れを起こしてしまいます。
どうしても間食が止められない人は、それ自体に中毒性がある事も去ることながら、
食事でご飯を食べる量が不足している事も一因ではないでしょうか。
ゆっくりと吸収されてエネルギーになる玄米をメインとして、
でんぷんが豊富ないも類やかぼちゃも食べましょう。
特に子どものうちは、体の大きさに対して運動量が多いので、
おやつにおにぎりやいも類を食べると、エネルギーを補給できます。
自発的に体を動かす時、必ず筋肉も働いています。
過剰に負荷をかけるより、継続的な運動が健康維持には効果的です。
体力がついたり、ダイエットに成功したり、生活習慣の予防にも繋がります。
山本和佳