・緻密に働く体の管理人
・もし腎臓が機能しなくなると・・・
今回は腎臓についてのお話です。
腎臓は横隔膜の下辺りに左右一対あって、ソラマメのような形をしています。
心臓が送り出す血液の4分の1の量が常に腎臓へ送り込まれ、
血液の中の老廃物や不要なものを取り除いて、尿として排出しています。
詳しくは後でお話ししますが、恒常性維持機能に関わる重要な役割があり、
24時間体制で体を守ってくれています。
●腎臓の役割
腎臓は臓器の中でも地味な存在に思われるかもしれませんが、
体が健康に保たれるよう管理するという大変重要な働きをしています。
①老廃物などを濾過して尿を作る
体中から腎臓へ流れてくる血液には老廃物が含まれています。
腎臓では血液を濾過して老廃物を排出しています。
では、血液中の不要なものを尿として排出するしくみを簡単にご紹介します。
腎臓へ集まってくる血液を濾過して、まず粒子の大きい老廃物や余分な水分が取り除かれます。
ここでは網目の大きなざるで濾すというイメージです。
赤血球や白血球、血小板などは比較的大きいので、この段階で引っかかり
体に必要なため血液中に残されます。
この時に濾過されたものが原尿と呼ばれ、1日に160Lも作られています。
原尿にはブドウ糖やアミノ酸など、体の役に立つ営養素がまだまだ含まれているので、
さらに細かい網目で濾過され、体に必要なものは再吸収されます。
原尿の中の細かい老廃物や不要な水分などは取り除かれ、尿として排出されます。
こうして1日に排出される尿は約1.5L。
原尿のうち約1%が尿として排出され、残り99%は再吸収されて体内を循環します。
②血液成分を調整する
血液中にはミネラルも含まれています。血液内の必要量は決まっていて、
多くても少なくても良くありません。
必要なものは再吸収され、不要なものは排出されます。
腎臓は血中の成分を微調整して、一定範囲の量に保たれるようコントロールしています。
その他のナトリウム、カルシウム、カリウムなどの成分は、
全身の状況に合わせて再吸収量が変わります。
成分の過不足によって、または疲れた時や汗をかいた時など体の状態によって
再吸収量が変化しています。
腎臓は他の臓器と連携を取りながら、ミネラルなどの再吸収量を決めています。
特に細胞の生成に欠かせない塩分量を調整して、一定の範囲になるよう保っています。
原尿から再吸収するシステムは、とても緻密に出来ています。
なぜなら、血中のミネラルは適応範囲の量を少しでも超えると、
体が非常事態に陥ってしまうものもあるからです。
例えば、カリウムは増えすぎると筋肉の収縮が正常に行われなくなり、
不整脈や心停止を招くこともあります。
このように血液成分は一定に保たれ、体内の恒常性を維持しています。
③血圧の調整
腎臓に流れてくる血液量が少ないと、腎臓の毛細血管よりレニンという酵素を分泌して
血圧を上げるよう働きかけます。
反対に血圧が高い時は、血圧を下げる酵素(リグレイン、プロスタグランジ)を
分泌して、血圧を調整しています。
腎臓の濾過機能は、加齢とともに衰えていき、60代になると20代の半分にまで衰えます。
食事や生活習慣が乱れていると、腎臓の老化もさらに加速します。
実は、濾過装置は予備の蓄えも用意されています。
20~30代のうちは一部の濾過装置が稼働していて、
残りは交代用として、または必要な時だけ稼働していると言われています。
生命を維持するために重要な臓器なので、余裕をもって作られているのです。
もともと100%ある濾過装置が5%にまで減ると、人工透析が検討されるようになります。
減ってしまった装置をまた増やすことは出来ないため、
残された濾過装置にダメージをなるべく与えないよう
一刻も早く生活習慣を改善する事が大切です。
●もし腎臓が機能しなくなると・・・
腎臓の機能は無症状のまま衰えていきます。
検査で腎臓に異常が見つかった時には、既に病状がかなり進行していることもあります。
腎臓病と言われるまで腎臓機能が低下すると、老廃物が体内に溜まり、
動脈硬化、心臓病、脳卒中、骨粗しょう症、認知症などの発症リスクが一氣に高くなります。
こうなると、もう自力では血液をきれいにする事が出来なくなってしまいます。
もし腎臓が全く機能しなくなると、全身の臓器も働かなくなります。
「多臓器不全」は外傷による大量出血によって引き起こされる他、
腎機能の低下も引き金になっていると言われています。
日本は透析大国と言われ、透析患者数は約35万人にのぼります。
腎臓が機能しなくなると、残された道は人工透析か腎移植となってしまいます。
日本ではほとんどの人が血液透析を選択しています。
血液透析は体外に血液を導き出して、人工腎臓と呼ばれる装置に通
して血液中の老廃物を取り除き、再び体内に戻すという方法がとられています。
週に1~3回程度行われ、1回の透析で3~7時間かかります。
透析中は横になったまま、体を動かすことは出来ません。
よく「人工透析を受けるようになっても、それ以外の時間は通常の生活ができます・・・」と
言われますが、現実はなかなかそうはいきません。
透析後は強い疲労感が残り、その日は何もできないというケースが多いようです。
そして透析の苦痛やだるさが数日おきに繰り返される。
患者さんの精神負担は大きく、透析を受け続ける中で認知症や他の病氣を患う人も大変多いです。
また、透析を受ける日以外は血液中に老廃物が溜まっていきますので、
透析をしていても、動脈硬化や心臓病など様々な病氣の発症リスクは高いままです。
人工透析を受けるまでに腎臓機能を低下させない。
そうした食習慣や生活習慣を早いうちに身につける事が大切です。
腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれています。
先にも書きましたように、症状らしいものが出ないまま危険レベルまで
機能が低下してしまうのです。
45歳以上の男女を対象として行われたある血液検査によれば、
4分の1の人の腎臓が「危険な状態」のレベルまで衰えていたという結果が出ています。
この検査の対象者は皆、「自分は健康に問題ない」と思っている人達でした。
また、ここでいう危険な状態とは5年後に腎不全になったり
人工透析が必要になるリスクが高くなるレベルです。
腎臓が機能しなくなると行動が大幅に制限される上に
体にかかる負担、同時に心理的負担も大きくなります。
透析では1日当たりの労働時間に匹敵する時間を費やします。
元氣なうちから腎臓に負担をかけない生活を送りましょう。
この続きは、次回にお話し致します。
山本和佳