・酸素の運搬について
・二酸化炭素の役割
体のしくみは合理的に出来ていて、
微妙な変化にも対応できるように上手く調整されています。
その働きを損なわないようにする事は、健康維持にも繋がっています。
●環境に適合した体のしくみ
人間が農耕生活を始めるより前、食べるものを自分で採りに行っていました。
しかし、いつも安定して食べるものが手に入るわけではありませんでした。
氣候によって食べられないものもあったりと、常に飢えと隣り合わせの生活でした。
そうした生活を長い時代続いたことから、人間は生き延びるために
食べたものの一部を脂肪としてエネルギーを蓄えるように進化しました。
人間の大きな脳を機能させるために、より多くのエネルギーが必要であり、
それが体力や氣力の基にもなっていました。
人間が脂質や糖質を好んで食べているのは、本能的に欲しているからです。
常に食べられるとは限らないから、エネルギーの材料として蓄えて
必要な時に使う術を身につけました。
しかし、毎日たくさん食べて肉体労働量が少ないというような
昔の人と真逆の生活をしていれば、代謝のバランスが崩れて肥満になりやすく、
目立って太っていなくても内臓脂肪が蓄積されてしまいます。
肥満は様々な病氣の原因となり、心臓病のリスクも高くなります。
肥満の人は、そうでない人よりも余分に営養や酸素を運ばなくてはならないため、
循環血液量が多くなり、心臓に負担がかかります。
肥満により、心臓の筋肉の柔軟性が弱くなり、
血液を送り出すポンプとしての機能も低下します。
また、心臓の筋肉自体も血液から酸素を受け取ってエネルギーを作りますが、
肥満の体では細胞内のミトコンドリアの働きが弱くなるため、
エネルギーを作り出す量が減ってしまいます。
肥満によって、心臓も慢性的なエネルギー不足になります。
●心肺のはたらき
体の中でエネルギーを作るために必要な酸素を、呼吸によって体内に取り込んでいます。
息を吸うと肺に酸素が入り、その中の肺胞という小さな袋へ運ばれます。
肺胞の周りには毛細血管が張り巡らされていて、
肺胞へ運ばれた酸素は毛細血管に入ります。
これと同時に体内から回収された二酸化炭素などが排出され、ガス交換が行われています。
毛細血管に取り込まれた酸素は、心臓へ送られます。
肺から酸素を取り込んだ血液は心臓に運ばれて、そこから全身に送り届けられます。
心臓は筋肉で出来ていて、全身に血液を送り出すポンプの役割をしています。
また、全身の筋肉にも血液を送るポンプとしての働きがあります。
特に脚に流れていった血液は、重力に逆らって心臓に戻りますので
脚の筋肉は全身の血流アップのためにも重要です。
また、二酸化炭素も体内で重要な働きをしています。
1つめは、酸素の供給との関わりです。
体内に入って来た酸素は血液中でヘモグロビンと結合して、組織や臓器まで運ばれます。
そして、ヘモグロビンから結合が解かれて、酸素が細胞へ渡されます。
そして、ヘモグロビンと酸素の結合が解かれる時、
血中に一定量の二酸化炭素がある事が条件となります。
もし二酸化炭素が足りないと、酸素は細胞に渡されることなく、血液中を漂うことになります。
二酸化炭素は、酸素が体の隅々まで届ける手助けをしているのです。
もう1つは、平滑筋との関わりです。
平滑筋とは氣管や血管、消化器などの壁を作っている筋肉です。
例えば、血管の収縮や腸の蠕動運動も平滑筋によって行われています。
平滑筋は自律神経によってコントロールされていて、
体内に二酸化炭素が一定量あることで、平滑筋の柔軟性が保たれています。
●口呼吸のリスク
酸素を取り込むために呼吸は必要不可欠であり、鼻で呼吸を行うのが基本です。
走った後など、一時的に乱れた呼吸を整える時に
補助的に口で呼吸を行うことはありますが、口呼吸をメインにするのは体に良くありません。
口呼吸は細菌・ウイルスが体に入りやすい、
氣管を冷やしてしまうなど理由はいくつもありますが、
実は二酸化炭素濃度の面から見ても体に負担がかかるのです。
呼気に二酸化炭素が多く含まれていることから、体に要らないものと思われていますが、
実は二酸化炭素も呼吸をするために無くてはならないものです。
口呼吸をすると、息を吐く時に出ていく二酸化炭素の量が多くなるため、
体内の二酸化炭素濃度が低くなり、体に負担をかけると言われています。
二酸化炭素は脳の延髄の呼吸中枢に働きかけて、体内のガス交換をコントロールしています。
体内の二酸化炭素濃度が低くなると、脳はゆっくり呼吸するよう指令を出して、
二酸化炭素の放出量を下げるよう働きかけます。
口呼吸は、鼻呼吸よりもたくさんの二酸化炭素を吐き出します。
それによって体内の二酸化炭素濃度が低くなり、ガス交換のバランスが悪くなると言われています。
●肺の生活習慣病
肺機能を著しく低下させてしまう肺氣腫という病氣があります。
肺氣腫とは、肺の構造が破壊されて呼吸が困難になる病氣です。
一番の原因は喫煙ですので、いわば肺の生活習慣病です。
肺胞の機能が破壊されてしまい、息を吸うのも吐くのも困難になります。
息苦しさがあり、咳や痰が出ることもあります。
また、少し歩くだけで息切れをするようになります。
肺氣腫の患者さんは、外出時に酸素ボンベを持ち歩きますが、
それでも運動量が限られてしまい、行動するのに不自由が伴います。
肺氣腫は治療して治るものではありませんので、たばこを吸わない、
喫煙している人は止めることが第一です。
呼吸が上手くできないとエネルギー産生量は激減します。
すると歩くことも困難になり、少し話しだけでも息が切れるなど
QOL(生活の質)が著しく下がってしまいます。
呼吸をしなければ、人間は生きることが出来ません。
酸素は体に必要なエネルギーを作る材料として
生きている間、絶えず供給し続けています。
さらに二酸化炭素にも重要な役割があり、こちらも体に必要不可欠です。
また、せっかく作り出したエネルギーも無駄遣いされてはもったいないです。
例えば、食べ過ぎると消化吸収に余計なエネルギーが使われます。
それが習慣になってしまうと、細胞内でエネルギーを作り出す能力が低下してしまいます。
また、先程の肺氣腫のように呼吸の入口となる肺機能が弱くなると、
酸素を取り込む量が少なくなり、エネルギー産生量が減って活動量も減ります。
酸素を体に取り込み、血液を通して細胞組織へ運ばれ、細胞へ渡す。
そして、体内で作り出されたエネルギーが効率良く使われる。
このサイクルが上手く回ると、病氣が遠ざかります。
肉食を止めて、玄米菜食にする。
睡眠を十分にとる。
有酸素運動をして、筋肉や心肺機能など基礎的な体の機能を使う。
余計なものを極力体に入れないで、
持って生まれた体の機能をちゃんと使う事が重要です。
山本和佳