一般無料「自然に憩う」健康基礎講座

・偉人達も自然に癒された

・自然の中を歩く効用


自然の中に身を置いて、リラックスした経験は誰にもあると思います。

心身の保養効果、そして安定化は医学的にも認められていて、
病氣療養のために自然の中で静養する人もいます。

歴史に名を残した偉人にも自然を愛していた人が数多くいます。

彼らは自然に親しみながら何を感じ、どんな思いを抱いたのでしょうか。

何名かご紹介したいと思います。

 

●ジョン・レノン(1940~1980)

言わずと知れた世界的スター、ビートルズのメンバーだったジョン・レノン。

彼にとって、日本の軽井沢は思い出深い土地です。

1976~1979年に渡り、4年連続で毎年夏に1ヶ月ほど軽井沢に
家族と一緒に滞在していました。

東京や京都にも滞在したことがありますが、
日本で最も滞在期間が長かった場所は軽井沢でした。

軽井沢ではギターを弾きながら作曲活動をしたり、カフェに立ち寄ったり、
名所や景勝地を見て回った事でも知られています。

ジョン・レノンがこれほど軽井沢に魅せられたのは、
故郷の風景と重なるところがあったからと言われています。

最後の滞在となった1979年の夏、ジョン・レノンは現地の人と一緒に
軽井沢の物件や土地を見て回っていたそうです。

しかし翌年の12月に銃撃を受けて亡くなり、再び軽井沢の地を踏むことは叶いませんでした。

もし生きていたら、軽井沢に住みながら世界を股にかけて
音楽活動をしていたかもしれないと思うと、悔やまれてなりません。

 

●ベートーベン(1770~1827)

クラシック音楽史上で最も有名なベートーベンも、生前は自然に親しんでいました。

幼い頃より才能に恵まれていましたが、20代後半から聴覚障害に悩まされるようになり、
音楽家として悲運に見舞われながらも、数々の名曲を世に残しました。

ベートーベンは医師に勧められて、定期的に自然保養地などで療養生活をしていました。

保養地に滞在中、ベートーベンはだいたい1人で毎日のように森林を散策していました。

田園地帯を1人で散策する姿を描いた絵画も残されています。

こうして主に1人で行動していたのは、聴覚障害を持っていることを
逐一ことわりを入れなくてはならない対人関係の煩わしさから逃れるためだったと
友人に手紙で伝えていました。

ベートーベンが友人に書いた手紙には、自然を湛える言葉が残されています。

「森や樹々や嵐が返し与える木霊は、人間にとってまったく好ましいものだ」
「全能なる神よ!森の中でわたしは幸福である。 」

彼にとって自然環境は安息の場所でした。

障害になった20代の頃には遺書を書いた事もあったといいます。

彼の心に暗い影を落とした時代にも、自然は

自然観察も熱心に行い、植物などにかなり詳しく、音楽関係の知人や弟子には
自然についての指導もしていたそうです。

ベートーベンの代表曲の1つである交響曲「田園」は、自然を題材にして作られました。

この曲について、自身は
「田園での喜びが人の心に惹き起こす様々な心情を表現した」と書き残しています。

保養地での生活は聴覚障害の療養、障害に伴う精神ストレスの緩和、
それだけにとどまらず、彼に音楽の創造力や生きるエネルギーを与え続けていました。

 

●神谷美恵子(1914~1979)

神谷美恵子さんはハンセン病の治療、看護にあたった精神科医です。

21歳の時に結核にかかり、軽井沢にある両親の別荘で2年間療養生活を送っていました。

地元の農家の方が食事のお世話をしていましたが、ほとんど1人で過ごしていたそうです。

神谷さんは自身の体験から、自然へ接する中でもたらされる心理作用について
以下のように記しています。

「自然こそ人を生み出した母胎であり、いかなる時でも傷ついた人を迎え、
慰め、癒すものであった。それをいわば本能的に知っているからこそ、
昔から悩む人、孤独な人、はじき出された人はみな自然の懐へ帰って行った。」

「自然は他人のように色々言わないで、黙って受け入れ、手を差しのべて包んでくれる。
みじめなまま、支離滅裂なまま、ありのままで、そこに身を投げ出すことができる。
血を流している心にとって、これは何という安らぎであろうか、何という解放であろうか。」

さらに自然の癒す力については、

「少なくとも深い悩みの中にいる人は、どんな書物によるよりも、
どんな人の言葉によるよりも、自然の中に素直に身を投げ出すことによって、
自然の持つ癒しの力(それは彼の内にも外にも働いている)によって癒され、
新しい力を恢復(かいふく)するのである。」

神谷さんにとって、軽井沢は深く自分を見つめる事のできる大切な場所でした。

2年間の療養生活を経て、結核は無事に治癒しました。

その後、医師になりハンセン病の治療や看護にあたり、書籍の翻訳など
精力的に活動に取り組まれました。

療養生活をしていた時の経験から、同じ境遇の難病患者の心のケアに力を注ぎ、
自然体験がその後の人生観を大きく変えていきました。

 

●自然散策の効用

歩く動作は全身運動のため、全身の機能を活性させます。

人間にとってこの基本動作が、心身のリハビリテーションの役割も果たしています。

歩いていると景観や場面の変化も楽しむことができて、
歩くモチベーションが高くなります。

きれいな花を見つけて思わず駆け寄ってみたり、あと少しで絶景ポイントが
あると分かるやいなや、無意識に足早になったりと、体の活動を促してくれるのです。

また、お金がかからないのも歩く魅力の1つです。

19世紀のイギリスでは不景気の中でウォーキングが流行したのも、
身近で誰もが簡単にお金をかけずにできる健康づくりだったのが
大きな理由だったそうです。

また、歩きながら話すことも好まれたそうで、
氣持ちが解放された状態で交わされる会話は創造性を高め、話も弾んだことでしょうね。

作家や詩人にも自然散策に親しんだ人は多く、森林や自然の中を
歩きながらインスピレーションを得ていました。

森林や自然の中を歩くと「~しなければならない」という心の制限が緩くなり、
心や感性が自由になりやすいです。

それによって創作活動や人生観に建設的な変化をもたらし、
結果として人生の再生や創造性を高める場にもなっていました。

ただ環境を変えるだけで、心身に保養効果がもたらされる。

精神が滅入って氣力がわかないような状態でも、回復させるパワーが自然にはあります。

 

むやみに山奥に立ち入ることは危険ですので、動物のテリトリーを犯さないよう
人間の生活範囲で自然に親しむ機会があるといいですね。

身近な自然に触れながら疲れを回復させるなど
生活のどこかに自然があると、それだけで人間は救われます。

山本和佳