・わたし達は何を食べているのか?
・人間の暮らしが環境にかける負担
・地球の限界を超えている
毎日食べるものによって、わたし達の体は作られています。
食べる事の一番の目的は、体を養うことです。
全身の細胞へ営養を届けて正常な代謝を維持したり、
臓器や器官が滞りなく働き続けられるようにするためです。
もちろん食事をしながら会話を楽しんだり、味にこだわったり、
美味しい料理にテンションが上がったり、
またはリラックスしながら食事を楽しむ事も大切です。
しかし、食べる事の一番の目的は体中の細胞に営養を届けて、
代謝機能を維持する事を忘れてはいけません。
●わたし達は何を食べていたのか?
では、その食べ物が何から出来ているのでしょうか?(全ては分からない)
昔は家の近くの畑で採れた野菜やお米、豆類を食べていました。
または近所の人と物々交換をして食材を手に入れていました。
誰が作ったのか、どこで採れたものが見えていました。
遠くから運ばれてくる塩や海産物は人から人へと渡っていきました。
加工した食べ物といえば、乾物類(昆布、高野豆腐、ひじきなど)や
干物、塩、味噌、醤油など。
長期保存するために干して乾燥背たり、海水を結晶化させて塩を作り、
大豆を発酵させて様々な発酵食品を作りました。
日本の氣候を上手く利用して営養も味も凝縮させる。
日本の土地に棲む多様な菌が発酵してくれる。
日本人は自然との共存に長けていて、世界に誇る食文化を築いてきました。
しかし、今では食べているものが何から出来ているのか、
どこからやって来るのか見えづらくなっています。
●フードマイレージ
島国である日本は昔より国内で食べるものを作り、
海で魚介類を獲り、全てを賄ってきました。
しかし、日本の現在の食糧自給率は38%。
60%以上の食糧を輸入していて、食材によっては
国産を見つけるのが難しいものもあります。
食糧の生産や輸送には多大なエネルギーがかかります。
それによって生じる二酸化炭素、窒素化合物は地球に大きな負荷をかけています。
食糧輸送に伴う環境負荷を測る「フードマイレージ」という指標があります。
計算式は「輸送量(t)」×「輸送距離(km)」で、tkmという単位で表します。
10tの食糧を800km運んだ場合のフードマイレージは、8000tkm。
食糧の生産から食卓までの距離が長いほど、
輸送にかかるエネルギー消費も大きくなります。
日本のフードマイレージは、アメリカの3倍です。
例えば、埼玉県産の大豆とアメリカ産の大豆を使って、埼玉県で豆腐を作った場合、
それぞれのフードマイレージは以下のようになります。
<アメリカのアイオワ州の大豆>
輸送量1t × 輸送距離 19968km = 19968t‣km
二酸化炭素の排出量:245.9kg
<埼玉県産の大豆>
輸送量1t × 輸送距離 3.4km = 3.4t‣km
二酸化炭素の排出量:0.6kg
この場合、国内産を使った場合はアメリカ産と比べて
フードマイレージは約6000分の1、
二酸化炭素の排出量は約400分の1に抑えられ売ます。
加工食品にも輸入食材がふんだんに使われています。
コンビニ弁当を例に挙げてみます。
幕の内弁当の半分には白米が敷き詰められ、上にごまがかかっています。
そして残り半分に焼き鮭や卵焼き、煮物などのおかずが入っています。
以下はあくまで一例として見ていただければと思います。
白米、卵、こんにゃくなどは国産を使用。
その他ほとんどの食材は輸入しています。
以下、一部食材の輸入元の国と輸送距離です。
れんこん(中国) 3005km
油揚げ(アメリカ) 18585km
えび(タイ) 5609km
鮭(デンマーク) 22034km
鶏肉(ブラジル) 23705km
金時豆(ボリビア) 24953km
その他にも人参や里いも等も弁当に使われています。
そうして全ての食材の輸送距離を合計すると、16万kmにもなります。
何と弁当1食分が出来るまでに、地球4周分もの輸送距離を経ているのです。
国内における食料輸送に伴う二酸化炭素の排出量は、2000年時点で900万トン。
輸入食料の排出量は、1600万トン。
およそ1.9倍も差があります。
日本の食糧自給率が低ければ、必然的にフードマイレージの数値も高くなります。
●エコロジカル・フットプリント
世界の人口は82億3200万人。
人口が増える程、地球環境への負荷も高くなります。
人間が地球環境に与えている負荷を示す
「エコロジカル・フットプリント」という値があります。
食糧生産のための農地、牧草地、漁場や、排出した二酸化炭素の吸収や
木材の生産のために必要な森林など、人間が暮らしていく上で必要とする
土地面積の合計を表します。
少し言い方を変えれば、わたし達の生活が地球環境に
どれ程の負荷をかけているかを分かりやすく数値化されたものです。
現在のエコロジカル・フットプリントは、地球の生産能力を超えています。
2019年においては、人類全体の暮らしを支えるためには
地球1.7個分が必要とされています。
国別で見ると、日本は世界で6番目にエコロジカル・フットプリントが高く、
地球2.6個分が必要なほど地球環境に大きな負荷がかけてしまっています。
●地球に優しい食
輸送にエネルギーがかからず、倫理観のある食事とは
日本人が古来から食べてきたものです。
主食のお米は、胚芽がついた未精製の玄米を食べていました。
ご飯に添えられていたのは梅干しやめざしなど
今では考えられないほど質素でした。
それでいながら肉体は今の日本人よりもずっと頑強だったのです。
しかし、現代ではそのような食事はどうしても敬遠されてしまいます。
旬の食材を取り入れながら、彩りを添えて
美味しそうに見えるように工夫したり、
炒め物や揚げ物などボリューム感のある料理も作るなど工夫する事が大切です。
わたし達の健康は地球の健康と繋がっています。
体に無理な負担をかけない食事は、地球にかかる負荷も少ないです。
いつもの食卓から地球環境を見直してみませんか?
そのような視点で食べ物と向き合う事も重要だと思います。
山本和佳