おすすめDVD「みえない雲」

チェルノブイリ原発事故直後の1987年に発表され、数々の文学賞を受賞したベストセラー小説を映画化した問題作。小さな町を襲った原発事故の悲劇と、その極限状況下で育まれる愛を描く。

監督は、『レボリューション6』のグレゴール・シュニッツラー。
被爆という過酷な運命を負いながらも深い愛を築いてゆくカップルを、ドイツの新星パウラ・カレンベルクとフランツ・ディンダが好演。
数多くの原発が稼動する現在、絵空事ではない恐怖を実感させられる。

チェルノブイリ原発事故の翌年87年にドイツで発表された青少年向けの小説が原作。

幼い弟と母親の3人で暮らす高校3年生のハンナ(パウラ・カレンベルク)は、転校生のエルマー(フランツ・ディンダ)と恋に落ちる。
しかし幸せな気分もつかの間、近郊の原子力発電所が事故を起こし、町はパニックに陥る。
迎えに行くというエルマーの言葉を信じてハンナは弟と自宅で待つが、放射能を帯びた雲が迫り……。

ドイツで87年に発表された青少年向けの小説が原作。87年といえば、チェルノブイリ原発事故の翌年。
ドイツも放射能汚染におののいた近隣国のひとつであり、もし自国で同じような大惨事が起きたなら、とのストーリーが大きな話題を呼んだのもうなずける。本作は事故から20年を経ての映画化となる。

焦点があてられるのはひとりの少女。恋にときめく事故前のささやかな暮らしも、被爆し、すべてが一変するその後の生活も、物語はハンナに寄り添い続け、身近な悲劇性を訴えるとともに、明日への希望も託す。 ハンナを演じているのは、これが映画デビューとなるパウラ・カレンベルク。

チェルノブイリ原発事故の年に生まれたという彼女の存在感は、ティーンエイジャーのラブストーリーという形態をとりながら、多分に政治的メッセージを含む作品を物語らせるのに申し分ない。

独特のムードはあるものの、感情の表現が過剰なエルマー役のフランツのつたなさも、彼女がカバーしている。
みえない雲がもたらす黒い雨の恐さを、誰よりも知っているはずの日本における原発の数はドイツの約3倍。


ドイツ・グラーフェンマインフェルト原子力発電所

ラブストーリーとしての出来はさておき、ハンナの目を通して語られる、事故の悲惨さと災害時のパニックは、遠い国の単なるシミュレーションではなく、考えるべきメッセージを放っている。

http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tydt/id326159/

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