・生命の進化と肺呼吸
・意外に呼吸と深い関係があるもの
前回の続きになりますが、
喫煙によって血管の内皮細胞を傷つけられ、動脈硬化のリスクが高くなります。
タバコに含まれる一酸化炭素によって血管の内皮細胞が傷つけられ、
動脈硬化を促進します。
ニコチンは交感神経を刺激して血圧や心拍数を上げ、血栓を増やします。
喫煙が多くて長いほど、動脈硬化などの血管の病氣、臓器の病氣、
全身の病氣のリスクが高くなります。確実になる。
また、ニコチンによる血管収縮が手足に繰り返し起こることで
血栓ができると、末梢への血流も悪くなります。
パージャー病は発症者のほとんどが喫煙者というほど、
タバコと関係の深い病氣です。
血行障害が進行すると指先が変色して冷たくなり、組織が死んでしまいます。
壊死の度合いによっては手足を切断しなければなりません。
体に痛みが走り、自由を奪われるのは心身に大変な苦痛を与えます。
タバコは吸わなければ、こうならずに済んだかもしれません。
●肺呼吸について
肺呼吸は加齢によっても衰えていきます。
体は絶えず酸素の供給を必要としているため、
意識しなくても呼吸が出来るように体は機能しています。
人間は当たり前のように呼吸をしていますが、
人類の進化を遡ると、脊椎動物は水中に溶け込んだ酸素を
エラから取り込んでいました。
その後、魚類の一部が消化管の一部を利用して呼吸するようになり、
やがて消化管の一部が袋状に変化しました。
これが肺の始まりです。
さらに時間が経過して、両生類は陸上へ上がり、さらに長い年月をかけて
人類へと進化していきました。
肺の中の肺胞には、毛細血管が網の目のように張り巡らされていて、
酸素と二酸化炭素のガス交換が絶えず行われています。
肺胞が袋状に発達したおかげで、空氣と血液が接する表面積が大きくなり、
呼吸の効率が高くなりました。
しかし、加齢と共に肺胞を取り巻く毛細血管も減少します。
すると、肺胞の弾力が失われ、肺胞の袋同士がくっついて呼吸効率も下がります。
同じ運動量でも息が上がったりと生活に支障が出てきます。
呼吸が浅く、回数が増えると二酸化炭素の排出量が増えて、
体内の二酸化炭素の量が減少します。
すると血液に乗って細胞へ酸素が運ばれても、細胞に取り込みづらくなってしまいます。
二酸化炭素は要らないものと思われることが多いですが、
実は赤血球から酸素を切り離して細胞へ取り込むのを助けています。
そのため、血中には一定の二酸化炭素が必要なのです。
一方、深い呼吸は一度に取り込む酸素量が多く、回数は少ないです。
つまり呼吸効率が良いので酸素を効率よく細胞に取り込み、
不要な二酸化炭素が排出されて、循環機能が上手く回ります。
●舌の正しい位置
呼吸をスムーズにするには姿勢を正すことや
もちろんタバコを吸わない事も必須です。
その他に、意外に思われるかもしれませんが、
下の位置も呼吸に影響を与えています。
普段、舌の動きやどのような状態になっているか
あまり意識されることは無いでしょう。
じつは口を閉じている状態で、正しいポジションは
常に舌が上あごに密着している状態です。
このポジションに舌が収まっていると、氣道が広がって
呼吸をしやすくなります。さらに睡眠の質も良くなります。
実は下のポジションが下がっている人はけっこういます。
舌が下がると氣道が狭くなるため、呼吸がしづらくなり
口呼吸になってしまう人もいます。
舌の位置を間違えると、歯並びにも影響します。
何もしていない時の定位置が、舌の先端が歯の裏側に当たっていると
舌先で歯の裏側を押すような形になり、前歯が出てしまいます。
また、舌の位置は舌の筋肉の衰えにより、年齢と共に下がります。
口呼吸でも、そうでなくても舌を上あごにつけるようにしましょう。
さらに見た目の老化も促進してしまう。
舌の位置が下がっていると、顔の皮膚も下がってしまいます。
舌の筋肉は顔周辺の筋肉とも繋がっているので、
舌が落ちて筋肉が怠けると、頬から口元まで垂れやすくなってしまうのです。
●呼吸筋としての舌の役割
舌は食べるものを味わったり、咀嚼して飲み込むのを助けたり、
話す時にも声が発しやすいよう働いています。
それ以外にも、舌が呼吸を助ける働きをしている事は意外に知られていません。
肺は風船のような形をした肺胞の集まりですが、
自分で膨らませたり縮んだりすることはできません。
その動きを支えているのが呼吸筋です。
呼吸に関わる筋肉の総称で、その中でもメインで働いているのが横隔膜です。
息を吐く時には横隔膜が縮んで上がり、吸う時は横隔膜が下がって
胸郭のスペースは広がります。
横隔膜やその近くの肋間筋と舌は、筋膜を介して連動しています。
横隔膜が収縮するよりも一瞬先に舌の筋肉が少し前に出て、
息を吸うのを助けています。
そして息を吐く時には、横隔膜が緩むよりも先に
舌の筋肉が少し後ろに動いて、息を吐くことを助けています。
舌が衰えると、呼吸に合わせて動く横隔膜の上下運動の働きにも支障が出てしまいます。
それは年齢だけではなく、舌が下がって筋肉が怠けることも原因となります。
呼吸のしやすさは舌の位置とも関係しているとは意外ですね。
呼吸筋がどんなにスムースに働いたとしても、
喫煙は呼吸器も痛めつけ、全身の循環を悪化させてしまいます。
それほどタバコの害は大きいのです。
タバコを吸わないのはもちろんのこと、食事や生活習慣の改善によって
体の細胞の老化を遅らせ、各器官も若々しくいられます。
山本和佳